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性格の違う3人のメンバーが、これまたタイプの異なる3車種の電動アシスト付き自転車を駆って、江ノ島〜芦ノ湖の約55kmの旅に出た。全行程をアシスト付きで走っていたら、終盤に待ち構える激上り坂で明らかにバッテリーが足りなくなる今回のルート。果たして全員が、完走することができるか!?

挑戦するのはこの3人と3台の電動アシスト付き自転車!


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いざ芦ノ湖目指して出発!

3人は箱根を越えられるか!?



最新の電動アシスト付き自転車の性能がいかほどか、江ノ島から芦ノ湖までの55kmを走ってみよう! という軽いノリで、40歳を超えた3人が新江ノ島水族館前に集まった。3人の中で普段から自転車に乗っているのは2人。週末には本格ロードバイクで走り回っているライターの頓所と、電車で通うよりもラクだという理由で自転車通勤している同じくライターの河原塚。もう1人、デザイナーの一ノ瀬は、最近ほとんど自転車に乗っていない。

早く走りたくてウズウズしている様子の頓所が乗るのは、ヤマハのロードバイク『YPJ-R』。いつもミニベロに乗っている河原塚は、デイトナ『DE01S』。「本当に走り切れるかなぁ」と不安を口にする一ノ瀬は、BESVのクロスバイク『LX1』にまたがった。





▲走ったのは江ノ島を出発し、芦ノ湖に至る約55kmの道のり。最後の20kmほどで一気に高度を上げるハードなコースだ。

全行程55kmでの課題は箱根を越えるラストの15km。バッテリーは持つのか? はたまたバッテリーなしでも越えられるのか? そんな不安を胸に秘めつつ、江ノ島をあとにした。

突風吹き荒れる

江ノ島〜酒匂川





▲江ノ島から小田原に入る直前の酒匂川までは、ひたすら平坦な道のり。スタート地点の江ノ島から、気になるほどの風が吹いているが、時折、横や向かいから突風が吹きつけた。

スタートしてしばらくは、ほとんど起伏のない国道134号線を小田原目指して進む。ウォーミングアップにはちょうどいい。はじめからバッテリーが持たないと分かっている頓所と河原塚はアシストをオフに。愛車のロードバイクよりは重いが、これくらいの負荷は、トレーニングとしてちょうどいいと言いながら頓所は走る。デイトナに乗った河原塚は、電源を切った状態でもペダルを踏むと軽快に前に進むことに驚いた。起伏のない道をダラダラと走るのは得意だ。実はバッテリーがなくなったら、箱根登山鉄道で輪行しようと思っていたけど、これなら行けるかも。BESVの一ノ瀬は、初めての電動アシスト付き自転車にご満悦。「いやぁ〜、電動ってすごいね。ぜんぜん疲れないよぉ」と言いながら軽快に走る。BESVの航続距離はカタログ値で最大85km。3台で唯一、全行程を走り切れるスペックを持っている……。



▲平坦な道ではバッテリーの消耗を考えてモーターをオフに。 それでも大きなの負荷を感じること快適に走れるのが今回の3台だ。

時折襲ってくる海からの突風と、クルマの交通量の多さにヒヤヒヤしながらも、特にトラブルが起きることもなく3人とも余裕で走り続ける。時々海が見えるので、気分も軽やかだ。大磯などで小休止しつつ、出発地から30km地点の酒匂川に到着。結局、頓所と河原塚はバッテリーをほとんど消費することがなかった。川を渡れば小田原や箱根湯本まではすぐそこ、ということで、いよいよここからが本番だ! と思いを新たにする3人なのであった。



▲酒匂川を渡れば小田原市となる。バッテリーは心強いほどに残っているから前途に不安はなし。このままなら気持ちよく箱根を超えて温泉に入れそうだ。

緩やかに上り始める

酒匂川〜箱根湯本





▲酒匂川を渡り切ると小田原の市街地へ突入。小田原城を超えるとなだらかな上りが出てくる。さらに板橋見附から箱根湯本間では、初めて本格的な上り坂を体感することになる。

