枕を作り続ける米ミシガン州の夫妻(出典:https://oliviakayfoundation.org)

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2008年10月10日、米ミシガン州在住のリサさんとチャド・ボロディチャックさん夫妻に約3600グラムの元気な女の子オリビアちゃんが誕生した。すくすくと成長してきたオリビアちゃんだったが生後10か月のある日、自宅で突然けいれん発作を起こした。

普通の子と同じようにお座りができるようになり、おもちゃで遊んでは喜びの声を発し、スプーンを使って楽しく食事をしていたオリビアちゃん。しかし発作後は、彼女の顔から笑みが消えた。ボロディチャックさん夫妻は病院を転々としたが、その間にも発作は繰り返され、次第に脳や運動機能が衰え始めた。強い薬が処方され嘔吐を繰り返すようになったオリビアちゃんは、食事に興味を示さなくなり2010年5月、胃にチューブが通された。そして同年12月、リサさんは精密検査を受けたオハイオ州のクリーブランド・クリニックからの電話を受けとった。

「オリビアちゃんは遺伝子の異常が原因とされる進行性の難病“アレキサンダー病”です。平均寿命は7歳〜10歳。治療法はありません。」

娘は2歳になったばかりである。衝撃的な告知だった。

病院で寝たきりとなったオリビアちゃんは、痛みがあっても「痛い」と言葉を発することができなかった。ボロディチャック夫妻は時間が許す限り彼女のそばに寄り添い、顔を歪めては関節や背中の痛みを訴える娘を慰めた。

「なんとかしてあげたい。少しでも痛みが和らぐよう工夫できないか…」そんな気持ちからリサさんはある日、小さな枕を手作りしてオリビアちゃんの背中にあてがった。その時のことをリサさんはこう振り返っている。

「その瞬間、オリビアが喜んでいるように見えました。彼女は嬉しい時には目をぱっちりと開けるのです。ああ、これだと思いました。」

オリビアちゃんの身体が楽になるように、腕の下、脚の間などリサさんは枕の数を1つから2つ、2つから3つへと増やしていった。ほんの一時であっても安らぎの表情をみせる娘に喜びを感じ、リサさんはやがてオリビアちゃんが入院する病院の小児集中治療室にいる子供たちにも枕を配り始めた。

こうして2014年、ボロディチャックさん夫妻は「オリビアのように複数の障がいを持つ子供たちにこの枕を届けたい。治療法が確立されていないアレキサンダー病の研究が進むよう募金を呼びかけよう」と「オリビア・ケイ基金(Olivia Kay Foundation)」を設立した。

夫妻が作る枕には子供たちが喜びそうな映画のキャラクターがプリントされたものや、カラフルな生地が使われている。オリビア・ケイ基金は『PEOPLE.com』や『NBC News』でも取り上げられ、夫妻はボランティアの協力のもとこれまでにミシガン州の15の病院に4250個の枕を届けている。

残念ながらオリビアちゃんは4月28日、8歳の短い生涯を終えた。リサさんは「長くは生きられないとわかっていても、娘との別れは本当につらいものでした。でもあの子は私たちにたくさんのものを遺してくれました」と微笑み、こう語った。

「オリビアの葬儀で、ある家族にこう言われたのです。『私たちはあなたたちが作った枕を受け取ったわ』ってね。」

「この言葉がどれほど励みになったか…。小さな枕は、病気の子供たちだけでなくその家族にも大きな喜びを届けているのです。」

夫妻は「オリビア・ケイ基金」の活動をさらに広げ、今後は車椅子用スロープの設置なども手掛ける予定という。

苦しい境遇にありながら人を思いやる気持ちを持ち続けることはそう簡単なことではない。中国では掃除人として暮らしながら、過去30年にわたり教育を受けられない子供たちのために寄付を続けている男性が話題となった。

出典:https://oliviakayfoundation.org
(TechinsightJapan編集部 A.C.)