3試合連続で前半のうちに先制されながらも、なんとかグループステージ突破に漕ぎつけた。決勝トーナメントでは違った姿を見せられるか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 イタリア戦には、ふたつのゲームがあった。
 第1試合は2-2に追いつくまでの50分間。第2試合は2-2になってからタイムアップまでだ。

【U-20W杯|日本 2-2 イタリア PHOTO】堂安が渾身の2ゴール!日本、3位で決勝Tへ
 
 1試合目は最悪のスタート。だが、なんとか引き分けに持ち込んだ。
 2試合目はイタリアと共謀してのスコアレスドロー。観衆を退屈させたが、まあ、こういうレギュレーションだから仕方がない。
 
 さて、引き分けオーケイ、敗北は絶対に許されない一戦は、目を覆うような形で始まった。先制点だけは与えてはいけないというのに、3分に失点、さらに7分にもゴールを割られた。
 
 失点の形も悪い。
 先制点は右サイドの裏を取られ、そこからのクロスを逆サイドから飛び込んできた敵に決められた。つまり、2度も背後を突かれている。
 セットプレーから決められた2点目も、完全にマークが置き去りにされた。
 
 立ち上がりに浮足立つというのは、日本の大きな課題だ。イタリア戦だけではなく、過去2試合も日本は前半に先制点を許している。
 南アフリカ戦は7分、ウルグアイ戦では38分に失点した。
 
 日本が立ち上がりに弱いのは、敵の動きに慣れるまで時間がかかっているからだ。南アフリカ戦では敵のスピードに次々と背後を取られていたが、このイタリア戦でも敵のプレスに精神的にも受け身になり、墓穴を掘ることになった。
 殴られて、初めて目が覚める。ここまではなんとかなったが、一発勝負の決勝トーナメントでは許されないことだ。
 
 こうした立ち上がりの弱さは、ひと言でいえば国際経験の欠如が原因だと思う。日本は外国人と接する機会が少なく、その日本で運営されるJリーグも例外ではない。私たちメディアは、国際舞台に出るたびに世界、世界と書き立てるのは、そのためだ。過剰に世界を意識させている可能性もある。
 イタリアもウルグアイも南アフリカも、たぶん世界、世界といって騒いだりしないだろう。
 
 そして実際に国際経験の少ない選手たちは、きょろきょろしながらゲームを迎え、手痛い経験をする。まるで初めて海外に出て、トラブルに巻き込まれる学生みたいだ。
 
 だが、すべてがいい経験だ。イタリアやウルグアイの選手たちは、U-20ワールドカップに出なくても、手近なところでいい経験を積むことができる。だが日本は、前述したようにそういう環境ではないからだ。
 
 2対2でオーケイ、最後はタイムアップを待ちましょう――。こうした奇妙な状況でのプレーも、この大会に出なければ経験できないことだった。
 
 日本のU-20ワールドカップは、さらに続くことになった。1試合でも多く経験できるというのは素晴らしいこと。素直に喜びたい。
 
 それから堂安、彼は本当に大きな仕事をした。
 メディアのいないイタリアでは、誰が活躍しても国内では騒ぎにならない。だが、日本は違う。明日の新聞やテレビで、彼はヒーローのように扱われるだろう。
 
 つまり、このイタリア戦を境に堂安は世間に認知された。名前を覚えてもらうということは、期待される選手になるということ。これはいいことだと思う。期待されればされるほど、選手は自覚を増すからだ。
 そういう選手が、次のゲームでも出てきてほしい。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)