酒匂川を渡ると小田原の市街地に入る。まだ平坦な道が続いていることもあり、体力的にはまだまだ余裕。リニューアルしたばかりの小田原城を通過すると、箱根湯本まではなだらかな上りになっていく。向かい風がキツいので、河原塚(=デイトナ)は電動アシストの電源を入れた。芦ノ湖までは残り20km。最後の急な上り坂は不安だが、カタログ値で50km走れるのなら、芦ノ湖まで走り切れるのでは、と判断。

一ノ瀬が乗るBESVのアシスト機能は、MODE-1からMODE-3まで設定可能だ。ここまではMODE-1を多用していたが、箱根湯本が近づくにつれて、MODE-2、MODE-3とアシスト機能を強めて走る。頓所(=ヤマハ)は、相変わらずアシスト機能をオフにしたまま。それでもバッテリー残量が減っていき、小田原通過時に86%となっていた。



板橋見附を抜けると勾配が感じられるように。お昼ご飯を食べていないこともあって、3人とも不機嫌になり、口数も減ってきた。ほどなく箱根湯本に到着。ほんのちょっとの坂道だったが、この後が思いやられるほど河原塚と一ノ瀬はぐったりした表情だ。



▲自転車に乗ったからなのか、腹が減っていたからなのか、うどんや蕎麦がむちゃくちゃ美味い! お腹を満充電にしたところで、箱根を超えるぞ!! と思いを新たにする3人であった。

箱根を思い知る

箱根湯本〜宮ノ下





▲箱根湯本からはこれまでより急な上り坂に。つづら折りの上り坂が連続した道のりとなり、息をつく暇もない。坂道ではバッテリーの消耗も激しくなり、ついにはバッテリー残量がゼロになる自転車も!?

箱根湯本の蕎麦屋を出ると、そもそも協調性に欠ける河原塚(=デイトナ)は自分勝手に先を目指して出発。一ノ瀬(=BESV)と頓所(=ヤマハ)が数分遅れで箱根湯本を後にした。目標地点の宮ノ下までは5kmの道のりだが、高低差は337m。河原塚(=デイトナ)は、バッテリーを消耗するステージに入ったのでペースを他のメンバーに合わせたくなかったのだ。無理にペースを合わせて走れば、体力や筋力、バッテリーも無駄に消耗するだけである。



一ノ瀬(=BESV)は、MODE-1やMODE-2ではアシストが感じられなくなり、一番強力なMODE-3に切り替えて上っていく。同時にバッテリー残量がみるみる減っていき、スタートから43kmほど、宮ノ下の手前で残量がゼロに……。そこからアシスト無しで走ってみようとしたが、急な上り坂なうえに重量約24kgの自転車はピクリとも動かない。泣く泣く(?)バッテリーを交換し、電動アシストが復活する。「いやぁ〜、バッテリーのイキがイイよぉ〜!」と、また機嫌を直して走り出した。



▲ついに、箱根湯本からの急な上り坂で、バッテリーの消耗が激しくなる。宮ノ下の中間地点で一ノ瀬(=BESV)のバッテリーがゼロに。ペダルを漕いでもビクともしない。



▲1本目のバッテリーを使い切った状況で、サイクリングを楽しむ余裕はほとんどない。一ノ瀬(=BESV)はバッテリーを交換し、「バッテリーの活きがいいよぉ〜」と叫びながら、またスイスイと急坂を上っていった。

一ノ瀬を後ろからサポートしながら走る頓所(=ヤマハ)は、箱根湯本からエコモードを使い始める。箱根湯本では84%だったバッテリー残量は宮ノ下に着いた時点で70%にまで減っていた。最高到達地点までは宮ノ下から8kmとはいえ、標高差は470m。いよいよバッテリーや体力の残量を気にしながら走ることになる。

バッテリーもだけど体力が……

宮ノ下〜芦ノ湖





▲箱根駅伝でもハプニングが起きやすい急な上り坂が続く道のり。電動アシスト付き自転車では、体力や脚力の消耗と同時にバッテリーの消耗もさらに激化する。最後の芦ノ湖まで辿り着けるか!?

