頑張りが伝わる日報の書き方

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上司に日報を提出する際、あなたは何を報告しているでしょうか。仕事の種類は当然だとして、どのくらいの時間、仕事をしたかを報告している人は多いはず。しかし上司にとってあなたの勤務時間はどうでもいいことなのです。知りたいのは「量」ではなく、「質」。仕事の進捗度合と見込みを数字で報告すべきです。

次に挙げる例は売り上げが対象になっていますが、数字の目標がないプロジェクトを進める場合も、数字を使って表現できます。まず案件にかかる時間や日数を最初に決定。面倒かもしれませんが、計画とゴールあっての仕事です。全部で10時間かかるとして、今日2時間、これまで6時間取り組んだら、それぞれの進捗率を10分の2、10分の6と報告します。さらに次の日に進める予定を記してもいいでしょう。

「うまくいってます」という漠然とした報告では、上司と共有できる情報がほとんどありません。しかし数字を主体とした日報を書けば、「現状」と「未来」が視覚化されるため、上司は安心します。何より計画を立てることで、あなたも自分のペースをつかむことができ、結果、仕事の質も上がるのです。

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【STORY】山田さんは業務日報に「今日は5時間かけて外回りしました。商品説明がうまくできなかったので、次回は頑張りたいです」と書いて上司に提出したら、大目玉をくらった。上司が納得できる日報にするには、どう書けばいいのだろうか?

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■1.仕事の進捗を数字で表す

自分の1日を振り返って、取引先に提案した数や、営業件数など、業務に関係する数字を書き出してまとめてみる。それによって進捗具合を把握し、確約に至るまでの努力を数字でアピールすることができる。

●山田さんのある日の業務状況
1日の営業件数→5件(その日の営業件数)――V社、W社、X社、Y社、Z社
受注見込み数→2件(提案した注文件数)――X社 10個、Y社 50個

■2.肌感覚を数字に置き換える

相手の対応や過去の実績を参考に、仕事に関する手ごたえを言葉から数字に置き換えてみる。「この案件は難しそう」という報告でも、成功確率50%なのか、10%なのか。上司と数字を共有することで、解釈のズレが生じにくくなる。

●受注見込みのある営業先の担当者談

X社担当者
「私としてはぜひ受注させていただきたい。しかし、社内会議の承認が必要なので少しお時間をください」
→50%(受注が確定しそうな期待値)

Y社担当者
「ぜひ発注させていただきたい! 取引するにあたり、どんな手続きが必要ですか?」
→80%(受注が確定しそうな期待値)

■3.期待値からめどを立てる

望む成果×成功確率によって、期待値を計算する。たとえば契約100万円、成功確率50%のA社の期待値は50万円。60万円で成功確率100%のB社は60万円。そのように換算すれば、先手を打って準備する必要のあるとき、優先順位をつけるときなどの判断材料としても役立つ。

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【結論】今日の成果や今後の予測を、数字で伝えたら上司も納得だ!

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POINT●直観的確率
実感を数字にして、相手に伝える
「大丈夫そうです」のような曖昧な報告は、数字を使って正確に伝えよう。なお五分五分の案件が3回連続で失敗する可能性は、0.5×0.5×0.5=0.125、つまり10%強。同じことを3回繰り返せば9割方は成功体験を得られるのだ。

間違いなく成功する……100%
ほぼ成功する……90%
五分五分……50%
ほぼ失敗する……10%
間違いなく失敗する……0%

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BMコンサルティング代表 深沢真太郎
「ビジネス数学検定」日本最上位1級。企業研修などでビジネス数学を指導。『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』など著書多数。

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(BMコンサルティング代表 深沢 真太郎 文・構成=鈴木 工、岩辺みどり)