@AUTOCAR

写真拡大

■どんなクルマ?

「SUV」という言葉で括るのはもったいない

プジョーの「3008」シリーズがフルモデルチェンジされ、セカンド・ジェネレーションへと進化した。

プジョーにとって、この3008のように4桁の数字からなるネーミングを掲げるモデルは、2004年に誕生した「1007」に始まるもの。過去には保守的とさえ評されることも多かった、プジョーのクルマ作りに対するイメージは、強い革新性を秘めた一連の4桁モデルによって一新されることになった。そして新型3008もまた、非常に斬新なSUVとしてデビューすることになった。

その象徴的な存在といえるのは、やはりエクステリアとインテリアのデザインだろう。

Aピラーからルーフ・ラインへと連続するクローム・ラインや、リア・ドアの途中から後方に向かって跳ね上がる躍動感のあるウエストラインの流れは、いかにもプジョーの最新作といった斬新さと美しさを感じさせるもの。ボトム・ラインをやはりクロームで演出したことで、SUVとしてのタフネスも巧みに演出されている。

全長×全幅×全高で、4450×1840×1630mmというボディ・サイズは、先代と比較して全長が85mm拡大されたのが大きな違いだ。

「EMP2」は効果てきめん

プジョーでは、すでに「308」から採用が始まっている、最新世代のモジュラー型プラットフォーム、「EMP2」が特長とするもののひとつには軽量設計があるが、この3008でもその効果は十分に表れている。

ボディまわりなどにアルミニウムやプラスティック素材を積極的に導入したことなどとの相乗効果によって、ボディ・サイズを拡大したにもかかわらず、新型3008では、先代モデル比で約100kgにも達する軽量化が果たされているのだ。

インテリアのデザインは、2012年にデビューした「208」から採用が始まった、小径ステアリング・ホイールとヘッドアップ・インストゥルメント・パネルで構成される、「i-Cockpit」のコンセプトを継承したものだ。

ヘッドアップ・インストゥルメント・パネルは12.3インチの高精細デジタル・スクリーン。さらにコックピット・センターには、大型のタッチスクリーンが備えられ、ここでは車両のセッティングなど、さまざまな操作が簡単に行える。

4WDでなくともいいかもしれない

キャビンは2675mmという長いホイールベースが設定されたことにより、非常に開放的な雰囲気に仕上げられている。オプションでパノラミック・サンルーフをチョイスすれば、キャビンはさらに明るく、そしてエレガントな空間に演出されることになる。後席は6:4の分割可倒式。ラゲッジ・スペースを含め、SUVとしての使い勝手も、十分にそれを期待できる。

日本仕様の3008は、まず最高出力が165ps、最大トルクでは24.5kg-mという数字をスペック・シートに掲げる、1598cc仕様の直列4気筒ガソリン・ターボ・エンジン搭載車からの導入。

組み合わせられるミッションは6速ATで、駆動方式もFWDのみとなる。SUVのカスタマーならば、4WDモデルにも期待したいところなのだろうが、プジョーは4WDに代わるメカニズムを、上級グレードとなる「GT Line」に搭載してきた。

それがアドバンスド・グリップ・コントロールと、ヒル・ディセンド・コントロールの両システムで、前者はパワートレインに、「ノーマル」「スノー」「マッド」「サンド」そして「ESPオフ」という5タイプのモードを設定し、それによって最適なトラクション性能を得るもの。

後者は5%以上の勾配で坂を下る時に、自動的に車速を5km/h未満に制御する。同時にタイヤも、M&S=マッド・アンド・スノーが標準装備となるから、カスタマーの行動範囲は、さらに大きく広がることになるだろう。

また日本仕様には、ほかにベーシック・グレードとなる「アリュール」と、「同LEDパッケージ」が用意されており、こちらはより高いコストパフォーマンスが魅力だ。日常の足として、実用的なサイズのSUVをと考えるカスタマーには、これは非常に魅力的な選択肢となりそうだ。

■どんな感じ?

