羽生結弦氏が平昌五輪のショートプログラムに「バラード第1番」を起用した理由をしばし考えていたら俄然燃えてきた件。
これがバライチ1、これがバライチ2、そしてこれが…バライチ3だぁぁぁっ!

ファーストインプレッションは平穏、セカンドインプレッションは納得、そしてそのあとに押し寄せてきた気づきによって、僕は「ふぅぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」となりました。羽生結弦氏が、平昌五輪シーズン勝負のショートプログラム曲にショパンのバラード第1番を選んできたこと。その意味、そのめっちゃ凄そう感に。

まず、どういった曲を選ぶべきかという一般論から考えていきます。

今回の平昌五輪のテーマというのは「史上最高の金」です。誰しもが目指す当然の目標として金メダルを獲得し、さらに自身が持つ世界最高記録を超えていく。得点、結果、出来栄えすべてで最高の自分を歴史に刻みつけることが目標です。

これは「現世界王者」「前回金メダリスト」「世界最高記録保持者」という実績からして当然目指すべきところであり、ぜひクリアしたい。勝つだけではない、永遠の記憶を残す。もしかしたら叶うかもしれない「世界平和(※演技の美しさで哀しい戦いを止める)」などのさらなる上位の目標に挑むためにも、「史上最高の金」以下に目標を後退させるわけにはいきません。

「勝つ」ということを考えたとき、やはり必勝パターンとなるのはショートでリードしての先行逃げ切り。去る世界選手権ではフリーでまくって勝利した羽生氏ですが、やはり追い上げるのはラクではありません。そして、もし万一の失敗があったとき、よりダメージが大きくなる可能性があるのは要素ヌケのノーカンが頻発するショートです。ここをどれだけ万全の演技にできるか、それが勝負の一丁目でしょう。

その意味で、SPに不安要素は残しておけない。「挑戦」のターンは今季で終わりです。とかく世間では2016-2017シーズンの羽生氏に対して「前季に比べると…」みたいな見方をする人がいますが、それは当たらないでしょう。2015-2016の戦い方はアレで限界値。より上を目指すには一度組み直して、器を大きくするターンが必要だった。

その「器を大きくするターン」を、羽生氏は2017世界選手権でのフリー世界最高記録更新という形でフィニッシュしました。ここにいたる戦いのステップというのは素晴らしかったと思います。さまざまな競技を追うなかで悟ってきた「今、こういうことしないと本番で負けるんだよねー」という僕の経験則に基づく不安を、彼はすべて払拭してきている。

「五輪前年に強い選手は、五輪当年に不安」

これは僕の経験則のひとつです。理想的な過程としては、五輪前年はやや苦しみ、当年に入って安定の連勝街道に乗るのがベストです。五輪当年というのは、基本的に成長することはできません。新しい技術にチャレンジするのは怖いですし、それを習熟させる時間もありません。付け焼刃で戦えるほど五輪は甘くなく、本番の前に予選という絶対に勝たなければいけない戦いもあります。五輪当年は成長などしている場合ではないのです。成長すべき時期は前年であり、当年は磨いて完成度を高める時期。苦しむべきは前年です。

また、五輪前年に強すぎると、他選手の厳しいマークに合います。「コイツに勝つにはどうしたら…」という検討をオフにじっくりやらせるのは、相手に準備期間を与えすぎです。「コイツも強いが、アイツもアイツも要警戒」と一本に絞らせない程度の強さがいい。人間というのは、2年も絶好調がつづくほど、安定した生き物ではありません。前年の絶好調をイメージしていると、得てして当年はそれ以下だったりするものです。

僕がさすがだなと感じたのは、シーズン最終戦となる国別対抗戦後に来季の演技構成を問われたときの反応でした。「構成は大きく変える予定はまずない」「今季せっかく挑戦してきたので、これをよりよい形にしたい」という主旨の話をしていましたが、僕はその方針に小さく拳を握りました。

もし、ほかの選手の多種4回転に対抗してルッツやらフリップやらを入れようとしていたら止めなくてはと思っていましたが、その心配は無用でした。それは五輪以外でやればいいこと。「挑戦は前年まで、当年は完成度重視」という勝利への道を、羽生氏は自身の意志でしっかりと選び取ってくれていました。五輪では120%できることしか100%でできないと、骨身で知っているのでしょう。いい判断だと思います。

