5月28日の新潟戦で2ゴールを挙げたクリスラン。自らの得点でチームを勝利に導くとともに、友人に捧げるゴールとなった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大

 5月28日にユアテックスタジアム仙台で行なわれたJ1リーグ13節の仙台対新潟のゲームは、呂比須ワグナー新監督率いる新潟がこの日も前節の札幌戦同様のしたたかな戦いを見せた。62分、仙台の不用意なミスからボールを奪った新潟MFの小泉慶が前線の山崎亮平へと素早くつなぎ、最後はゴール前の混戦となったところをMFチアゴ・ガリャルドがゴールを決め、強烈なカウンターパンチを食らわせた。
 
 前々節の大宮戦でも前節の横浜戦でもカウンター攻撃を受けて失点し、勝利を逃した仙台には嫌なムードが漂ったが、流れを変えたのは仙台のエースストライカーだった。
 
 66分、FW西村拓真と同時にピッチに送り出されたFWクリスランは83分、西村とのワンツーからペナルティエリア内に進入したところで新潟DFの富澤清太郎に倒されPKを獲得。ゴール左に豪快にPKを決めて同点に追いついた。
 
 そして直後の84分、MF永戸勝也からの鋭いクロスボールを左足でワントラップし、足を伸ばした体勢で左足を振り切り、ゴール左へとシュートを突き刺した。ピンポイントのクロスボールを送った永戸も「ワントラップで打つと思った。アシストが付いたので感謝している」と語るなど、味方の予想をも超えたトラップからのスーパーゴール。これで逆転に成功した仙台が2-1で、開幕戦以来の勝利を飾った。
 
 難しい体勢からの2得点目についてクリスランは「格好つけようと思ったわけではない。あれしかできなかった」と謙遜したが、素晴らしいゴールだったことは間違いない。
 
 そしてエースは試合後、このゴールをある選手に捧げたいと語った。それは試合翌日に仙台を離れるチームメイトへ送られたものだった。
「もちろんパブロ・ジオゴのためのゴールだ。彼に捧げようと思った。試合が終わった後、彼に『(ゴールは)お前にだよ!』と声をかけた。一生懸命練習に取り組んでいたし、ブラジルでも活躍を期待したい。一生の友人ができて良かった。良い思い出がいっぱいある。キャンプも同部屋で、シーズン中もお互い家へ遊びに行ってバーベキューもやった」
 
 試合直後、仙台はパブロ・ジオゴの期限付き移籍満了を発表した。独特のリズムのドリブル突破からチャンスメイクができるMFだったが、今シーズンの3-4-3フォーメーションでのサッカーにうまくフィットできず、公式戦ではずっとベンチ外の状況が続いていた。
 
 これでリーグ戦通算6ゴールのクリスラン。残念ながらチームにフィットできず、シーズン途中で仙台を去り帰国する友の分まで、大いに活躍してほしいものだ。
 
取材・文:小林健志(フリーライター)