守備の柱としてアジアでは鉄壁を誇った中山も、当初は世界レベルに苦戦。それでも、随所に力強さも垣間見せている。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 10年ぶりのU-20ワールドカップで、日本は南アフリカ、ウルグアイ、イタリアと同居したグループを1勝1分1敗の3位で突破した。ここでは3試合で5失点した守備面をフォーカスしながら、グループリーグでの戦いぶりを振り返る。

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 今大会のグループリーグでは3試合で5失点と、守備の出来は決して褒められない。

 改めてその3試合を振り返ると、いずれも先制点を献上している。とりわけ早い時間帯での失点が目立ち、しかも、南アフリカ戦、イタリア戦は最終ラインに、ウルグアイ戦では、自陣左サイドのスペースへ縦パス1本を通された流れで先制点を献上したように、その特長はすべて似通っていた。

 ウルグアイ戦での1失点目について、内山篤監督は「精度があって単に蹴りこむのではなくて意図的に入れてくる。そこに差がある」と分析する。

 指揮官の言うその“差”は、当然ながらアジアレベルでは体感できないものだった。無失点で優勝した昨年のアジア最終予選では縦パス1本で崩されるシーンはほぼなく、仮にロングボールを放り込まれても、中山雄太や冨安健洋が高さで跳ね返し続けた。

 ただ、世界レベルとなればそうはいかない。ウルグアイ戦前、中山はこう口にしていた。
「アジア予選もそうですし、南アフリカ戦にしても紙一重で守れていた部分があった。そういうところをウルグアイは狙ってきて(ゴールを)奪ってくる印象もある。『多分、これくらいで大丈夫だろう』という意識でやっていると、隙を突かれて得点されてしまうので、気を付けていきたい」

 こう警戒していながらも、ウルグアイは一瞬の隙も見逃してはくれなかった。先制点は、背後を突かれて後手に回った舩木翔の対応へ回るべくCBの中山がサイドへ吊り出されると、中央の“穴”をうまく活用される形で生まれた。わずかな隙を突かれワンチャンスを確実に決められてしまったあたりを見ると、世界レベルへ到達するにはまだ多くの課題が残されていると言えそうだ。

 日本の持ち味である組織を崩されてしまえば、スピードや対人能力で分のある南米、あるいは欧州、アフリカ勢に容易くゴール前を突破されてしまうのは言うまでもない。グループリーグで学んだこの教訓を活かして、いかに組織を崩さずバランスを保てるかが、決勝トーナメントで上位を目指すうえでのポイントとなりそうだ。
 こうした課題が浮き彫りになった一方で、例えば、南アフリカ戦の後半がそうだったように、尻上がりに調子を上げ対等に渡り合えた事実は評価できる。

 個人のスピード、対人戦での強さは、当然普段のリーグ戦で感じられない。その感覚は、実際に肌で体感してみるまで掴むことは難しく「試合の入りを気をつけようと毎試合、毎試合思ってはいますけど、なかなかそれも簡単なことではない」(冨安)のも確かだ。

 そうしたなかで、試合中に修正力を上手く利かせながら挽回して見せた経験値は自信につながるはずで、内山監督も「彼らの今後のサッカー人生で役に立つ」のは間違いない。実際、「こういう舞台でちょっとずつ成長できている」(原輝綺)と、選手たちの口から充実感が伝わってきているのはポジティブに捉えられるだろう。

 ベスト16で対戦するベネズエラは、縦へのスピードがあり、個の能力で脅威となるのは言うまでもない。それでも、「チャレンジャーとして失うものはなにもないというメンタリティで臨む」(冨安)ことで、また新たな可能性を見出したい。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)