米ブルームバーグがこのほど、伝えたところによると、米アップルは現在、AI(人工知能)関連の処理を行う専用のプロセッサーを開発しているという。

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AIチップ搭載のiPhone試作機で実験中

 同社はすでに、このプロセッサーを搭載したiPhoneの試作機をつくっており、現在はその試験を行っている。アップルはこのプロセッサーを、iPhoneやiPadなど将来の同社製品に組み込む計画だと、事情に詳しい関係者は話している。

 このブルームバーグの報道によると、このプロセッサーはアップルの社内で「アップル・ニューラル・エンジン(Apple Neural Engine)」と呼ばれている。

 iPhoneなどに搭載されているプロセッサーには、その心臓部であるCPU(中央処理装置)と、GPU(画像処理装置)があるが、アップルは、現在これらのプロセッサーが担っているAI関連のタスクを、新たな専用プロセッサーで処理させたいと考えているという。

 そうしたタスクにはさまざまなものがあるが、例えば、音声認識や、写真アプリの顔認証、テキストの予測入力といった分野があり、アップルはこれらをAI専用プロセッサーで処理させたいと考えている。

 これにより、将来版のiPhoneなど、同社のハードウエア製品は、現行モデルよりも大幅にバッテリー性能が向上すると、事情に詳しい関係者は話している。

自前主義がさらに加速

 アップルは、これまでもこうしたプロセッサーを自社開発している。

 同社は2014年から、iPhoneやiPadに搭載される「Aシリーズ」プロセッサーを自社開発しているが、その後も腕時計型端末、Apple Watchの「Sシリーズ」、ワイヤレスヘッドフォン、AirPodsの「W1」、ノートパソコンMacBook ProのTouch Barと指紋認証に使われる「T1」などのプロセッサーを自社開発した。

 また、現在、同社はノートパソコンの低消費電力モード用チップの試験を行っていると、ブルームバーグは伝えている。

 これまでアップルは、プロセッサーの開発を外部の半導体メーカーに委託してきた。しかしここ最近は、自社製品の基盤となる重要技術を自ら開発するという方向に動いている。

突如の契約打ち切り宣告

 今年4月、iPhoneにGPUを供給している英国のイマジネーション・テクノロジーズが、アップルから契約を打ち切られると伝えられた。イマジネーションの発表資料によると、この時アップルは、今後15カ月から2年以内に、イマジネーションのGPU関連技術の使用を取りやめると告げたという。

 これにより、今後アップルはiPhoneなどの主力製品の基盤技術を自前で開発する、垂直統合モデルをさらに進めると見られている。

 とりわけ画像処理は、今後大きな成長が期待されているAR(augmented reality、拡張現実)とVR(virtual reality、仮想現実)を支える重要技術となる。またAIの分野では、すでに米アマゾン・ドットコムや米グーグル、米マイクロソフトとの間で熾烈な開発競争が繰り広げられている。

筆者:小久保 重信