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どちらが勝ってもおかしくない

この対決の決着は、容易ではないことが予想される。

先代E63ならば、605ps+4WDのRS7とのゼロ発進勝負では、儚く散ったに違いないが、新型は、そこから進歩を遂げている。

とはいえ、正直言って、それが飛躍的なレベルだとは確信できないのもまた事実である。

現行世代のRS6アバントとRS7スポーツバックは、0-100km/h加速が4秒を切る。この分野における、大型のラグジュアリーなワゴンや4座スーパー・サルーンのベンチマークだ。

それは昨年、ネッカーズルムから強化版のパフォーマンス仕様が登場する前でさえそうだった。3秒台の0-100km/h加速を実現したのは、エンジンによるところが大きい。

なにしろ、2.5トンのベントレー・コンチネンタルGTにさえ、十分な動力性能を与えるユニットなのである。強化版RS6の0-97km/hはすでに計測し、3.5秒を切ることができた。RS7のタイムはいかほどだろうか。

まずはRS7から発射

スペック表を見ると、E63 SはRS7より55kg軽く、同じ2500rpmでピークに到達するトルクは10.2kg-m上回る。

ただしRS7は、21インチの巨大なタイヤが路面をいなしきれないこともあるが、ホイールスピンでエネルギーを浪費することもまたなく、E63 Sに付け入る隙を与えるとは思い難い。

このサイズのクルマが速いと感じることは極めてレアケースだが、RS7の突進ぶりには常に勢いがあり、しかもほぼシームレスだ。ペダル操作とほぼラグなしに、圧倒的な勢いで前進する。

ターボラグは極めて小さく、ドライブトレインやトラクション・コントロールは判断に時間を必要としない。全回転域にわたり、どのギアに入っていても、信じがたいほどリニアだ。

加速におけるキャラクターの違い

E63 Sが物理法則と格闘しながら、その重量を制限速度くらいまで引っ張る際のフィーリングは全く異なり、ドライバーを低い革ソファーのようなシートから引きずり下ろさんばかりの勢いがある。

まず、AMGがレース・スタートと呼ぶローンチ・コントロールが備わる。そのスイッチを入れると、エンジンとトランスミッションは待機状態に入り、ブレーキペダルを放すとクルマがスロットルとエンジン回転をみごとに処理してくれる。

あわせてアクスル間のトルク配分も完璧に調整して、後輪にはほんのわずかのホイールスピンを許容しつつ、全輪にはガッチリと路面へ食いつかせる。

AMGのパワー・デリバリーは、アウディのそれほどリニアではない。回転の上昇に伴うパワーの湧き上がりが明確に感じられ、フル・パワーまでより熱狂的で、スタッカートの利いた盛り上がり方をみせる。

その点、RS7は幅広い回転域で唸りが途切れず、より速いクルマに感じられる。

しかし、信じられないことだが、そうではなかった。

数字が語る、意外な顛末

RS7は97km/hに3.36秒、161km/hに7.52秒で到達する。とんでもない数字だ。

ところがE63 Sは、ほんのわずかながらこれらを上回るスコアを叩き出したのだ。

フィーリングがどうであっても、ストップウォッチは正直だ。その差がわずかでも、勝者はAMGである。

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