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m-flo ☆Takuのare you Apple holic ?



音楽界きってのガジェットマニアと称される☆Taku Takahashiが、アップルの話題をディープに語る連載。今回はひさしぶりの新製品ニュースについて、ミュージシャン視点で語ります。

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──この連載を読んでくださっている方なら同じように感じていると思うのですが、アップルのCEOがティム・クック(★1)になった頃から、新製品の発表ペースがスローダウンしていますよね。また、全体的にマイナーチェンジ的なものが多くなったように思いませんか?

それを持って「アップルからイノベーション精神が失われた」と言う人もいるようです。しかし、客観的に見れば、この連載でも絶賛した『AirPods』など、画期的な良い製品をきちんと作っています。USB-Cへの一本化や、TouchBar(★2)が不評な『MacBook Pro』にしても、叩かれるくらいにミニマリズムを追求する姿勢は、ジョブズが生きていた頃からのアップル流。実は、もの作りの姿勢については、何も変わっていないと思っています。

★1 ティム・クック



2011年8月以降、ジョブズの後任としてCEOを務める。その経営手腕は高く評価されており、事実、アップルの株価はうなぎ登り。iPhoneの自動分解ロボ開発など、エコや社会貢献などの方面にも力を入れていることでも知られている。

★2 Touch Bar



昨年末発売の新『MacBook Pro』では、キーボード最上列のファンクションキーがタッチパネルに。操作感の激変に対する反発も大きいが「そのときに必要なものが目の前に出てくるのでとても便利です」と、☆Takuは愛用している。

──では、今のアップルには何も問題がないということですか?確かに、株価はグングン上昇していて、そう遠くない未来には時価総額1兆ドルを超えるなんて言われていますよね。

いや、株価が好調だからといって、問題がないとは思っていません。例えば、供給不足で『AirPods』がいまだに在庫なし(出荷まで6週間)というのは仕方がないとして、それほど人気があるというのが世界的に伝わりきれてないようにも感じるのです。また、新製品発表時のドキドキ感やワクワク感がないのも残念。あまり言いたくはないのですが、やはりジョブズのようなお祭り男が必要なのかも。

──製品は良くても、それ以外のところでつまずいているということですね。でも、どうすれば昔のように盛り上がるようになるんでしょうか?

ビックリするような製品が作りにくい世の中になっているのは間違いないので、それを前提にした発表方法に切り替えるべきだと思うんです。今のアップルはバレバレのサプライズパーティ(★3)をやり続けているような感じ。これまでとは違うやり方で盛り上げる努力が必要です。例えば、大きな会場に人を集めて発表会をするのではなく、何の予告もなしにドーンと新製品を発表するとか、ロンドンで毎年やっているApple Musicフェスティバルのようなイベントをもっと大規模にやるとか……。

★3 バレバレのサプライズパーティ



10年ほど前までは上手に新製品の秘密を守っていたアップルだが、ここ5年ほどは製造・流通工程からの情報漏洩が激しく、発表会のサプライズがぶちこわしになっていた。「もうそういう時代じゃないことを認めるべきです」(☆Taku)

──既に次世代iPhoneについても信憑性の高そうな噂がどんどんリークされていますからね。新製品発表会がその答合わせ大会というのは確かにシラけます。これまでとは違うやり方が求められているというのは、確かにその通りだと思いました。

噂にすらなっていなかった次世代『MacPro』について副社長が異例のコメントを出すなど、彼ら自身、既にそれに気がついているとは思うので、今後に期待しています。

──そのうえで、編集部としては、これまでになかった新製品の登場にも期待したいところです。

いや、個人的には最近のアップル製品・サービスはちょっととっちらかってしまっている気がしているので、むしろ整理・最適化してほしいです。それはUX・UIも同様。特に「Apple Music」は未だにわかりづらいですよね。あと『Apple TV』のコンテンツにテレビ番組を入れてほしい。現状では「Netflix」や「Amazonプライム」のラインナップのほうがずっと魅力的ですから。

──確かにこうした新興サービスに完全にやられちゃってますよね……。

後追いになりますが、アップルがオリジナルコンテンツ(★4)を作り始めたらすごいサプライズになるような気がします。噂の自動運転カーも悪くないのですが、それよりももっとアップルらしさを出せるところで勝負してほしい。映像や音楽コンテンツなんかは、実はアップルらしいはず。

★4 オリジナルコンテンツ



近年、動画配信の世界ではサービス差別化のためにオリジナルコンテンツを制作・独占配信する手法が一般的に。先行するNetflix、Amazonプライムなどは、日本人向けのオリジナルコンテンツも投入。新規ユーザー獲得に成功している。

☆Taku Takahashi(m-flo,block.fm)/音楽家、DJ。1998年にVERBALとm-floを結成。個人では加藤ミリヤ、MINMIなどのプロデュースを務め、海外アーティストのリミックスも積極的に行なう。小栗旬主演ドラマ『信長協奏曲』に続き、現在放送中の『人は見た目が100パーセント』の劇伴を担当するなど、その活動は多岐に渡っている。自身が運営するダンスミュージック専門インターネットラジオ「block.fm」は開局5周年を迎え、音楽の新たなムーブメントを発信し続けている。

インタビュー・文/山下達也(ジアスワークス)

※『デジモノステーション』2017年7月号より抜粋