妻の仕事が命綱「片働き」できぬ薄氷家計

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■もろい共働き世帯 妻の退職で即赤字確定

●家族構成(4人家族)
主婦で会社員のAさん(44)/会社員の夫(41)/保育園に通う長男(4)/長女(2)
●手取り収入(月)
37万5000円(夫)、19万8000円(Aさん)計57万3000円
●貯蓄 320万円

「学費や老後資金を貯めなくてはいけないとはわかっているのですが、節約が苦手で……」

と話すのは、主婦で会社員のAさん(44)。会社員の夫(41)、保育園に通う長男(4)、長女(2)との4人暮らしです。Aさんは第一子を40歳のときに産んでいます。

Aさんは現在「短時間勤務制度」を使い、1日6時間、正社員として働いていますが、長女が3歳になる年末に、この制度が利用できなくなります。通常の働き方(短時間勤務ではない)に戻ると給料が増えますが、仕事が長引きがちになり帰宅時間が21時、22時となってしまうことが多くなるそうです。

夫も残業が多く、帰宅時間が遅いので保育園の送迎や子どもの世話を頼める状況にありません。そこで子どもに無理がかかる働き方は好ましくないと思い、退職する方向で考えていますが、そうすると毎月赤字を覚悟しなくてはいけません。節約をして生活費を少なくしようと思っても、長続きせず、すぐ元通りになってしまうそうです。

▼月にローン11万超、保育費9万弱。妻の収入0円なら赤字転落

現在、ご夫婦の月の手取り額は夫37万5000円、奥さん19万8000円ほどの57万3000円。支出は、住宅ローンや車のローン計11万円超、2人の幼い子どもを預けている認証保育所費用に8万6000円かかるなど総支出は49万3000円。それでも毎月8万円の貯蓄ができるペースを維持しています。

ですが、奥さんの収入がなくなれば、夫の収入だけでやりくりしなくてはいけません。そうなると、毎月12万円も足りないという状況になります。もちろん、貯蓄はできなくなります。赤字見込み額をどのように圧縮、もしくは補填していくのかを考えなくてはなりません。ただ、急に12万円を圧縮することは簡単ではありません。貯蓄を食いつぶして生活するのではなく、貯蓄を増やしていきたいと考えるのであれば、奥さんが何かしらの形で働き、収入を得ることを視野に入れる必要があります。

■妻が編み出した生活費「圧縮」の秘策とは?

奥さんは働き方を変え、ある程度収入を維持することも検討したそうですが、職場にはパート勤務者はおらず、働き方を変えるのは難しいとのこと。働く場合には、今と同じ専門職の事務関係の仕事をしていきたいという希望もあります。長女が3歳になる年末までは時間があるので、希望する職種での求人をじっくり探していくことにしました。

それと同時に、生活費の圧縮を検討していきました。自分では「節約できない」と言いながらも、実行可能な「節約策」は取ろうとしています。たとえば、マイホームを持つときには太陽光発電を取り入れたり、携帯電話についてはすでに格安スマホへ切り替えたりしています。

ただ、日々お金が動く流動支出は節約がしにくいようで、食費は高め、被服費や交通費も気になります。固定支出でも、生命保険は7年ほど前に見直したのが最後ということでしたが、保障内容が現状に合っていないようです。この辺りを中心に見直すと、支出削減効果がありそうです。

▼食費は1ヵ月ではなく、1週間ごとに小分け

まず、食費は1週間の予算管理に取り組みました。4週間分の食費から1週間分の金額を出し、その8割でやりくりすることに挑戦しました。お米代は別途5000円ほど確保します。
従来の食費だと週1万5000円ほどかかっていたのですが、そこを1万2000円に下げました。少しきついと感じたようですが、スマホに動画でさまざまな料理を紹介してくれる無料アプリを入れ、これまでとは違うメニュー作りにチャレンジすることで、削減後の食費にも楽しみながら慣れることができました。

生命保険は、現状に合わせて見直しました。中途半端に貯蓄性のあるものはやめ、必要な保障を考え、掛け捨てを基本に構成しました。被服費は奥さんが洋服好きで小遣いでは足りず、別の家計から洋服代を払っていたこと、クリーニングもよく利用していたことが、支出が多くなっている原因でした。そこをあらため、クリーニングもできるだけ家でするように意識すると支出が減りました。

このように家計に取り組むと、ほかの面でも節約意識が出てきます。長女のトイレトレーニングを保育園の先生と相談しながら進め、おむつの使用量が減ったので日用品代を減らすことができました。保育園の行き帰りに気軽に使っていたタクシーの使い方も考え、悪天候や体調が悪いとき以外は使わないようにしました。また、美容室も新しくできた割安なところに変えました。こういった積み重ねの結果、支出は合計で6万円も削減できました。

■学費や老後資金のために、妻の再就職は必須

ただ、これでも夫の収入だけでは生活が難しい状況です。奥さんが完全に仕事をやめ、子どもを幼稚園に預け替えたらどうかと試算してみました。下の子も幼稚園に入ることができる年齢であることを考えて、保育園代を幼稚園代2人分6万円の予算として計算しなおすと、やはり3万円ほど赤字になります。これでは、学費や老後資金のためにお金を増やしたいというAさんの目的は達せません。やはり奥さんの再就職が必要です。

時間をかけながら求人を探すと、下の子が3歳になるタイミングよりは少し早い秋口からですが、同じ職種でパートができる職場を見つけることができました。手取り12万円ほどになりそうです。この職場なら子育てをしながら貯蓄を増やすこともできそうです。

【家計費コストカット額ランキング】

1位:被服費 −2万1000円
クリーニングに頼りがちな傾向を改めた。また、妻が洋服好きで、つい買いすぎ傾向にあったので必要最小限度にすることにした。
2位:生命保険料 −1万9000円
7年前ほどから見直していなかったので、保障内容を見直した。
3位:食費 −1万3000円
月の食費を「1週間」ごとにわけ予算管理。週予算は1万2000円。米代として5000円確保する。
4位:交通費 −3000円
保育園の行き帰りについタクシーを使うことが多かったが、悪天候や体調不良の日のみとルールを決めた。
5位:生活日用品 −2000円
子どものトイレトレーニングをすすめ、紙おむつを少なくした。買いだめも控えた。

実はこうした共働きを前提にした「赤字家計」はよくあるケースです。皆さんも、もしかすると今の生活は今の働き方だからできているだけかもしれません。無駄遣いがないよう、支出の把握、コントロールを心がけましょう。そして、働き方に変化が生じたときには、変化後の生活に目標を持ち、達成する方法を模索していただきたいと思います。

(家計再生コンサルタント、マイエフピー代表取締役、ファイナンシャルプランナー 横山 光昭)