エースの鄭(左)は中澤(右)を中心とする横浜の守備陣からゴールが奪えなかった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ13節]清水 1-3 横浜/5月27日(土)/アイスタ
 
歯がゆい……悔しい……やり場のない……何とも表現しがたい感情が、試合後のホーム側スタンドを支配していた。
 
 サッカーの内容で負けていたわけではない。シュート数は清水=15本/横浜=6本と圧倒し、決定機の数も、横浜の3回に対して清水は6回。良いプレーを見せた選手も多かったが、終わってみれば決定機をすべて決めた横浜に1-3の完敗。またしても清水は、J1で2年ぶりとなるアイスタでの勝利を飾ることができなかった。
 
 多くの選手は、最後まで勝利を諦めない気持ちとハードワークを見せただけに、サポーターとしても無念さをどこにぶつけたら良いのかわからない。そんな情景に、なんとも言えない切なさを覚えた。
 
 ただ、敗因はシンプルだ。攻撃でも守備でも、最後のところで詰めの甘さが出たことにある。とくに失点は、3つとも悔いが残る失態を伴っていた。
 
 1点目は、スローインのところで一瞬マークが甘くなって簡単にクロスを上げられ、虚を突かれて逆サイドの松原健を完全にフリーにしてしまった。
 
2点目は、マルティノスのクロスとウーゴ・ヴィエイラのボレーが素晴らしかったのは確かだが、同点に追いついた直後で簡単にカウンターを食らったのは明らかに不用意だ。
 
3点目は、攻めに出た中でカウンターを受けるのはしかたないが、交代出場で体力が残っているボランチの野津田岳人がカバーのために全力で戻らなかったことに対して、小林伸二監督は激怒した。
 
 なかでも得点後の試合運びは、以前から課題となっており、今季は得点した直後に失点することが非常に目立っている。前節の浦和戦でも、0-2という窮地から一気に3点を奪って逆転したが、その3分後にゴールを決められ、3-3の引き分けに終わった。今節も、同点ゴールからわずか2分後に決勝ゴールを許してしまった。
 
「(得点後に)ホームだと前がかりになってしまうし、アウェーだと引き過ぎてしまう。今日はホームで何としても勝ちたかったし、サポーターも応援してくれるから(気持ちが)高揚して全員が前から行く感じになって、後ろが空いてしまいました。しっかり話し合って、今日の失敗を次に生かしたいです」と、キャプテンの鄭大世は唇をかんだ。
 得点に関しては“水もの”という面もある。あれほど難度の高いシュートを高い確率で決めてきたチアゴ・アウベスが、今回はこれまででもっともイージーなチャンス(前半アディショナルタイム)を決められなかった。それはサッカーではよくあることだ。
 
 だが、守備が“水もの”ではいけない。今回は決定力を欠いたが、それでも1点は取れた。内容からいえば1-0で勝ってもおかしくなかったし、悪くても1-1のドローで終わるべきゲームだった。
 
「(試合中に)アラートさが抜ける時があって、そこがなかなか回避できないでいると思います。まだまだ“緩い”チームだということを反省せざるを得ません」と小林監督は無念さを表情ににじませながら語った。
 
その意味で横浜のほうは、この日が通算550試合目となった中澤佑二を中心に、最後まで隙を見せることなく、抜け目ない守りを見せた。それが今の清水にできていない。
 
 サッカーのコンセプト自体に問題があるわけではないが、時間がかかりそうな課題も含んでいる。そこをどう克服していくのか、経験豊富な指揮官の手腕が問われるところだ。
 
取材・文:前島芳雄(スポーツライター)