【フットサル大賞選考会〆魑┸兇衒屬蝓曄嵳ゾ,夢じゃなく現実的な目標となる今年、大阪の真価が問われれる」

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▽Fリーグ開幕から10年が経過し、国内の6つのフットサルメディアが立ち上げた「フットサル大賞」。リーグが発表するMVPやベスト5との最大の違いは、議論すること。数字や成績で分かる結果だけではなく、取材を通して見てきたもの、感じたことをぶつけ合い、「なぜ、この賞に、この人物なのか」が徹底的に話し合われた。今回、その選考審査の模様を、全4回にわたって掲載する。まずは、各賞の前提となる2016-2017シーズンの振り返りから。昨シーズン、ピッチでは何が起きていたのか──。

【フットサル大賞選考審査参加者】

菊地芳樹(ストライカーDX) ※審査委員長

太田武志(フットサルナビ)

河合拓(FutsalX)

川嶋正隆(超ワールドサッカー)

軍記ひろし(Futsalgraphic)

本田好伸(FutsalEDGE)

◆鉄板のアルトゥール-チアゴライン

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菊地:では、各賞を決めるにあたって、まずは昨シーズンを振り返ってみたいと思います。みなさん、どんなことが印象に残っていますか?

本田:まず、シュライカー大阪に触れないわけにはいかないですよね。僕自身は、「監督の重要性」を再認識しました。これまでも監督は大事だと言われてきましたが、勝負を分ける瞬間に何をしているかは、深く語られていませんでした。でも木暮賢一郎監督の試合采配や決断、シーズンを通してどんな意識でチームづくりをしてきたのかがよく分かった。かつて、ゴレイロの重要性を示したイゴールのように、昨シーズンは、木暮監督が3年目でチームづくりを結実させて、その重要性を示したのかなと。

菊地:軍記さんは大阪を一番見ていたと思いますが、どうですか?

軍記:大阪は、確かに良かったですね……。

菊地:でもそれより、名古屋オーシャンズが不甲斐なかったという印象?

軍記:そう思います。大阪で言えば、木暮監督の印象よりも、やはりブラジル人トリオが強烈だったかな。戦力的に劣っているわけではなく、むしろ戦力的にも大阪が圧倒的に一番だったと感じました。

菊地:確かに圧倒的な差を付けたけど、7人くらいの少人数でローテーションするすことが議論を呼びましたよね。もちろん、大阪としては勝利を目指した上での選択なんだろうけど、ブラジル人を中心に、あとは数人の日本人を加えるだけでは、日本フットサルのレベルアップにつながらないって意見も、確かに存在した。

河合:そこは、村上哲哉と佐藤亮の存在が大きかった。あの2人は、そんな状況でも一生懸命やっていたから、それを見たら、彼らよりも実績のない他の日本人選手が反発する余地はないですよね。

本田:日本人のベテランがチームの役割に徹したことで、よりプロっぽさが出ていたし、周囲になんと言われようとも、大阪は勝利を目指すチームとして突っ走れた。やっぱり、そこでブレて、選手を使わなきゃとか育成しなきゃとかって考えすぎると崩れてしまう。だからこそ、最終的な結果につながった部分はあるかなと。

太田:昨シーズンに関しては文句の付けようがないですね。ただ、「名古屋以外のチームによる初優勝」という夢を追うために、いろいろと目をつぶってきたところはあるはず。新シーズンはもう、優勝は夢じゃなく現実的な目標になるので、そこで初めて、真価が問われるんじゃないかな。

菊地:彼らのプレーはものすごくスピーディーで、ゴールもたくさん入って、面白かった。大阪の試合はどの試合も楽しめたなって感じます。

川嶋:そこはやっぱり、フットサルは点が入ってなんぼじゃないですか。だからその意味では、「186得点」が物語ってますよね。凄まじい数字です。毎回、5点くらい入って、面白い試合になる。もちろん、スコアレスでも面白い視点を見つけるファンもいますけど、新しいお客さんには、目に見えるゴールとか、それによる会場の雰囲気、選手が喜ぶ姿に感情移入する。そういう試合をずっと続けてこれたのは評価しないと。

