by James

空腹時にスーパーマーケットに行って食べきれないほどの食料品を購入してしまったり、欲望のままに山ほどのジャンクフードを購入してしまった人も多いはず。そこで、オランダの研究者らが、心理学の実験から判明した「空腹時でもヘルシーな買い物ができるコツ」を公開しています。

The Hunger Games: Using hunger to promote healthy choices in self-control conflicts

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195666316308029

Shopping Hungry? Psychology Trick Could Stifle Bad Food Choices

http://www.livescience.com/59285-shopping-hungry-mental-tricks.html

今回の研究を率いたのはユトレヒト大学で心理学を研究するTracy Cheung教授。2017年5月11日発行のAppetiteに掲載された論文によると、心理学を利用すれば空腹時の「食べ物を衝動的に購入する」ことを、「ヘルシーな食べ物の選択」に利用できるとのこと。

Cheung教授らはまず、「空腹時の人はヒューリスティクスによって決定を下しがちである」という仮説を立てました。ヒューリスティクスは合理的かつ短絡的に問題を解決するための思考のことで、結果にバイアスが生じるため必ずしも正解が導かれるわけではないものの、「判断に至るまでの時間が短い」ということが特徴。空腹時の人が「判断に至るまでの時間が短いこと」を重視して決定を下しているとすれば、ヘルシーな選択肢を選ぶまでの時間を短縮してやることで、人はヘルシーな食べ物を選びやすくなるというわけです。

実験で用いられたのは「社会的証明のヒューリスティック」。これはつまり、大多数の人が賛同し信頼性を持ったことがヒューリスティクスとなるというものです。

研究では2つの実験が実施されました。1つ目は、オンラインを通して約200人の被験者に質問に答えてもらうというもの。被験者らには「今どのくらい空腹かを7段階で答えてください」という質問を行った上で、目の前に表示された6つの組み合わせの食べ物の中から、好きな食べ物を選んでもらったとのこと。この時、それぞれの食べ物はサラダのようにヘルシーなものと、ファストフードのようなヘルシーではないものがありました。そして、被験者のうち半分には、6ペアの食べ物の下に「これまでの回答者が『ヘルシーな食べ物』として選んだもの」という文字が表示されていました。 この実験では、「自己申告した空腹レベル」と「自制心」の関係が調べられたところ、空腹でない人はヘルシーな食べ物を適度に選択できるのに比べて、空腹である人は自制心が失われやすいという結果が示されたとのこと。また、社会的ヒューリスティックが食べ物の選択に影響を与えていることも示されました。



by Raquel Martínez

さらに2つ目の実験は、実際に空腹の被験者を対象に現実世界で行われました。研究者らはカフェテリアに向かい、これから食事をしようとする人と、既に食事を終えた人に対して、第1実験と同様にいくつかの食べ物の組み合わせを見せて食べ物を選んでもらいました。この時、第1実験と同様に、半数の被験者には食べ物と一緒に「これまでの被験者が選んだヘルシーな食べ物」をチャートで表示させたとのこと。

すると、第2の実験でも、空腹である人は食後の人々に比べて「ヘルシーな食べ物」を選ぶ確率が明らかに低いという結果に。しかし、「ヘルシーな選択肢」を示すチャートを見た被験者は、ヘルシーだとされる食べ物を選ぶ割合が多くなったとのことです。このことから、社会的ヒューリスティックには、空腹時に人が選ぶ食べ物のチョイスを変更できる力があると研究者らは結論づけています。

「大量に食べ物を持ち帰るという衝動的な行動は、空腹痛の経験によるもので、それ自体は常に悪いものではありません」とCheung教授。人はたとえ空腹時であっても、生鮮食品売り場に人を誘導するようなお店やレジの隣に新鮮な果物が置いてあるようなお店のような「ヘルシーな食べ物を推奨するような環境」であれば、ヘルシーでない食べ物を選択せずに済むとのこと。逆に言うと、空腹時にはジャンクな食べ物しかない環境には向かわない方がよいと言えそうです。



by Nicolas