ロマン・ポランスキー監督とエヴァ・グリーン - 第70回カンヌ国際映画祭にて
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 現地時間27日、第70回カンヌ国際映画祭でロマン・ポランスキー監督のスリラー映画『ベイスド・オン・ア・トゥルー・ストーリー(英題) / Based on a True Story』(アウト・オブ・コンペティション部門)の公式会見が行われ、ポランスキー監督が原作ものの作品を作る際に気を付けるべきことを語った。

 デルフィーヌ・ド・ヴィガンの小説を『戦場のピアニスト』のポランスキー監督が映画化した本作。新作の成功に圧倒されてスランプに陥った作家デルフィーヌのもとに現れたのは、彼女の大ファンだというエルという名の美しい女性。デルフィーヌ以上に彼女のことをよく知るエルとの友情は、次第に不穏なものになっていき……。『パーソナル・ショッパー』のオリヴィエ・アサイヤス監督が脚本を執筆した。

 「オリヴィエはわたしをとても助けてくれた」と切り出したポランスキー監督は、「わたしはこれまで何本もの小説や劇を映画化してきたが、一番気にしているのは、オリジナル版から“行き過ぎた”ものにしないようにということ。子供のとき、わたしが大好きな小説が映画化されて失望することがよくあった。キャラクターの何人かがいなくなり、新しいキャラクターが登場したり、ストーリーラインが全く違うものになっていたり」と少年時代の経験から、自分はそれと同じ轍は踏まないよう意識していると明かす。「オリヴィエは500ページもの原作を脚本にしたが、何も失われていない」とアサイヤス監督の仕事ぶりをたたえた。

 デルフィーヌとエルの関係を軸に物語は展開し、緊張の度合いを高めていく二人のやり取りが刺激的。デルフィーヌにはポランスキー監督の妻でもあるエマニュエル・セニエがふんしており、夫婦で働くことの難しさを問われたポランスキー監督は「わたしは撮影現場ではとても気を張り詰めているから、家に帰ったら仕事のことは忘れたいのだが、エマニュエルはその日あったことを話したがる。それが唯一の難点だね」と笑う。対するエル役は『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』のエヴァ・グリーンで、久々の母語フランス語で謎めいた美女を魅力たっぷりに演じている。

 今年のカンヌで大きなトピックとなったNetflix問題(2作がコンペティション部門に選出されたが、どちらもフランスでは劇場公開されずに配信のみという問題)に関連して、映画の未来についての質問も出た。ポランスキー監督は「心配はしていない。人々は大きな画面やよりよい音を求めているのではなく、その“経験”に参加できるから映画館に行くんだ。ウォークマンが登場したとき、もはやコンサートは終わりだと言われたが、実際終わっていない。人々と一緒に鑑賞する良さがある。『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』は一人で観るより、皆で観た方がいいでしょ?」と唐突にサシャ・バロン・コーエン主演のおバカコメディーの名前を出して会場を沸かせた。(編集部・市川遥)