名古屋の朝といえば、喫茶店のモーニング。コメダ珈琲店のモーニングの1つ「名古屋名物 小倉あん」は有名だ。(写真はイメージです)

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要約者レビュー

 昭和のレトロな雰囲気のある「コメダ珈琲店」が、人気となっている。近年は全国各地に店舗を拡大して700店舗以上となり、国内で3位だ。この名古屋が発祥の喫茶店が、なぜ人気になったのかを探ったのが本書『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか? ――「お客が長居する」のに儲かるコメダのひみつ』である。

 セルフサービスで安いドトールコーヒーが旧来の街の喫茶店を駆逐し、さらにお洒落なスターバックスが上陸すると、喫茶店は多様化してスタイリッシュになった。その一方で、年配の人たちが気兼ねなく入れる喫茶店がなくなってしまう懸念があった。そこに登場したのが、セルフサービスではなく昔の喫茶店を彷彿させる、フルサービスのコメダ珈琲店だ。コメダは郊外に広いスペースを確保し、間仕切りと大きめのソファで心地の良い場所をお客さんに提供した。しかも分かりやすいメニューと、パンメニューを中心としたボリューム感のある飲食で、幅広い客層を確保したのである。

 著者は現在の社長や創業者にインタビューし、街の小さな喫茶店がなぜ東証一部上場できるまでになったか、その経営手法を聞き出している。それによると、喫茶店激戦区の名古屋で生き残るため、経営効率重視ではなく常にお客さん目線でサービスを提供し続けてきたとのことだ。従業員教育を徹底し、フランチャイズチェーン方式で地域特性に合わせた店舗にするなど、現場主義を貫いてきたことが秘訣のようである。

 豊富なカラー写真と雑誌風の体裁で気軽に読めて、しかもコメダ珈琲店にさっそく行きたくなってしまう本なのである。 (谷田部 卓)

本書の要点

(1) コメダ珈琲店は、郊外型店舗として広い駐車スペースを確保し、木のぬくもりを感じる山小屋風の建物で安らぎを演出。間仕切りと大きめのソファで居心地の良い落ち着いた空間をお客さんに提供して、人気を得ることができた。
(2) 店舗のほとんどはフランチャイズチェーン(FC)店とすることで、出店コストを抑えて短期間で一気に店舗を拡大させた。しかもFCの特性を活かして中央集権ではなく、地域特性に鑑みた現場の創意工夫が可能となっている。

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