トランプ大統領は5月9日、FBIのコミー長官を電撃解任した。フリン前大統領補佐官とロシアの関係を捜査していたコミー氏に圧力をかけたとされている。身内の共和党・チェイフェッツ下院監視・政府改革委員会委員長からも「メモは司法妨害の強力な証拠であり、すぐさま特別検察官による捜査を開始すべきだ」との声があがっている。司法省はホワイトハウスに反旗を翻す形でミュラー元FBI長官を特別検察官に任命した。これに対しトランプ大統領はツイッターで「アメリカ史上最大の魔女狩りだ」と反発している。

 アメリカの政府関係者は「情報機関を敵に回して生き延びた人間はほとんどいない」と話すが、実際、リークとみられる報道が相次いでいる。17日付のロイター通信は「大統領選挙中、トランプ陣営とロシア当局者が少なくとも18回接触した」と報じた。他にもワシントン・ポストは「クシュナー上級顧問が捜査線上に浮上している」などと報じている。トランプ大統領の長女・イバンカ氏の夫であるクシュナー氏は、駐米ロシア大使に秘密の通信手段の構築できないか提案したという。

 さらにCIAの元トップであるブレナン氏が「ロシア当局者とトランプ陣営が接触している情報は把握していた。今後もさらに捜査が必要になる十分な証拠がある」と公聴会で証言した。

 民主党は“最終手段”に打って出る構えをみせている。司法妨害を理由とした大統領の弾劾だ。アメリカ史上、弾劾裁判に至った大統領は2人だけだ。実際に罷免されれば史上初となる。ロシアのプーチン大統領は「アメリカは政治的精神分裂が進行しているようだ」と発言したという。

 トランプ政権の支持率は就任以来最低となる38%、不支持は56%だ。共和党員の不支持も前回より7%アップしている。

 アメリカ大統領の弾劾は簡単ではなく、下院・司法委員会で弾劾に匹敵するかが検討され、下院の過半数の賛成で弾劾訴追される。弾劾裁判は上院で行われ、出席者の3分の2以上の同意で有罪となり、罷免される。

 国際弁護士の湯浅卓氏は「避雷針で有名なベンジャミン・フランクリンは、弾劾を入れることで、大統領が暗殺される確率が減ると言った。暗殺と並んでの弾劾ということだから、本当にシリアスな問題」と述べ、この問題の大きさを説明した。

 国際ジャーナリストの小西克哉氏は、弾劾裁判の可能性が60%、罷免が1%と予想する。「弾劾というのは結果ではなくプロセスのことをいう。これはアメリカ人でも分かっていない人が多い。弾劾というのは、下院が弾劾訴追を始めることをいう。それが通ったら、上院で弾劾裁判がある。裁判で有罪となったら解任される」と解説した。

 ジャーナリストの堀田佳男氏は、弾劾裁判の可能性が50%、罷免が10%と予想する。「下院では共和党が与党になっている。ただ今後1年か1年半くらいの間、来年11月の中間選挙の前に、弾劾という言葉がもっと出て、違法性なり、司法妨害なり、選挙中のロシアの関与などが暴かれてくるだろうと」と述べた。さらに「アメリカの政治というのは、党の拘束に縛られていない。自分の中間選挙の議席も危うくなるから、反トランプで動いておこうとなっていけば、共和党の議員であっても、弾劾に賛成票を投じるだろう」と予想する。

 湯浅氏は、弾劾裁判の可能性が1%、罷免が1%未満と予想する。「これには前提がある。万が一、トランプがコミー前FBI長官を解任していなかった時の弾劾裁判、罷免の可能性は99%。つまり、コミーを首にしていなかったら、トランプ大統領がやられていた可能性が高い」と述べた。その理由として「(コミー氏は)めちゃくちゃヤバイ人物だからだ。FBIの歩く週刊文春みたいな男」と述べた。

 堀田氏はミュラー氏の独立検察官就任について「ニクソン政権の時にコックスという独立検察官がいたが非常に似た立場になった。この方(ミュラー氏)が頑張れば、コミー長官の後を継ぐような形で詰め寄って、最終的には弾劾裁判に持っていく可能性がある」と述べた。

 小西氏は「弾劾に対する法の立て付けは高いハードルを設定している。ところが実際にどう機能するか、というのはかなり違っていて、アメリカは政治で動いてしまう」と述べ、下院議員がどう動くかが鍵だとの見方を示した。また、堀田氏によると、共和党支持者はまだトランプ大統領を支持している人が多く、実際には弾劾に至らない可能性があるという見方も紹介した。

 湯浅氏はクシュナー氏の疑惑について「まだ政府の人間でもないのに、政治的な内容で(ロシアと)秘密のラインを結ぼうとしたのであれば当然問題になってくる」との見方を示した。

 小西氏は「クシュナーだけではなく、過去の政権の移行期にそういうこと(外国との交渉)をやっていることはたくさんある」と述べた。さらに「その相手がたまたまロシアという仮想敵国だったからメディアは大騒ぎになった。それだけのことだ」と述べた。さらに、北朝鮮問題への影響については「トランプのお尻に火がつくようになると、段々好戦的な方に向く可能性が捨てきれない」と今回の問題が影響する可能性を指摘した。

 史上初のアメリカ大統領の罷免にまで進展するのかどうか、注目が集まっている。

( AbemaTV /みのもんたのよるバズ!より)

(C)AbemaTV