軍記:確かに、見ていて一番面白かったのは、間違いなく大阪でしたね。

本田:ピッチレベルでカメラを構えていて、来るぞ来るぞ、って待ってると本当に入る。

軍記:それはもう、アルトゥールの真骨頂だったね。

菊地:選手の話だと、アルトゥールのダイレクトプレーとか、執拗なまでの縦へのパスはすごかった。かつてのピヴォ当てが主流だった頃を思い出した。今は、パスで横に回してつないでっていうシーンが増えていたなかで、原点回帰じゃないけど、これでしょって感じでスパンスパンと入る縦パスが、見ていて心地良かった。

軍記:できるだけ無駄を省いて、最短を攻めてましたね。

川嶋:そういうパスがちゃんと通ってますからすごいですよ。

太田:そうそう、他の日本人選手が同じことをやっても相手に引っ掛かって通らないことが多い。

菊地:でも実際は、全部が通らなくても結果オーライなこともあった。パスが失敗しても、カウンターを食らう前に“傘"に引っ掛かって、そのまま押し切っちゃう感じで。

軍記:得点力があるから気づきづらい部分ですね。確かに失敗は多かったけど、ただ後半は減ったんじゃないかな。前半戦では、パスが引っ掛かってるシーンを意外とよく見ましたね。

川嶋:もはや後半戦の「アルトゥール-チアゴライン」は鉄板でした。そこに入っちゃえば、取られないし。

河合:序盤戦は周りも走れてなかった部分はあったからね。それでフウガドールすみだに敗れた。

菊地:その2人のラインに、小曽戸允哉と加藤未渚実が絡んだ。日本人選手はどう?

本田:小曽戸の存在感ですね。僕は、大阪はアルトゥールと小曽戸のチームだと思ったくらいでした。見えないところで汗をかける選手は、監督も重宝します。例えば西谷良介とか吉川智貴とかもチームに欠かせない選手。小曽戸は常に30分以上ピッチに立っていて、チームを動かして、しかも点も取っていましたから。

川嶋:日本人で2位の26ゴールですね。

本田:菊地さんの言う“傘"が、小曽戸と加藤。彼らを含めた厚みは半端じゃなかったですね。

太田:今回、ベスト5を考えていたら、もう全員、大阪になっちゃいそうなんですよね。

河合:ただ、良いチームの選手が良く見えるのは当然ですよね。ダントツだったわけだから。

◆清水和也は、もう一皮剥けてほしい

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菊地:個人では、その他に良い選手はいました?

川嶋:デウソン神戸の相井忍は、パフォーマンスも数字上の結果も良かったと思います。7位の神戸で、日本人得点王となる28点も取りましたからね。

河合:前半戦の西谷良介がバケモノだった。

太田:でもすみだは、10月の中断明けから一気に失速しちゃいましたね。

川嶋:そこはまさしく、西谷のパフォーマンスが上がったままなら、順位も維持できたんじゃないかなと。

河合:そういうふうにも考えられるけど、ただもしかすると、すみだは最初の水準を保っていたけど、他チームが成熟して、すみだが上がらなかったことで追い抜かれたという見方もできます。

菊地:第2クールでは4連敗もあった。シーズン最後の全日本選手権では決勝まで行って盛り返したけど、プレーオフでも、笛吹けど踊らず、みたいなチーム状態だったように思う。それを「環境」の一言で片付けてしまうのかどうか。

太田:環境は一つの要因ですよね。仕事が大変で、フィジカルが上がらない。

菊地:すみだの選手は全員、日中はきっちりと働いて、夜に練習をしているんですよね。

太田:そうです。全員が選手とは別で仕事をしています。だから仕事と両立するなかで、シーズン後半にはフィジカルが落ちてしまう。もう一つは、すみだはテンションのチームだということ。一度、それが落ちてしまったときに戻せなかったのかなと。一昨年までは金川武司がいて、昨シーズンは引退して「テンションコーチ」になったけど、やっぱり選手でそういう存在がいないと足りないのかもしれないですね。これまで、「テンションが実力を凌駕する」ってことがよくあったのに、逆に自分たちで後退してしまった感じ。