個性的なのは外観だけではない

今回試乗車として用意されたのは、新型3008の日本導入を記念して、180台の限定で販売される「GT Lineデビューエディション」

デビューエディションは「アリュール」ベースでも同じく180台が用意されたが、すでにそのいずれもがソールドアウト。これも市場での新型への大きな期待が表れた結果といえる。

参考までに限定車としての特別装備は、本来はオプションとなるパノラミック・サンルーフや、ハンズフリー電動テールゲートなど。プライスは、試乗車のGT Lineデビューエディションでは、ジャスト400万円という設定だ。

そのエクステリア・デザインに、ニューモデルとしての斬新さが強く表現されている新型3008。その個性は同クラスのSUVの中でもとりわけ強く、それはライバルの中から3008をファースト・チョイスとする、直接の理由ともなるだろう。

キャビン・デザインも同様にスタイリッシュで、かつエレガントに仕上げられている。i-Cockpitの視認性や機能性も素晴らしい。

最初にそのコンセプトがプジョーから提案された時には、正直なところやや違和感を覚えたデザインだったが、その不満は新型3008においては完全に解消されたといえる。

だがその一方で、コックピットからの視界が、特に後方でやや小さく感じられたのは残念だった。これも美しいエクステリア・デザインの代償といえばそれまでだが、何よりもSUVには機能性を要求するのだというアクティブ派カスタマーには、不満は大きいかもしれない。

まずは、今回の試乗会のために特設されたオフロード・コースへとノーズを向ける。

FWDを侮ることなかれ

ここでは、アドバンスドグリップコントロールで「マッド」モードを選択することが推奨されていたが、なるほどそのトラクション性能は、さらにタフなシチュエーションになれば、さすがに4WDモデルにはかなわないものの、FWDであることのハンデを一切感じさせないものだった。

ちなみにこのマッド・モードでは、ぬかるみで前輪がグリップを失ったようなシチュエーションでは、その駆動輪たる前輪を意図的に空転させ、泥を振り払うことでグリップを回復する制御も行われる。

オンロードでの走りは、さらに多くの魅力に満ち溢れていた。175mmという最低地上高からも想像できるように、ドライバーの着座位置はSUVらしく、実際にはかなり高い位置にあるが、コーナリングは驚くほどにスポーティだ。

とりわけシフト・レバー後方にレイアウトされるスイッチで、スポーツ・モードを選択した時の動きは魅力的で、それは前後のサスペンションが優れた接地感を演出していること、そして常に正確なインフォメーションをドライバーに伝えるとともに、まさに意図したとおりのノーズの動きを生み出してくれるステアリングに大きな理由がある。

コンチネンタル製のM+Sタイヤも、この3008のキャラクターにはマッチしている。乗り心地には十分な節度があり、またコーナリング時にはその剛性感にも大いに満足できる。

エンジン/実用性は?

搭載されるガソリン・ターボ・エンジンも、実にスムーズな動きに終始するが、アクセル・ペダルを踏み込んだ瞬間の反応が、ややダルなものに感じられたのが残念だ。

もちろん最大トルクの24.5kg-mが、1400〜3500rpmというワイドなエリアでフラットに発揮されるなど、エンジンそのものの潜在的な能力は高く、実際に加速が始まれば、それはサイズを感じさせない軽快さを印象づけてくれるのだが。

SUVとしての実用性は非常に高い。後席を使用した状態でも520ℓの容量が確保されるラゲッジ・スペースには、大きな開口面積を持つリアゲートからアクセスが可能。

フロアや側面もフラットにデザインされているから、荷物を効率的に積載することができる。試乗車には特別装備として採用されていた、ハンズフリー電動テールゲートの機能、そして使い勝手も素晴らしい。

■「買い」か?

いいぞ! プジョー!

試乗車の「GT Lineデビューエディション」は、すでにソールドアウトしてしまったが、新型3008シリーズが持つコスト・パフォーマンスは相当に高いと評価してよいだろう。

日本にはこれから、1997ccの直列4気筒ディーゼル・ターボ・エンジンを搭載する「GT BlueHDI」グレードも導入され、それが最上級グレードの役割を担う予定。

だが個人的には、今回試乗したガソリン・モデルの、軽快なドライブ・フィールは非常に好ましく思えた。プジョーとしての、そしてフランス車としての個性を好意的に感じられるカスタマーの目にはなおさら、この新型3008というSUVは、魅力的な商品と映るのではないだろうか。

プジョー3008GT Lineデビューエディション

■価格 4,000,000円 
■全長×全幅×全高 4450×1840×1630mm 
■ホイールベース 2675mm 
■乾燥重量 1470kg 
■エンジン 直列4気筒1598ccターボ 
■最高出力 165ps/6000rpm 
■最大トルク 24.5kg-m/1400-3500rpm 
■ギアボックス 6速AT 
■サスペンション マクファーソン・ストラット / トーション・ビーム 
■ブレーキ ベンチレーテッド・ディスク / ディスク 
■ホイール+タイヤ 225/55R18 
■燃費(JC08モード) 14.5km/ℓ