5月24日、大手格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスが中国の長期国債の格付けを「Aa3」から「A1」に1段階引き下げた。ムーディーズは格下げについて「中国の潜在成長率が低下し経済全体の債務が引き続き増加するのにつれて、今後数年で財務面の強さが一部弱まるとの予想を反映した」と声明を出した。対して中国財務省は「不適切な手法に基づいている。中国経済の問題を誇張する一方、改革の取り組みを過小評価している」(ロイター発)と反論した。

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 今回の「引き下げ」ニュースに接し、日本経済のバブル崩壊時との共通項!?を感じた。一つはムーディーズが中国の格下げを前回に行った「時」である。1989年。この年の株式市場の大納会で日経平均株価は「バブルの象徴」と振り返られる、過去最高値(3万8915円87銭)をつけた。対して翌90年の終値は前年比39%強安の2万8915円87銭。バブル崩壊・長期経済の低迷状況への入り口を示唆する結果となった。ムーディーズの中国格下げが「1989年来」というのは単なる偶然か、という思いを抱いた。

 またロイターとムーディーズ・ソブリン・リスク・グループのアソシエート・マネジング・ディレクター:マリー・ディロン氏との遣り取りの中に登場してきた「シャドーバンキング部門」なる11文字に、妙に「ノンバンク」の5文字がかぶった。

 ディロン氏は「今後の中国を巡っては、国有企業改革や過剰能力削減、企業の混合保有、そしてシャドーバンキング部門の引き締まりなどに関連した措置に注目する」と述べた。

 1989年10月に時の大蔵省は遅ればせながら、バブル経済に危惧を抱き金融機関に対し「不動産向け融資の総量規制」を通達した。さすがに銀行は通達に順じた。しかし現実的には90年3月まで金融機関から不動産投資向けに流れる資金は減少することはなかった。何故か。バブル経済のあだ花を作り上げたのは「銀行系列のノンバンク資金」だったからである。帝国データバンクが90年5月から91年4月までの1年間に、10億円以上の負債を抱えて倒産した企業についての調査結果を発表している。総数324社。そして324社の借入先金融機関について、「4分の3がノンバンクだった」と言及している。正確には74・1%。こと銀行に関しては都銀・地銀・信金信組を合わせても19・8%に止まっている。

 日本のバブルは銀行による系列ノンバンクへの資金の卸しによって「花」が咲き、銀行の命を受けたノンバンクの強力な資金回収により「梯子が外された」といって過言ではない。

 その意味では「不動産バブル」が指摘される中国の今後は「(金融当局の規制外である)シャドーバンキングへの対応如何」と、ムーディーズの格下げは警告を発しているとも捉えられる。