5月30日にベネズエラと対戦する日本。強力攻撃陣を抑え切れるか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 日本が決勝トーナメント1回戦で激突するベネズエラは、3戦全勝、10得点・無失点と安定した戦いでグループBを勝ち上がった。ちなみに南米予選では3位だったが、王者ウルグアイに唯一の黒星をつけたのもこの国である。
 
 ベネズエラというと南米では「ベースボールの国」というイメージが強かったが、徐々に力をつけてきている。2014年のブラジル・ワールドカップの予選では9か国中6位につけ、昨年のコパ・アメリカ百周年記年大会ではベスト8に進出。もはや安パイではない。
 
 快進撃を見せるU-20ベネズエラ代表、その最大の魅力は攻撃力だ。4-3-3の布陣を敷くこのチームには、前線に攻撃に能力の高いプレーヤーが揃っている。
 
 まず、3トップの両翼に危険なアタッカーがいる。
 
 左のペニャランダはスペインのマラガに所属、フル代表でも徐々に活躍の機会を増やしている有望株だ。
 屈強な肉体と独創性を併せ持ち、メキシコ戦では右からのクロスを巧みに「ラボーナ」でトラップ。その後の突破も含めてスタジアムをどよめかせた。
 
 右のコルドバは、すでに4ゴールを記録。このチーム最大の得点源だ。
 カリブ海に面したベネズエラは白人主体のウルグアイやアルゼンチンとは異なり、手足が長く、しなやかな肉体を持つ褐色の選手が多い。コルドバもそのひとりで、高さと柔らかさによって敵を翻弄する。
 
 メキシコ戦の唯一のゴールは、ペニャランダとコルドバのホットラインから生まれた。
 前者が相手守備陣とGKの間に絶妙なループを繰り出し、これを走り込んだ後者が長いリーチを生かしてトラップ。目の前のGKを巧みにかわして、角度のないところからゆっくりと流し込んだ。
 
 ペニャランダが仕掛け、逆サイドから入り込んだコルドバが仕上げをするというのがベネズエラ得意の形。またトップ下の小柄な背番号10、ソテルドも突破力とアイデアに優れた曲者。サイドバックの押し上げも分厚い。
 
 メキシコ戦のベネズエラは、敵が巻き返しに出た終盤を除き、ゲームを掌握した。トライアングルを組んで強く正確なパスをつなぎ、粘り強いキープでもメキシコを圧倒。守っても精力的なプレスで付け入る隙を与えなかった。
 
 この充実したベネズエラに、日本はどう戦えばいいのか。
 
 中2日で4試合目を迎える日本に対して、首位通過を決めたベネズエラは中3日で試合を迎える。この1日の差は大きい。チームの総力が問われる決勝トーナメント。内山監督の選手起用がカギを握るのは言うまでもない。
 
 グループリーグでは3試合とも先制点を許した日本だが、もう同じ過ちは許されない。
 今までのように及び腰でゲームに入っていたら、破壊力のあるベネズエラの攻撃陣は抑え切れない。高い集中力でゲームに入ることが、勝利への絶対条件だ。
 
 体力的に厳しいのは間違いないが、まずは失点をしないこと。守備のリズムを掴んで動きの少ないゲームにすれば、やがてはベネズエラも焦れてくるはず。そうなれば日本の素早い動きが生きてくるだろう。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)