山田春彦(岡田将生)が殺人の容疑者として拘束される衝撃の結末となった前週の『小さな巨人』(TBS系)。5月28日の放送の第7話では、事件はさらに急展開を見せ、早明学園と政治家の癒着、そこに警察が絡んでいることを香坂真一郎(長谷川博己)は突き止める。「組織」という巨大な敵の圧力に逆らいながら挑む、高坂の今回の相手は早明学園の専務であり、元捜査一課長の富永専務(梅沢富美男)。芝署編完結の第5話では、事件の黒幕である三笠署長(春風亭昇太)と香坂の緊迫したバトルが話題を呼んだが、豊洲署編の序盤である今回はそれを上回るほどの展開を見せる。今回のクライマックスの一つに挙げられるのが、香坂と富永が対峙する場面だろう。

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 香坂が事件とは関係ないことを捜査していることを知った富永は警察署を訪れる。香坂は富永に謝りながらも、証拠を手掛かりに富永が事件に関与しているのではないかと意見をする。富永は、元捜査一課長であり、香坂の父・敦史と小野田義信(香川照之)の上司。「根拠があるなら言ってみろ!」、富永の叫びに香坂は根負けしてしまう。不敵な笑みを浮かべながら「所詮お前はそんなもんだ。お前もおやっさんの二の舞になるぞ。分かるな、香坂?」とトドメを刺す富永。最後の「分かるな、香坂?」というセリフは、過去に香坂の父に投げかけたのと同じ言葉でもある。組織の威圧が、二代に渡って香坂に襲いかかる。触れてはいけないもの、暗躍する闇を描く『小さな巨人』のテーマが存分に描かれた場面だ。

 さらに、「殺人だけはどんな言い訳も通じない」という信念のもと、小野田は「100%でも足りない、200%の覚悟が必要だ!」と香坂に言い放つ。第5話で、小野田は香坂に対し、三笠を捕まえるためには、99%の疑いではなく100%となる証拠が必要であると言明していた。つまり、小野田のセリフが意味するものは、今までの事件以上の覚悟が必要であるということだ。小野田の言葉を胸に、香坂は富永のアリバイを崩し、小野田へ富永の任意同行の許可を求める。「100%となる証拠はありません。しかし、200%となる覚悟はあります!」、仮説でしかない証拠を持ってきた香坂に小野田は、「よし、200%の覚悟があるとはよく言った。知ってはいると思うが、200という数字は100の2倍だぞ? 分かっているか?」と凄みを持って香坂に近づく。

 文字にすれば、小学生でも分かる計算式であるが、画面からも伝わってくる緊張感と畳み掛けるセリフ回し、俳優の接写をメインとした力強いカメラワークによって、高い説得力をもたらしていたのが見事だ。小野田から根拠を聞かれた香坂が、「私の勘です」と自信満々の顔で言い切るのも、このドラマの熱さで押し切るスタイルが象徴されているシーンだ。

 「敵は味方のフリをする」ーーこのドラマのキャッチコピーが表すように、香坂は裏で暗躍していた敵に富永の釈放を余儀なくされる。次回の予告では、小野田が「300%クロだ!」と叫ぶ場面も確認することができる。早くも200を上回る数字の登場に、思わず驚きと期待に満ちた感情が込み上げる。(渡辺彰浩)