イタリア戦で2得点を決めた堂安(7番)。ベネズエラ戦でも活躍が期待される。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 10年ぶりに臨んだU-20ワールドカップで10年ぶりの決勝トーナメント進出を果たしたU-20日本代表。GK林彰洋、DF内田篤人、槙野智章、MF柏木陽介、香川真司らを擁した2007年大会以来の快挙である。今回はその決勝トーナメント全体について考えてみたい。
 
 1回戦の相手はベネズエラ。かつては「南米で唯一の弱小国」などと揶揄されたものだが、完全に「今は昔」。激戦の南米予選ながら、2009年にU-20ワールドカップへの初出場を果たしていきなり16強入りすると、2013年にはU-17ワールドカップへも初出場。欧州に活躍の場を移す選手も確実に増えており、国としての着実なレベルアップが感じられる。
 
 ちなみに、日本とは初出場だった2013年大会のグループステージ第2戦で対戦しており、この時は日本がFW渡邊凌磨(当時・前橋育英高、現・インゴルシュタット)の2得点などで日本が3-1と快勝を収めている。年代がひとつ違うので直接的な参考にはならない結果だが、現U-20日本代表でも三好康児、坂井大将のふたりはこの試合に出場しており、彼らの持つ勝利経験はポジティブな材料と言えそうだ。
 
 このベネズエラ戦を乗り越えると、次に待っているのはF組1位のアメリカ代表とE組2位のニュージーランド代表の勝者となる。
 
 アメリカ代表は日本で事前合宿を張っており、トゥーロン国際大会に向けて準備していたU-20日本代表候補(今回のメンバー入りを果たせなかった選手や下の世代の選手で構成されたチーム)とトレーニングマッチで対戦済み。準備段階で不完全な仕上がりだったものの、ソリッドな組織力をベースにしつつ、17歳ながら大活躍を見せているFWサージェントら、タレントのある選手を複数そろえた好チームに仕上がっている。
 
 対するニュージーランドはラグビースタイルを極めた、分かりやすいキック&ラッシュのチーム。前回大会で初の16強入りを果たしており、連続16強の快挙を為し遂げたことになる。フィジカルを前面に押し出すスタイルは、仮に対戦が実現するなら、日本にとってちょっと嫌なタイプかもしれない。
 
 ただ、このカードは日程の違いによって日本(あるいはベネズエラ)にとって奇妙なほどに有利になっている。ラウンド16の試合から日本とベネズエラの勝者は中4日でこの準々決勝へ臨むのに対し、アメリカとニュージーランドの勝者は中2日で試合が巡ってくる。しっかり休養することができ、スカウティングを含めた十全の準備ができる前者が圧倒的に有利な日程であることは明らかだ。
 
 この準々決勝でも勝利すると――などと言っているのは取らぬ狸の皮算用といった感じがしてくるが、準決勝で待っているのは、順当にいくと開催国の韓国か、グループステージで苦杯をなめた南米王者のウルグアイだろう。アルゼンチンを蹴落としてグループステージを突破してきたホスト国の地力に疑問はなく、実際に大会前の親善試合で韓国はウルグアイに快勝を収めてもいる。もし日本が勝ち残れた時、準決勝で“日韓戦”となっても、決して驚きではない。
 
 もっとも、グループステージでは振るわなかったポルトガルも個々のタレントについての評価は高く、彼らの巻き返しもあるかもしれない。アジアの決勝で対峙したサウジアラビアも決して弱いチームではなく、“日本のお隣”は、かなり激戦のブロックと言えそうだ。
 
 そして決勝は――とまで言ってしまうと、もう完全な皮算用なので、このあたりでやめておこう。いずれにしても、5月30日のラウンド16・ベネズエラ戦に勝たないことには何も始まらない。先を見据えて戦って勝てるような相手でないことは言うまでもなく、一戦必勝の態勢で臨んでいくべきだ。もちろん、少しばかり夢を見ておく自由もあるとは思うけれども。
 
取材・文:川端暁彦(フリーライター)