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■どんなクルマ?

存在意義、ある?

63mm。ひとクラス上のヴォグゾール・モッカXと、このクロスランドXとの全長差だ。

タバコ箱の幅ほどしか長さの違わない2台を、同時にラインナップする意味が見出せるか、まずはそんな疑問が浮かぶ。

とはいえ、2台の違いはそれだけではない。モッカは型通りのSUVで、19インチまでのホイールを設定し、4WDの設定もある。

対してこのクロスランドは、ホイールは16インチか17インチで、FFしか用意されない実用本位のモデルだ。

クロスランドのベースとなるのは、次期シトロエンC4と共通のプラットフォーム。これは先ごろ発表されたように、GMからPSAへオペル/ヴォグゾールが売却されるため可能になった。

エンジンもPSA製で、1.2ℓガソリンと1.6ℓディーゼルを搭載する。なお、現行プジョー3008ベースのグランドランドXも待機中だ。

■どんな感じ?

ガッカリしたことがある

試乗したのはガソリン・エンジンの中間仕様で、1.2ℓユニットは109ps/20.9kg-mを発生。パンチがあって、しかもよく回る。

残念なのはトランスミッションで、5速MTは変速の動きが曖昧で、しかも高速巡航時にはエンジン回転が上がりすぎてやかましい。

走らせてみてさらにガッカリしたこともある。

ステアリングはフィードバックに乏しく、コーナリングではロールが大きすぎる。しかも不整路面では、キャビンに伝わる衝撃も小さくない。

ただし市街地を走るぶんには、ステアリングの軽さが取り回しを楽にする。高い着座位置による良好な視認性もまた、運転のしやすさに貢献する。

室内は、成人4人が乗るのに十分なスペースと、日産ジュークや、身内のモッカさえ凌ぐ410ℓの荷室を備えており、実用性もなかなかのものだ。

£300(4万3千円)の「バーサティリティ・パック」を選択すれば、後席にスライド機構と、40:20:40の3分割可倒シートバックも追加される。

装備はまずまず

標準装備も充実しており、エントリー仕様のSEでも、アルミ・ホイールやクルーズ・コントロール、2ゾーン・エアコン、Apple CarPlayやAndroid Autoをインストールしたタッチパネル式インフォテインメント・システムを装備する。

惜しむらくは、自動緊急ブレーキが備わらないこと。これは居眠り防止機構などとセットになった、オプションのセーフティ・パックを選択しないと装着されない。

インテリアのプラスティック部材は硬い表面が剥き出しだが、組み付けはしっかりとしている印象。ただし、鎌首をもたげたヘビのようなハンド・ブレーキだけは、その限りではない。

もっとも、ライバル車にしても、インテリアに高級感や優れた質感は望めないのだが。

■「買い」か?

楽しみたいならばマツダCX-3

モッカとほとんど変わらないサイズながら室内はそれより広く、しかも多少ながら安い。

ジュークやプジョー2008、スズキ・ビターラ(エスクード)の方が安い、と指摘されるかもしれないが、装備内容を見ればその認識が必ずしも正しくないことがわかるはずだ。

エントリー・グレードでも、ライバルたちの中間グレードと同等なのだから。

燃費も十分な競争力があるレベルで、ディーゼルであれば公的テストでも25、ガソリンでも18km/ℓほどをマークする。これで走りにも満足できたなら……と望むのは欲張りなのかもしれない。

実用性を一番に考えてクルマを選ぶなら、クロスランドXは候補に入れる価値がある。

しかし、走って楽しい小型SUVを探しているなら、ビターラかマツダCX-3にしたほうがいい。とにかく静かで安楽な移動手段を求めるのなら、ルノー・キャプチャーをおすすめする。

ヴォグゾール・クロスランドX 1.2T

■価格 £19,195(274万円) 
■最高速度 180km/h 
■0-100km/h加速 12.0秒 
■燃費 27.0km/ℓ 
■CO2排出量 95g/km 
■エンジン 直列4気筒1560ccディーゼル 
■最高出力 99ps/3750rpm 
■最大トルク 25.9kg-m/1750rpm 
■ギアボックス 5速マニュアル