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第70回カンヌ国際映画祭授賞式が28日夜(フランス現地時間)に行われ、栄えある最高賞パルムドールには、スウェーデンのリューベン・オストルンド監督の『THE SQUARE』 が選ばれた。
『フレンチアルプスで起きたこと』などで知られる監督は、初のコンペティション入りでいきなりパルムドールを獲る大金星。映画は現代アートの世界に生きる人々を風刺たっぷりに描いている。コメディがパルムドールいうのは近年珍しく、審査委員長のペドロ・アルモドヴァルは「政治的な正しさというものを風刺していて、とてもおかしく、イマジネーションに溢れている」と語った。

現地の下馬評で一番人気だったロバン・カンピヨ監督(フランス)の、エイズ啓発グループをめぐるドラマ『BPM(Beats Per Minute)』は次点に当たるグランプリとなったが、これもアルモドバルは涙を浮かべながら絶賛。「審査員はみんなお互いを尊重した」と言いつつ、僅差だったことをうかがわせた。また、ウィル・スミスは自分が推した作品が無冠だったことについて「(審査における)民主主義は最低だよ!」と笑わせた。

男優賞は『YOU WERE NEVER REALLY ME』 で、トラウマを抱える殺し屋を演じたホアキン・フェニックス。女優賞は『IN THE FADE』でネオナチに家族を殺される女性を演じたダイアン・クルーガーに贈られた。授賞式で名前を呼ばれたホアキンはしばらく固まってしまうほど驚き、登壇後もオロオロしてからようやく「まさか受賞すると思わなかったから、スニーカーで来ちゃったよ」と語って、会場をドッと沸かせた。

受賞者会見で「あの驚きも演技ではないのか」と問われたホアキンは、「まったく演技じゃないよ。本当に予想もしていなかったんだ。僕は映画賞なんて縁がないからね」と笑顔で答えたが、ゴールデン・グローブ賞やヴェネチア映画祭での受賞は忘れてしまったのか、と司会者に突っ込まれる一幕も。実は監督のリン・ラムジーが脚本賞で先に名前を呼ばれており、カンヌでは受賞は1作品につき1つという原則があるため、余計に戸惑ったのかもしれない。

女優賞のダイアン・クルーガーは今回の大本命で「これは家族の、そして母親の物語だと思って演じた。本当にエモーショナルな役だった」と語った。クルーガーはドイツ出身ながら初めてのドイツ映画出演でもあり、監督であるファティ・アキンに感謝を捧げた。

監督賞は『THE BEGUILED』のソフィア・コッポラ。女性監督の同賞受賞は1961年のユリア・ソーンツェワ(『戦場』)以来の快挙となった。また同作と、『THE KILLING OF A SACRD DEER』に主演し、さらにコンペ外作品も含めるとなんと4本もの主演作がカンヌで上映されたニコール・キッドマンには、70回記念賞が贈られた。すでに帰国していたため代理でウィル・スミスがニコールになりきって受賞し、相変わらずの茶目っ気を見せた。

昨年はプレスから大絶賛された『ありがとう、トニ・エルドマン』が無冠に終わるなど大きな番狂わせがあったが、今年は比較的順当な結果となった。

主な受賞結果は以下の通り。

パルムドール『THE SQUARE』 リューベン・オストルンド
70回記念賞 ニコール・キッドマン
グランプリ『BPM(Beats Per Minute)』ロバン・カンピヨ
監督賞『THE BEGUILED』ソフィア・コッポラ
男優賞『YOU WERE NEVER REALLY HERE』ホアキン・フェニックス
女優賞『IN THE FADE』ダイアン・クルーガー
審査員賞『LOVELESS』アンドレイ・ズビャギンツェフ
脚本賞『YOU WERE NEVER REALLY HERE』リン・ラムジー、『THE KILLING OF A SACRED DEER』ヨルゴス・ランティモス

(photo / text:Ayako Ishizu)

(photo / text:Ayako Ishizu)

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