C大阪に5日間で2連敗。神戸にとっては屈辱的な2試合になった。写真:川本学

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 C大阪と5日間で2回対戦し、2度敗れた。5月24日のルヴァンカップではメンバー総入れ替えのいわば2軍に、その4日後にはフルメンバーに1-2というスコア以上に圧倒された。神戸にとっては屈辱的な2試合になったと言っていい。順位こそ8位のままだが、暫定で首位に立つ柏との勝点差は7に広がった。

 大事な一戦を前に、神戸は右サイドバックの高橋峻希が負傷。バックアッパーの藤谷壮がU-20ワールドカップでチームを離れているなか、本職がセンターバックの伊野波雅彦を起用しなければいけないという台所事情となった。さらに、左サイドバックの橋本和も離脱。こちらには何度もサイドバック経験がある松下佳貴が起用された。
 
 一見、特に問題らしきものはないように思われた。だが、C大阪の両サイドはタレント揃い。右は前に清武弘嗣、後ろが松田陸、左は前が柿谷曜一朗、後ろは丸橋祐介。個々の能力的には伊野波と松下で十分に対応できるはずだが、周りとの連係を考えるとサイドの攻防はC大阪にアドバンテージがあったように思われる。
 
 実際、前半は丸橋にいいように攻められた。21分頃にはGKキム・ジンヒョンの鋭いフィードから丸橋がコーナー付近でボールをキープ。一度は止められたが、中坂勇哉が丸橋にボールを奪われ、最後はソウザが強烈なミドルを放った。シュートはGKキム・スンギュの神セーブで阻止したものの、中坂がこの位置まで戻らされている時点でサイドのイニシアチブはC大阪が握っていたと言っていい。
 
 そして29分に失点した後もC大阪に上手くサイドを使われ続けた。たまらず36分に左サイドハーフの大森晃太郎を下げて、前線でタメが作れるウエスクレイをトップに入れた。指揮官ネルシーニョは「彼を入れたことでチームの集中力は上がった。前で起点も、タメもできて、自分たちのリズムやチャンスも次第に作れるようになった。流れを自分たちの方に引き寄せ同点にできた」と試合後にコメントしている。
 
 その通りだが、実はもうひとつポイントがあった。なぜ、久々のスタメン復帰でトップに起用された小川慶治朗ではなく、大森との交代だったのか、である。
 小川といえば、J1でも屈指のスプリント回数を誇る選手で、相手陣内深くに攻め込んだかと思うと、最終ラインまで一気に戻ってくることもしばしば。松田に前で圧力をかけつつ、松下のサポートもできる稀有な存在だ。それでいて、やや守備に課題のあるウエスクレイのフォローもできる。その選手をピッチに残した。

 そして39分に渡邉千真の同点ゴールが生まれた。リスクマネジメントとアクセントを両立させた、戦術家ネルシーニョらしいカードの切り方だったと言えるだろう。

 だが、C大阪の尹晶煥監督も選手起用では負けていなかった。59分にエース柿谷曜一朗を下げ、運動量のある水沼宏太を送り込む。そして水沼が期待に応え、64分に決勝点を決めることになる。

 その後、小川と中坂を2枚同時に変えて反撃を試みた神戸だったが、逆にサイドを再びC大阪に支配される結果になった。

 もちろん、手持ちのカードが違うので評価は難しいが、指揮官の采配において今回は尹監督に軍配が上がったと言える。だが、尹監督の柿谷を下げた理由は、やや“野生の勘”のような部分があるから興味深い。試合後の記者会見で彼が語った柿谷交代の意図はこうである。

「まず雰囲気を変えるためでした。その時は(ピッチが)淀んでいるように見えた。そういう状態のまま試合を続けると、また失点する可能性が出てくると思ったので、もっと活発に動ける選手が欲しかったので交代させました」

 だから、サッカーは面白い。

取材・文:白井邦彦(フリーライター)