本田:独特ですけど、彼らにはすごく重要なことですよね。会見なんかでは、「1位が見えてしまったことで背伸びしてしまった部分がある」と。でもそもそも彼らは、シーズン当初から「リーグ1位」が目標じゃなかったんですよ。監督たちはみんな、リーグ1位とか、プレーオフに行くために必要な勝ち点計算をシーズン前にやりますが、須賀監督としては、自分たちの今の実力では現実的に難しい数字だったために、最初から1位ではなく、リーグ2位でプレーオフに行くことを想定していたんです。だからこそ、「上を見るな、地に足を着けろ」っていう意識の徹底が必要だったのかなと。すみだはまだ、首位に立ち続けることは難しかった。

川嶋:でも、すみだらしいという意味では、最初から1位を狙って、フルパワーでいってほしいですよ。

本田:もちろん、監督は選手に、「2位でオッケー」とは伝えていなくて、心の中でそれを踏まえながら、選手のモチベーションコントロールをしていたはずです。でも、それを言わずもがな感じられる、金川のような存在は、やっぱり必要だったということでしょうね。

菊地:西谷以外では、清水和也がチームの顔になってきたことはチームの真価だった。

太田:清水のシュート力は日本人離れしてますね。遠目からでも、外国人選手のように打っちゃうのは、見ていて楽しめる。あのシュート力と度胸を継続していけば、すごい成長するんじゃないかな。

河合:清水は当然、良いなと思う反面、チームが苦しいときに助けられる仕事をまだまだできてないかな。チーム状態が良いときは伸び伸びとプレーしてパフォーマンスが良いけど。それは日本代表でも同じで、2016年8月にアンダー世代の選手を中心に戦ったタイランド5でも、清水がなかなか点を取れなくて、決定機を外してチームを乗せていけなかったところがあるし、もう一皮剥けてほしいところ。まだ20歳だけど、それでももう、日本代表で中心になっていかないといけない選手だからね。

菊地:ちょっと残念なのは、累積での出場停止がシーズンで2回あったこと。これはあまり良くないですね。チームに迷惑を掛けちゃうという意味でも。

川嶋:全日本選手権の決勝でもありましたね。3つ溜まっているときに、もうファウルができないってところでやっちゃった。シーズンの最後は、警告が8枚で、2試合出場停止でしたし。

河合:ただそれは、フィジカルが強いために、ガツンとプレスに行って、ファウルを取られちゃう部分もある。決して、ラフプレーが多いってことではない。全日本選手権に関しては、あれくらい強くいけって指示が出ていたからこそのプレーでもあったしね。

◆フットサルの魅力が詰まった点の取り合いとロースコア

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菊地:ここまで、上位では名古屋や府中には触れてないですが何かありますか?

太田:それはもう、シノエの呪い……。

菊地:表紙を飾った人物にまつわる不吉なことが起きるという、「デス表紙」ですね……。

軍記:でも、その“シノエの呪い"の後にAFCクラブ選手権を制してるからね。あの大会自体を見ている人が少ないからあまり議論できないけど、そのときの名古屋は正直、最強でした。