ショートでは絶対に勝てる演技を。

完成度を高めて120%の演技を。

その意味では、SPに「バラ1」というのはアリです。興味だけで言えば、斬新な新曲というのも望みたいところですが、勝利から逆算すれば最善の策でしょう。この曲ならば、すべてをつかんでいるし、「曲が微妙に魂と合わない…」という「やってみたら違った」系のアクシデントとも無縁です。鉄板曲です。「なるほど……アリだね」という平穏から納得への流れ。

そして、ここから冒頭の叫びに戻るのですが、ふと気づいたのです。複数段階変身って燃えるな、と。少年漫画とかでもそうじゃないですか。『ONE PIECE』のルフィはギア4まであるし、『ドラゴンボール』の悟空は超サイヤ人3とか4とかまであるし。羽生結弦バライチ1(何かスゴそう)、羽生結弦バライチ2(パ、パワーアップしただと…)、羽生結弦バライチ3(ま、まさか、まだ上があったのか…!)があったっていいんじゃないですかね。番号が増えたら絶対強くなってる感じで!

↓「ま…まだ上があるというのか…どうなってやがる…!」とベジータの声で言いながら見守ると燃えます!

バライチ1:「私は3人の中では弱いが…普通に強い」
バライチ2:「私はいまんとこ世界で一番強い」
バライチ3:「私はたぶん1と2より強い」
バライチ4:「そして私がフリーに現れる…!」
バライチ4:「ダメか?フリーに出たら」
バライチ4:「ダメな決まりあったっけ?」
バライチ4:「真央さんのリチュアルダンスとか」
バライチ4:「同じの2回ってのもアリだよな?」
バライチ4:「だから私も2回出る」
バライチ4:「そもそもショパンのバライチって」
バライチ4:「10分くらいある大作じゃん?」
バライチ4:「SPとフリー足して7分強じゃん?」
バライチ4:「2回いけますわなぁ」
?????:「待てい!」
バライチ1:「貴様!」
バライチ2:「何者だ!」
バライチ3:「まさか、お前が現れるとは…」
バライチ4:「待っていたぞ、バライチ5!!」
バライチ5:「私が現れた意味、わかるか?」
バライチ1:「ま、まさか…」
バライチ2:「常識では考えられないが…」
バライチ3:「いや、この名曲ならあり得る…」
バライチ4:「あとひとつ演技はある…か」
バライチ5:「そうだ!」
バライチ5:「私こそが!」
バライチ5:「ファイナル・エキシビション!」
バライチ3:「SPを完璧に決め!」
バライチ4:「フリーで次元の壁を超え!」
バライチ5:「エ・キ・シ・ビ・シ・ョ・ン!」
バライチ1:「全部同じ曲に聴こえる…」
バライチ2:「同じ曲だから同じに聴こえる…」
バライチ3:「同じではない!」
バライチ3:「3はツィマーマンの演奏で」
バライチ4:「4はブーニンの演奏で」
バライチ5:「5はピコ太郎の打ち込みとか」
バライチ3:「そんな感じで変えていく」
バライチ1:「そんなんでいいのか!」
バライチ2:「なるほどな…」
バライチ1:「なるほどじゃない!目を覚ませ!」
バライチ2:「いや、逆に斬新な気がしてきた」
バライチ1:「せめてバラード2番をやろうや!」

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与太話は置いておくとして、バライチ3はバライチ1や2と比べてもだいぶ違うことは確かです。ファンタジーオンアイス2017での演技を見ると、まず冒頭のジャンプが4回転ループに置き換わるようで、ジャンプの入りと出もイーグルで挟む形になりました。2番目の要素はフライングキャメルスピン、3番目の要素は足換えのシットスピンとしてスピンを前半に持ってくる流れに。

そして演技後半に入ったところでカウンターから入るトリプルアクセルを入れて、曲が激しく盛り上がる位置にあわせて4回転トゥループ+トリプルトゥループを入れたうえで、見せ場のステップにつなぐという形。コケた場合に盛り上がりを大きく損ねる怖さもありますが、ハマったときには4回転ドーン!ステップドーン!で大盛り上がりになる配置です。

最後はこれまで同様に足換えのコンビネーションスピンから両手をパッと掲げるポーズで決める、と。最初と最後は同じで、途中はいろいろと違っている。得点という意味では4Sが4Loになったことでの積み増しと、コンビネーションジャンプが演技後半にいったことでの積み増しで、バライチ2より合計3点ほど増える格好。

ひとつひとつはこれまでも練習してきた要素であり、すでに100%には達していてもいい内容です。これを120%まで上げていけば、夢のGOEオール+3であるとか、PCSで10.00並びとかの限界地点が見えてくる。勝ちにいくにふさわしいプログラムになることは間違いないでしょう。

↓1年前の時点で基本的なところは仕上がっていて、ここからすべてが磨きの時間!


