<過去のブームと異なり、ヒット作ではなく、スキームの変化によって日本のアニメ界にブームが訪れている。アニメ業界関係者はなぜかあまり喜んでいないようだが......>

今、日本は「第四次アニメブーム」を迎えているという。

一般社団法人日本動画協会『アニメ産業レポート2016』によると、1963年から始まる第一次アニメブームが『鉄腕アトム』、1970年代後半の第二次が『宇宙戦艦ヤマト』、1990年代中盤からの第三次が『新世紀エヴァンゲリオン』『もののけ姫』『ポケットモンスター』など、過去3回のブームはいずれも大ヒット作品に牽引されたものだという。

しかし、2012年を画期とする第四次アニメブームはヒット作ではなく、スキームの変化によってもたらされたものだ。その変化とはなにか。

誰がこれからのアニメをつくるのか?――中国資本とネット配信が起こす静かな革命』(星海社、2017年)を執筆したジャーナリストの数土直志氏は、「ネット配信」と「中国」だと断言する。5月18日に日本弁理士会館(東京)で行われた、日本マンガ学会著作権部会で同氏の講演を聞いた。

数土氏は、ネット配信によって全世界でアニメ視聴者の層が確実に厚くなったと指摘する。日本でもバラエティやドラマなど他のジャンルと比べてアニメはネット配信が先行した分野であり、そのことが若い世代にアニメファンを増やす要因になったと分析している。

ネットにどっぷり使っている筆者のような人間からすると、日本語のインターネットではアニメ関係の話題が多いのはあまりにも自明だと思っていたが、積極的に新しいテクノロジーを取り入れたがゆえに新規ファンを拡大したとの分析には、はっとさせられた。

このネット配信だが、海外では巨大資本がしのぎをけずる戦場となっている。北米ではネットフリックス、アマゾンという巨頭に加え、日本アニメ専門の有料配信サイトのクランチロールが存在感を示す。クランチロールは日本国内での知名度は決して高いものではないが、今年2月時点で有料会員数が100万人を突破するなど好調を続けている。

中国ではテンセントビデオ、アリババ資本の優酷土豆、百度(中国最大手検索エンジン)資本の愛奇芸という三大IT企業の大手サービスを筆頭に、日本アニメ中心のビリビリ動画、独立系配信サイトの楽視など無数のプレイヤーがひしめきあっている。多くのプレイヤーが配信権を奪い合う状況が続くなか、日本アニメの配信権料が高騰し、業界に大きな利益をもたらしている。

アニメ産業レポート2016の「アニメ産業市場推移」によると、市場規模は2012年の1兆3333億円から2015年には1兆8255億円と増加した。約5000億円の上積みを見せたわけだが、うち約3400億円が海外市場の貢献によるものだ。

【参考記事】日本の映画館で『ワンピース』を英語・中国語字幕付きで上映する理由

高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)