川嶋:実際、何が違ったんですか? 選手で言えば、吉川がいましたよね。

河合:吉川がいるといないとでは、断然、違いましたね。

太田:大阪に小曽戸が必要なように、名古屋には吉川が必要だったと。

菊地:つまり、潤滑油となる選手ですね。

河合:夏に加入したダニエル・サカイと比較しても、吉川のほうが圧倒的に良かった。

軍記:そういう意味でも、外国人選手も含めて、名古屋はあたりが外れてしまった感じ。印象に残った選手と言えば、星龍太くらい。

菊地:結果的に、星龍太が孤軍奮闘というか、頑張らざるを得なくなった。まさに、悲劇の闘将だよね。

川嶋:やはり、10連覇は簡単じゃなかったってことですね。

河合:それと、そういうタイミングで大阪がチームとしてのピークをつくれたことが大きい。

軍記:でも名古屋は、シノエには相当な期待をしていたんだと思います。

太田:もしプレーしていたとしたら、30点から40点はいけたはずという計算ですね。

河合:それで、放出した森岡の代役となるべき平田・ネト・アントニオ・マサノリもケガで途中離脱したし。

太田:ダニエルもそうだけど、お兄ちゃんの酒井・ラファエル・良男のパフォーマンスも上がらなかった。

川嶋:リーグ戦では、終盤の天王山で決勝点を決めましたけど、大事なところではそれだけだったような印象です。そこから最後まで決めてないですし。

本田:結局、点取り屋と潤滑油の不在が大きかったってことですね。

川嶋:キーパーソンがいないと、こういう結果になってしまう可能性は多分にあった。

軍記:そういう役割を期待して獲得したダニエルがハマらなかったし。

菊地:そういうことでは、賭けに出たシーズンだった。

太田:最少失点の名古屋と最大得点の大阪という構図で敗れたわけなので、つまり得点力不足だったと。

河合:その“矛盾"の戦いが見れた最後の名古屋セントラルは面白かった。大阪が勝てば、リーグ1位が決まるという試合で、シーズンで唯一の完封負け。加藤未渚実がケガしたのもこの試合だったね。

本田:あの大阪が、こうやって決め切れなくなるんだってシーンを初めて見た試合でした。

菊地:じゃあ、ベストバウトはその試合ですか?

太田:いや、そこで外せないのは、小田原セントラルのすみだと名古屋の試合ですよ。

河合:僕もその2試合のうちのどちらかかな。

太田:あれはまさに、“西谷劇場"だった。

川嶋:前半は1-1のロースコアから、最後は激しい取り合いでしたね。

本田:最後の1分ちょっとで3点が入った。

軍記:セルジーニョの同点弾と逆転弾もあって、あの頃までの彼は良かったよね。

河合:シンビーニャがケガから戻って来たら、そこにしか出さないから、狙いどころになってた。

軍記:クラブ選手権のときは、それこそこんな選手がいたのかってくらいすごかったけどね。

太田:それで今シーズンは、スペインのインテルへ。これまたすごいことですよ。

軍記:でもあの試合は、5-5の引き分けだったけど、点もたくさん入ったし本当に面白かったね。

河合:プレスルームでも、みんなしてこの10年でのベストバウトだって、試合後に盛り上がった。

菊地:名古屋と大阪の意地の張り合いがあった1-0も面白いけど、やっぱり点の取り合いのほうが盛り上がる。でも、フットサルの魅力としては両方の側面があって、そのどちらの試合も面白いと感じられたのは、リーグとして少し成長しているのではないかなと思います。

【フットサル大賞2016-2017】

■選考対象期間:

2016年4月1日(金)〜2017年3月31日(金)

■選考対象者:

国外で活動する日本人を含む、国内選手および指導者、スタッフなど

■表彰: ※所属クラブは2016-2017シーズン

「マン・オブ・ザ・シーズン」

アルトゥール(シュライカー大阪)

「ベスト5」

アルトゥール(シュライカー大阪)

チアゴ(シュライカー大阪)

中井健介(ペスカドーラ町田)

星龍太(名古屋オーシャンズ)

西谷良介(フウガドールすみだ)

「ベスト監督賞」

木暮賢一郎(シュライカー大阪)

「ブレイク賞」

加藤未渚実(シュライカー大阪)

■特別賞:

「広報活動賞」

小曽戸允哉(シュライカー大阪)

「未来賞」

Fリーグ育成組織の選手

「がっかり賞」

フットサル日本代表