「Thinkstock」より

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 弁護士といえば、人から尊敬される職業で、「弱者を助ける正義の味方」のはずだが、現実では必ずしもそうとは限らないようだ。

「あなたも対象かもしれません」のフレーズが印象的なテレビCMでお馴染みの弁護士法人「アディーレ法律事務所」は、過払い金返還手続きに関する着手金の全額返還キャンペーンの触れこみが景品表示法違反に該当するとして、各地の弁護士会に懲戒請求を起こされた。

 その結果、3つの弁護士会の綱紀委員会は、アディーレと同事務所代表の石丸幸人弁護士、所属する複数の弁護士に「懲戒審査に相当する」と議決した。

 また、記憶に新しいところでは、テレビのバラエティ番組でも活躍していた大渕愛子弁護士も昨年8月、着手金を不当に受け取ったとして業務停止1カ月の懲戒処分を受けている。

 このように、大々的にテレビCMを流していた法人事務所やタレント弁護士ですら、倫理に反するとも取れる行動をしているのだ。ほかにも、一般に名前を知られていない弁護士が陰で悪行を働いていても不思議はない。

 そこで、あまり報じられていない、弁護士の懲戒処分事例をいくつか挙げていこう。

●審査請求で処分が軽くなることも

 昨年12月、埼玉弁護士会に所属する新井岩男弁護士は、担当した傷害致死事件で、被告に共犯者がいることを知りながら、単独犯として弁護活動をしたことが「弁護士に対する社会の信頼を損なう行為」だったとして、業務停止2カ月の懲戒処分を受けた。なぜ共犯者を隠して弁護活動をしたのかについては不明だが、新井弁護士は懲戒処分を受けるのはこれで2回目だ。

 また、業務外の行動で懲戒処分を受けるケースもある。

 一昨年の12月、札幌弁護士会所属の平岩篤郎弁護士は、14歳の女子中学生に現金などを渡してみだらな行為に及んだとして逮捕され、昨年8月に業務停止3カ月の処分を受けた。

 平岩弁護士は事件当時39歳で、親子ほど歳の離れた少女に手を出したわけだが、「自分は弁護士である」という自覚が犯行を思いとどまらせることはなかったのだろうか。

この平岩弁護士は容疑を認めて処分を受け入れたが、徹底抗戦したケースもある。

 2013年2月に第二東京弁護士会所属の大塚和成弁護士は、仕事で関係のあった女性に性行為を強要したとして、昨年2月に同会の退会命令を受けたが、性行為は認めつつも「同意の上だった」と主張し、日本弁護士連合会に審査請求と効力停止を申し立てた。

 結局、「退会命令」から「業務停止2年」へと処分内容は変更されたが、処分の根拠が不透明として、日弁連に対する批判も多い。

●弁護士の懲戒処分案件は最高を更新

 このように、弁護士会から処分を言い渡された弁護士が審査請求を申し立てて処分が軽くなるケースは珍しくないが、反対に日本弁護士連合会の申し立てによって処分が重くなるケースもまれにある。

 第二東京弁護士会所属の村岡徹也弁護士は、自身が代表を務める実体のない株式会社を借主として5億円の借入をしたが、返済が滞ったうえ、返済協議にも応じなかったことが弁護士の品位を汚したとして6カ月の業務停止命令を受けたが、処分が軽すぎるとして日本弁護士連合会が審査請求をし、業務停止1年に変更された。

 また、最近では高齢弁護士の不祥事も目立つ。

 大阪弁護士会所属、73歳の松井隆雄弁護士は、交通事故の民事訴訟で相手側に損害賠償を請求しつつ、並行して自賠責保険会社へ保険金請求を行い、保険金1095万4121円を受領した。本来は、それを裁判所に告げて損害賠償額から控除すべきであるが、裁判所にも相手側にも隠して和解を成立させた。また、その後に是正する機会が複数回あったにもかかわらず是正しなかった。これが弁護士として品位を失う行為だったとして、昨年12月より3カ月の業務停止処分を受けている。

 そのほかにも、懲戒処分を受けた弁護士の例を挙げればキリがなく、2016年の懲戒処分件数は114件と過去最高記録を更新した。

 こういった数字を見てしまうと、いざ自分が弁護士の手助けを必要としたときに、誰を信じればいいのかわからなくなってしまう。だが、現在はインターネットで懲戒処分を受けた弁護士が公開されており、簡単に調べることができる。

 単に弁護士というだけで無条件に“信ずるに値する存在”と妄信して仕事を依頼するのは危険だ。“悪徳弁護士”の毒牙にかからないように、注意を払わなければいけない。
(文=編集部)