もう仕上がっているのに、今季よりも昨季よりも点は増える!

器が大きくなったことで、ちょっと畳んでも前よりもまだ大きい!

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これで羽生氏はSPには何の不安もない状態でフリーの作り込みに時間をさけるでしょう。まさかのフリーでバライチ4という可能性もゼロではないでしょうが、一般論で言えば新曲になるはず。フリーを練り上げることに集中できる環境をショートの盤石さが作ってくれれば、フリーもまた盤石に近づくはず。

曲目は、SPがクラシックのバラードで攻めるなら、フリーは演劇系のドラマティックなナンバーでしょうか。SPとガラッと変えるという意味ではコミカル系も悪くはないですが、「最後かもしれない五輪でそれ?」という演目は、まぁないんだろうなと思います。本人のキャラクターとマッチしたものでなければ、これが最高の演技だという感じにはならないでしょうし。

大事なのは勝っても負けても「このフリー」が何度となく繰り返される記念碑となること。それに耐えるには「時を超える」演目であることが必要です。100年、200年経ってもすり減らない楽曲、流行りすたりのない楽曲、そういうものを選んでいってほしい。流行りの曲がダメとは言いませんが、100年・200年という話になるかというと難しいだろうと思います。どんな狙いで、どんなサプライズを起こしてくるのか。発表の時が待たれますね。

↓史上最高になるためには超えなければいけないものがたくさんあるから、楽曲もそれに値するものを!

バライチ3:「ふぅー、終わった」
バライチ3:「あとはフリーに託すだけ…」
?????:「お疲れ」
バライチ3:「貴様…バライチ4か?」
?????:「同じ曲のわけないだろ」
バライチ3:「では、バライチ5か?」
?????:「4がないなら5もないだろ」
バライチ3:「では何者だ!」
?????:「私は…ロミジュリ3!」
ロミジュリ1:「初めましてバライチ君」
ロミジュリ2:「複数段階変身できるのは」
ロミジュリ3:「キミだけではない」
バライチ3:「待て、待て」
バライチ3:「1と2って、別の映画だろ?」
バライチ3:「それつながってなくね?」
ロミジュリ1:「違ったっけ?」
ロミジュリ2:「何か、神経質だなアイツ」
ロミジュリ3:「広い意味で一緒だろ」
バライチ3:「いやいやいやいや」
バライチ3:「狭い意味で考えろよ」
ロミジュリ1:「曲が違ったっていいじゃん」
ロミジュリ2:「ハートは一緒だよ」
ロミジュリ3:「そうだそうだ」
バライチ3:「にしてもなぁ」
ロミジュリ1:「じゃ、私は『+』と呼べ」
ロミジュリ2:「私は『と』だな」
ロミジュリ3:「で、私は『and』」
ロミジュリ1:「私は今の時代だと弱いかもだが」
ロミジュリ1:「たぶん一番人気がある」
ロミジュリ2:「我々を超えてこそ」
ロミジュリ2:「史上最高の演技なのでは?」
ロミジュリ3:「揉めるだろ、今のままじゃ」
ロミジュリ3:「だから私が超える」
バライチ3:「いやー、いやー…」
バライチ3:「これじゃベストアルバムみたい…」
ロミジュリ1:「一番売れるのは大抵ベストだろ」
ロミジュリ2:「ベストの何が悪い」
ロミジュリ3:「そうだそうだ」
バライチ3:「そっちがそんな感じなら」
バライチ3:「コッチ何とかしたほういいって」
ロミジュリ1:「大丈夫だって」
ロミジュリ2:「ハートは一緒だけど」
ロミジュリ3:「全然違う曲だから」
バライチ3:「ホントに大丈夫かな!?」
ロミジュリ1:「大丈夫だって!」
ロミジュリ2:「曲で点つけるんじゃないもん!」
ロミジュリ3:「それに、わしらご無沙汰だし!」
バライチ4:「ウチらも1年ぶりだし大丈夫」
バライチ5:「お前、神経質すぎるぞ」

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そして、その会話に静かに忍び寄る「白鳥の湖」がいたのだった…!