そろそろ注意したい、 お弁当作りの食中毒対策

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執筆:永吉 峰子(管理栄養士)

6〜8月は1年の中でも最も食中毒が多い時期。特に作ってから食べるまで時間があるお弁当では注意が必要です。

そこでお弁当を作る時にどんなことに気をつけたらよいのか、ポイントをお伝えします。

食中毒の原因は「細菌」と「ウイルス」

食中毒の原因となっているのは主に細菌とウイルスです。

細菌には生肉に付着している腸管出血性大腸菌(O157など)や、牛や豚、猫や犬の腸内に存在するカンピロバクター、サルモネラ菌、人の手にも存在するブドウ球菌などがあります。

ウイルスにはカキなどに付着しているノロウイルスなどがあります。

原因物質により異なりますが、主な症状は嘔吐や下痢、腹痛、発熱などです。

このように食中毒の原因は様々なところに存在しており、一般の家庭で完全に除去するのは残念ながら難しいと考えられます。

そこで重要になってくるのが、原因の物質が体に害を及ぼさないように予防することです。

食中毒予防の対策は「つけない」「増やさない!」「やっつける!」

お弁当作りだけでなく、料理をする際に食中毒予防で1番のポイントは細菌やウイルスなどの原因物質を「つけない」ことです。

特にウイルスは食品中で増えることはないので、「つけない」ことが大切になります。

また細菌は食品中の水分などを栄養分として増殖する為、「増やさない」ことも大切です。

そして最終手段としては、ついてしまった原因物質を「やっつける」対策が必要になります。

1.原因物質を「つけない」対策

手洗いをしっかりと!

人間の手にはブドウ球菌が存在しています。

また、生活の中で様々な細菌やウイルスにふれている可能性もあります。その為お弁当作りの前にはしっかりと手を洗いましょう。

調理前だけでなく、生肉や生野菜などに触れたあともその都度手洗いをすることが大切です。

生ものを扱ったあとは殺菌を!

以外と盲点となっているのが、生肉や魚、卵を扱ったあとの調理器具の取り扱いです。

例えば、卵焼きを作ったボウルをさっと洗って和え物を作ったり、生肉を切ったまな板をさっと洗って出来上がった料理を切ったりしていませんか?

生ものには菌が付着していますから、さっと洗っただけでは次の料理に菌が付着してしまいます。

その為、生ものとあえ物などそのまま食べるものに使う料理器具は分けるのがベストです。

分けるのが難しい場合は、必ず洗剤で洗い、アルコールか熱湯で消毒してから使いましょう。

盛り付けは素手で行わない!

手洗いをきちんと行うと原因物質は劇的に減りますが、ゼロにはなりません。

その為、盛り付けなどそのまま口にするものに触れる時は、ビニールの手袋をするなど工夫が必要です。

2.原因物質を「増やさない」対策

冷ますときは保冷剤使用!

食中毒の原因物質は、種類にもよりますがおおむね10度以上で増加します。

その為、食品の温度を10度以下にキープすることで増殖を防ぐことができます。

そこでおすすめなのが保冷剤です。

出来上がったおかずは弁当箱に詰める前に、保冷剤を使って冷まします。

こうすることで10度以上の時間を短くでき、細菌の増殖を防ぐことができるのです。

持ち運びには保冷剤を!

お弁当は出来上がりから食べるまで時間があきます。

その為、食べるまでの間もしっかりと温度管理をすることが大切。

保冷剤を入れて持ち運ぶことをおすすめします。

3.原因物質を「やっつける」対策

加熱調理が基本!

細菌やウイルスのほとんどは熱を加えることで死滅します。

肉や魚、卵はもちろんですが、お弁当に入れる野菜も加熱することがおすすめです。

時間がない場合は、電子レンジ調理や冷凍野菜などを活用し、できるだけ加熱するようにしましょう。

お酢を有効活用!

細菌やウイルスは生きていけるpH(ペーハー)値が決まっており、多くの細菌やウイルスは酸性になると生きていくことができません。

そこで是非活用したいのが酸性の調味料であるお酢です。お酢には酢酸(さくさん)という物質が含まれ、この酢酸により酸性になっています。

酢のものはもちろん、マリネや南蛮漬けなどお酢を使った料理を活用しましょう。

また、砂糖を使った煮物の最後にお酢を少し加えると、甘みが引き立ちおすすめです。

調理後の調理器具は殺菌を!

調理中だけでなく、調理後もしっかりと調理器具を殺菌し、原因物質をやっつけることが大切です。

調理器具だけでなく、洗浄に使用したスポンジやフキンもしっかりと消毒しましょう。

また細菌やウイルスの多くはある程度の水分がないと生きていけません。

その為、特に水分を含みやすいスポンジやフキンはしっかりと乾燥させることも大切です。


食べるまでに時間があくお弁当ですが、対策をしっかりとすることで食中毒を防ぐことができます。

少しの意識と工夫で食中毒の多い時期を乗り切りましょう。


<筆者プロフィール>
永吉 峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中