ローソンの店舗(「Wikipedia」より)

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 日本へ旅行に来る中国人といえば“爆買い”というイメージがあったが、その消費動向は一変しているという。流通ジャーナリストの渡辺広明氏が言う。

「以前は、中国からのお客さんは、炊飯器やトイレの温水浄水器など1種類を、転売目的で複数買うことが多かったのですが、中国政府が国内消費を喚起しようと、2016年4月から個人への関税を強化したことも影響し、今は自分の欲しいものだけを買うようになっています」

 注目すべきは、アリペイ(Alipay)カードの利用状況だという。中国名は「支付宝(ジーフーバオ)」という。

「アリペイカードは、4.5億人くらいの中国人が使っていて、中国国内だけでも200万店以上の加盟店があります。中国のモバイル決済の8割くらいがアリペイカードで行われています」

 アリペイカードは、インターネット上での売買の決済に使われるだけではない。スマートフォンなどに機能を搭載してコンビニエンスストア、レストラン、映画館などでも使えるのだ。

「中国でコンビニなどに行くと、アリペイ決済が当たり前という感じで、日本よりもキャッシュレスが進んでいます。日本に来る中国人にも同じように買い物してほしいということでしょう。1月から日本のローソン全店でアリペイが使えるようになりました。1月27日〜2月2日の春節(旧正月)に25万人くらいの中国人が日本に来ましたが、ローソンではアリペイが5万2000件くらいの買い物で決済に使われました」

中国人観光客の行動に変化

 その買い物の内容に、日本に来る中国人観光客の行動変化が表れているという。

「アリペイを使って一番売れていたのは、200ミリリットル紙パック入りの牛乳です。2位がその500ミリリットル入り。中国人は、朝食に必ず豆乳を飲むらしいのですが、日本で売っている調製豆乳は中国の豆乳と違うらしいのです。だから、豆乳を買わないで牛乳を買うようです。中国には温かいものを飲む文化が強く、店員は牛乳も『電子レンジで温めて』と言われることもあります。

 第3位がおでん、第4位が肉まん、5位が2リットル入りの飲料水、6位がその500ミリリットル入り、7位が乳酸飲料、8位がフライドチキン。朝食のためだったり、日本のファストフードへの興味もあったりといろいろですけど、買われている場所は“爆買い”が起きていた東京・銀座や大阪・心斎橋、福岡とかではなく、ホテルの近くの店舗。つまり、暮らしのニーズとして買っているということです」

 つまり、中国の人々は、日本の旅に慣れてきたということだろうか。

「日本に来る中国人の旅のスタイルは、洗練されてきています。ショッピングにしても、ドラッグストアや百貨店だけでなく、多様な情報を収集していろんなところに行くようになっています。中国人は年間600万人くらい日本に来ていますが、2020年の東京オリンピックまでには1000万人くらいに増えると思います。アリペイの利用データなどを分析してうまく活用しながら、中国人の旅の変化に対応する時期に入ってきたのではないでしょうか」

 買い物のための旅ではなく、日本そのものを楽しんでくれるようになったのなら、実に歓迎すべきことだ。
(文=深笛義也/ライター)