米国「アンチエイジングの女王」は35歳、年商60億円突破へ

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見据える先は1500億ドル(約17兆7000億円)のアンチエイジング市場──。モデル出身のジェイミー・オバニオンが皮膚科医の父と始めたスキンケア用品ブランド「ビューティー・バイオサイエンス」(Beauty Bioscience)が好調だ。

テキサス州ダラスを拠点とする同社は、2016年の春に販売開始したローラー型美顔器「GloPRO」がヒットし、年商が3000万ドル(約33億円)以上に急増。35歳のCEOであるオバニオンは、自身の性格を「カウボーイ気質。負けるリスクを冒してでも大きな賭けに出ない限り、大当たりを掴むことはできません」と表現する。

オバニオンの美容業界歴は長い。父のテリー・ジェームズがスキンケア用品の原料を作る研究所の経営に携わっていた関係で、ティーンになる前から父の出張に同行していた。その後、ブリガムヤング大学に進み、卒業後は同研究所の商品開発・マーケティング部門のディレクターに就任。研究所は世界的な化粧品ブランドの数々と提携してレチノールなどの美容成分を作っていたが、オバニオンはブランドの多くがコストダウンのため、推奨量をはるかに下回る量の美容成分しか配合していないことを知り、失望したという。

「適切な成分を、適切な濃度で、狙った細胞に届かせる。独自の処方でそれを行うのがビューティー・バイオサイエンスの商品です。残念なことに、そのような商品はこの業界にごくわずかしかありません」

2008年、オバニオンは自身のブランドを立ち上げることを決意し、父と共同で「オーガニケア」(Organicare)を創業。しかし不況で消費が冷え切っていたこともあり、同ブランドはすぐに暗礁に乗り上げた。消費者には「オーガニックとナチュラルの違いすら認知されなかった」とオバニオンは振り返る。

テレビ通販で全米に大旋風を

2011年、親子は新たなブランド「ビューティー・バイオサイエンス」として、テレビ通販のホームショッピングネットワーク(HSN)上で再デビューを果たした。商品第一号は、アンチエイジングの有効成分であるレチノールの濃度を45日間かけて少しずつ上げていく、200ドルの若返り美容液セット「RetinoSyn-45」。ブランドは軌道に乗り、オバニオンは保湿成分入りの日焼け止め、保湿クリーム、クレンザーなど商品ラインナップを増やしていった。

ローラー型の美顔器「GloPRO」の開発に乗り出したのは2012年。「GloPRO」のヘッド部分にはマイクロニードルと呼ばれる微細な突起が540個あり、これらの突起による刺激が肌のターンオーバーとコラーゲン生成を促進する。オバニオンは、ユーザーが痛みを感じることなく最大のアンチエイジング効果を得られる形状を追究し、時間をかけてテストを重ねた。「肌は美容成分を通しません。高価なスキンケア用品をただ塗布しても、表面に留まり、洗い流されるだけです。GloPROを使うことで有効成分が肌の奥に届き、吸収率が200倍になります」(ビューティー・バイオサイエンスは41-64歳の女性が「GloPRO」を1日1分、週3日使った場合、シワが30%減少すると宣伝している)

美容業界の名門「ガシー・レンカー」の支援も

マーケティング面では2015年、ガシー・レンカー(Guthy-Renker)の出資を受けたことが追い風になった。同社はニキビケア用品のプロアクティブや、シンディ・クロフォードがプロデュースするアンチエイジング化粧品Meaningful Beautyなどの通販番組を手がけるダイレクトマーケティング会社だ。

2016年4月、「GloPRO」はHSNで初公開された。オバニオンは、下半分に濃いピンク色、上半分に薄いピンク色の粒状チョコレートを敷き詰めた透明のガラスの花瓶を持って出演し、上から銀色の棒を刺しながら、「GloPRO」のマイクロニードルが角質層を抜けて肌の奥深くに浸透する様子を再現した。「(専門知識を持たない)すべての視聴者に仕組みを理解してもらう必要がありました」とオバニオンは言う。わかりやすい説明が功を奏し、「GloPRO」は番組終了10分前に完売した。

現在、「GloPRO」はHSNで視聴者に直接販売する他、ニーマン・マーカス、バーグドーフ・グッドマン、ノードストロームなどの百貨店にも卸している。2017年の年商は、昨年の倍の6000万ドル(約66億円)に達する勢いだ。会社の40%を所有していると見られるオバニオンの推定資産額は5000万ドル(約56億円)。フォーブスの「一代で富を築いた米国の女性富豪ランキング」入りも遠い夢ではない。オバニオンは言う。「長期戦に挑むことになるでしょう。成功したと言えるのはブランドを築き上げてからです」