大接戦を制し米ツアー2勝目を挙げたケビン・キスナー(撮影:GettyImages)

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今週の米国男子ツアー、「ディーン&デルーカ招待」を制したのは33歳の米国人、ケビン・キスナーだった。最終日の終盤は大混戦となったが、上がり2ホールで落ち着いたプレーを見せ、パーで切り抜けたキスナーが1打差で辛勝。米ツアー2勝目を挙げた。
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以前は興奮したり癇癪を起したりとエモーショナルな面をしばしば見せていたキスナーだが、冷静さを保ったこの日の戦いぶりは見事だった。
実を言えば、以前、キスナーが人間的に成長するきっかけになった出来事があった。2015年の「RSMクラシック」で初優勝を飾り、その後も上位入りを重ねて有頂天になったキスナーは、故郷サウス・カロライナのホームコースで仲間たちと面白いビデオを撮ろうと思い立ったのだが、それが悪ふざけになった。ビールを飲みながら乗用カートに箱乗りしたり、カーレースのようにスピードを競ったり。
動画が出回ると、そのゴルフクラブは「ゴルファーとして、あるまじき行為」ということで、キスナーのメンバーシップを停止。キスナーは猛省し、謝罪して、ようやくメンバーに戻してもらい、以後、彼の振る舞いは改善されていった。
昨今の世界のトッププロたちは、一昔前と比べても、間違いなくゴルフは上手くなっている。ハイテクノロジーを駆使して磨き上げられた彼らの技量レベルは格段に上がり、肉体も強固になり、飛距離も精度もアップ。だが、その一方で、マナーやエチケットにおいて首を捻らされる言動が時折り見られる。
コロニアルCCの土曜日は猛暑に見舞われ、スピースのキャディが熱中症でダウンしたほどだったが、その暑さの中、スロープレーの計測にかけられてカッとなったザック・ジョンソン(米国)は、ゴルフバッグの中の14本のクラブを引っ張り出し、芝の上にばら撒くという見苦しい行動に走った。
一方、こちらはマナーやエチケットではなく、欧州ツアーの「BMW PGA選手権」で見られたルールの話。アーニー・エルス(南アフリカ)はバンカー際に埋まったボールを自分のものかどうか確認するために一旦ピックアップし、確認後、元の状態に戻して打ったら、そのままカップインしてイーグル達成。だが、エルスは「こんなに簡単に打ち出せるはずがない。私がボールの埋まり具合いを元通りに戻せずに打ったということになる。このままでは気持ちが悪い」と自己申告し、イーグルをパーに自ら変えた。
そんなエルスの行動が「ジェントルマン」と絶賛された傍らで、ブランデン・グレース(南アフリカ)の無罰ドロップには他選手たちから批判の声が上がった。ボールはバンカー内で目玉。スタンスを取ろうと両足を砂の中にぐいぐい入れたグレースは、その段階でルール委員を呼び、足(靴)がバンカーの底のラバーシートに触れて滑ると主張。すると、無罰ドロップが認められ、目玉はグッドライへ、ダブルボギーの危機はボギーへと変わった。
他選手たちからは「ルールの悪用だ」と批判が上がったが、この裁定はバンカーの底のラバーシートを動かせない障害物として救済を認めたもので、無罰ドロップは正当な処置。グレースは「以前、似たような場面でこのルールを知り、今回も当てはまると思った」。
ルールは本来、選手を罰するためではなく、救済するためのもの。ルールを熟知し、活かすことはゴルファーの武器の1つ。その武器を活用した選手を、ルールを知らなかった選手が批判するのは、お門違いだ。
同大会で谷原秀人は3位に食い込む大健闘。その谷原も以前、ルール絡みで「いっぱい悔しい思いをした」と語気を強めたことがあった。だからこそ彼は今年3月にUSGAとR&Aから発表されたルール大改正の提言にも早々に目を向けていた。そんな謙虚で前向きな姿勢が昨今の彼の活躍につながっている。
みな経験を通じて成長していく。反省と謙虚の先に成功が訪れる。その歩み方が素晴らしいと感じられたとき、ゴルファーは魅力的に見え、ファンが増えるのではないだろうか。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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