シリコンバレーの名門VCら出資の「大麻検査キット」が発売へ

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Hound Labs創業者のMike Lynnは、ベンチャーキャピタリストだった2014年にサイクリング中、猛スピードで通り過ぎた車から大麻の強い香りがしたことを鮮明に覚えている。医師免許を持ち、予備警察官でもあるLynnは、病院で治療中の交通事故患者の中に運転中に大麻を吸引していた例が多いことを知った。こうした経験から、Lynnは業界初となる麻薬検知器の開発を思い立ったという。

Lynnは、当時勤めていたAdams Street Partnersを退職してHound Labsを創業した。それから3年が経った今年、同社はシリコンバレーの名門VCであるベンチマークキャピタルが主導したシリーズBラウンドで810万ドル(約9億円)を調達したことを発表した。

今回の資金調達を機に、フォーブスのMidas List(最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング)の常連でスナップの初期投資家としても知られるMitch Laskyと、テレビプロデューサーでHound Labsの初期投資家であるDick Wolfが取締役に就任する。

Hound Labsのフルタイムの従業員数は5名に過ぎない。同社は、調達した資金を使って従業員の増員を図る予定だ。現在、Hound Labsはサンフランシスコ総合病院と提携して、大麻を吸引したドライバーを対象に、同社が開発した検知器「Hound」のテストを実施している。また、司法当局と合同で機器導入に当たっての調査も行っている。

Lynnは、まずは司法当局に製品を導入することを目指しているが、ゆくゆくは企業向けに機器を販売したい考えだ。米国では多くの州が大麻の合法化に動く中、企業は従業員に薬物テストを科しており、実施されるテストの件数は毎年4000万件にも上る。薬物テストの代わりにHoundを導入すれば、企業の負担は大幅に減少すると同時に、従業員に対する薬物使用ポリシーを緩めることもできる。

「過去2-3時間の大麻使用」のみを検知する

従来薬物テストは、過去数日以内の大麻吸引を判別することができるが、これでは就業時間外での使用も引っかかってしまう可能性がある。

「従業員が週末に行ったことまでテストするのはおかしい。ルールを変えるべきだ」とLynnは言う。Houndは体内の麻薬物質を検知し、過去2-3時間の大麻吸引を判別できる。Lynnによると、精度は酒気検知器の100万倍も高いという。

Hound Labsは、昨年9月に警察による最初の実地テストを発表し、現在は実用化に向けた取組みを加速している。しかし、専門家らは大麻吸引による運転能力への影響を証明するのは困難だと指摘する。「現段階では、使用した大麻の量だけで運転能力の低下を判定することは不可能だ」とアメリカ自動車協会のMarshall Doney は話す。これに対し、Lynnは、「Hound Labsによる研究結果によって、大麻が運転に及ぼす影響を測定したい」と述べている。警察当局は、当面の間これまでの検知方法と大麻検知器を併用するとしている。

価格は500ドル程度から

Hound Labsは、今回のラウンドの前に、エンジェル投資家から600万ドルを調達している。米国では、9州において大麻が合法化されており、8州とワシントンD.C.では嗜好用大麻も合法化されている。また、コロラド州では2016年に合法大麻の売上高が10億ドルを突破している。

しかし、そんな状況下でもシリコンバレーの大手VCは大麻関連企業への投資に慎重だ。投資する場合には、他の投資ファンドを通じて間接的に行うか、Hound Labsのように大麻を直接販売しない企業に出資している。

Houndは、2017年4Qに発売開始となる予定で、価格は酒気検知器と同じ500ドルから1000ドル程度になる見込みだ。キットには、酒気検知器としても使える部品と、テスト用の使い捨てカートリッジが同梱される。カートリッジで採取したサンプルは、数か月後にも再テストすることが可能だという。

今のところ、Hound Labsは消費者向けに検知器を販売する予定はないという。大麻の品質テストに使いたいというニーズは多そうだが、「我々はHoundをパーティー向けツールにするつもりは全くない」とLynnは断言する。