ナット座の形状とねじ山間隔を合わせること

クルマを買ったら、カッコいい純正以外のアルミホイールを履きたい、と思っている人は多いだろう。また実際に交換している人も多いはず。こうした社外のホイールを選ぶときに見落としがちなのが、ホイールナット。純正のホイールナットがそのまま使えればベストだが、純正ホイールと社外のホイールでは、ナット座(面)の形状が違うケースが違うので要注意。

純正ホイールのナット座形状は、大きく分けて3種類。テーパー座か、平面座、もしくは球面座のいずれかなのだが、これがメーカー、車種、グレードによって異なっているのでややこしい。

一方、社外ホイールはほとんどがテーパー座。純正ホイールのナット座がテーパー座で、購入した社外ホイールのナット座もテーパー座なら、そのまま純正ナットがつかえる可能性があるが、そうでない場合は、ホイールに適合するホイールナットを別途購入することが必要。

トヨタや三菱車(日産の一部も)は、平面座タイプが多く、ホンダ車、ベンツ、VWなどは、球面座になっているので、純正のホイールナットは流用できないことがあるので気をつけよう。

平面座とテーパー座を間違える人は少ないだろうが、球面座の純正ナットを、テーパー座の社外ホイールにそのまま装着している例が少なからずある。しかし接触面の形状が違えば、ステアリングのガタつきや、脱輪の原因になるので、必ずナット座の形状に合ったナットに交換すること。

また、社外用ホイールのナットを購入する際は、自動車メーカーによって、ハブボルトのピッチが違うので、これも確認が必要。

トヨタ(レクサス)、ホンダ、マツダ、三菱、ダイハツは、ネジ山間隔1.5mm=P1.5。ニッサン、スバル、スズキは、ネジ山間隔が1.25mmのP1.25になる。また、同じテーパー座のナットでも、スタンダードなナットの長さとショートタイプの2種類があり、「傘つき」「傘なし」といって、テーパー面の深さが違うナットもある(スバルとスズキは「傘なし」が多い)。

さらに、ハブボルトを貫通する「貫通ナット」と、ナットの外側に蓋がある「袋ナット」もあり、ナットの種類は意外に多い。したがって、最適なナットをチョイスするには、専門店にアドバイスをもらうか、あるいはホイールメーカーに問い合わせたほうが安心だ。最後に、ナットの素材について。

ホイールナットも社外品には、アルミやジュラルミン、チタン製などが出回っているが、はっきり言って、ホイールナットはスチール(鉄)が一番! アルミ(ジュラルミンもアルミ合金)は、熱膨張率が鉄の2倍前後もあるので、走行中ブレーキの熱の影響などで、大きく変形するので、熱変化で膨張収縮を繰り返し、ゆるみやすいのでキケン。

チタンは強度があり過ぎて、ハブボルトが負けることがある。とくに日産系のP1.25のハブボルトは、ネジ山のピッチが1.25ミリしかないので、チタンボルトで締めるとネジ切れるリスクも……(ハブボルトの直径は、国産車乗用車はオールM12と思っていい。軽自動車はM10)。軽量ナットで数十グラム軽量しても、違いは体感できないし、リスクだけ増すのでお勧めできない。第一、レーシングカーだって、ホイールナットは鉄製が基本ということを覚えておこう。