宮ノ下での小休止の後、3人で出発。眼前の急坂を上るのに必死で、周りの風景は記憶に残っていない。ただただ、つづら折りの道を上るだけ。河原塚(=デイトナ)は、バッテリーと体力(というより筋力)をできるだけ消耗したくないので、ベストマッチなペダルの踏力を探ることに専念。それでも、箱根ホテル小涌園近くにあるコンビニで小休止したときには、バッテリー残量が2/5になっていた。



頓所(=ヤマハ)は、つらい中でも自転車で走ることを楽しんでいる表情。宮ノ下で70%だったバッテリー残量が、箱根ホテル小涌園近くのコンビニ地点では32%にまで減少。それでも走り切ることに不安はない。一ノ瀬(=BESV)は、MODE-3で走っているものの、特につらそうだ。「いやぁ、完全に舐めてたわ。電動アシストは所詮アシストだったぁ〜」とコメントしている。



▲河原塚(=デイトナ)のバッテリーが、ついに1/5にまで減って赤いLEDライトが点灯。残り3km弱だから、歩いてでもゴールはできそうだけれど、途中でなくなったら嫌だなぁ、と心配する。



▲箱根湯本までは電動アシストをオフで走り、そこからはエコモードに。そして宮ノ下からはスタンダードモードに切り替えた頓所(=ヤマハ)のマシンだったが、残り3km地点の芦之湯温泉であえなくバッテリー切れ。それでも必死に坂道を進む。さすがガチのサイクリストです!

コンビニを後にしても、急な上り坂が永遠に続きそうな雰囲気。最高地点874mの標識に気がついたのは、頓所(=ヤマハ)だけ。他2人はそれどころじゃない。しかし、最後の上り坂の手前、芦之湯の直前で、頓所(=ヤマハ)もバッテリー残量0%に。河原塚(=デイトナ)のバッテリー残量も1/5となったが、ここまでくれば歩いてでもゴールできそうだ。



そして最後の上りを駆け上がると、残り約2.5kmは標高差135mを一気に下るだけ。満面の笑みを浮かべながら駆け下りていく。最後の下りは一瞬だったが、箱根を上り切った達成感と相まって、最高に気持ちのよいゴールとなった。



▲ゲートをくぐって、ついにゴール!



▲経験も性格も違う3人と3台だが、1人も欠けることなく急な上り坂も走りきった!

3車3様の感想





頓所(ヤマハ『YPJ-R』)

ロードバイクとしても完成度が高いですね。普段乗っているロードバイクよりは重たいですが、アシストをオフにしていても平坦な道なら負荷を感じず、最後の急な上り坂もなんとか頑張れました。



河原塚(デイトナ『DE01S』)

デイトナのアシストをオフにした状態での走りやすさに驚きました。重さを全く感じません。あとは10段シフトをフルに活用すると、坂道でも疲れず上っていけました。



一ノ瀬(BESV『LX1』)

初めての電動アシスト付き自転車でしたが、平坦な道では本当にラクですね。こんなに快適なものかと新鮮でした。でもこれだけ長い上り坂が続くと、やっぱりキツイですね。

江ノ島から芦ノ湖まで約55kmを完走してわかったこと

【やっぱりECOモードがいい?】

自転車にもよるが、平坦な道であればECOモードでも十分に走りやすい。ただし、上り坂になると、電動アシストの恩恵を感じにくくなり、その分、体力を消耗することになる。

【下りはバッテリー無しで行ける?】

下り坂はバッテリー無しでも全く問題なしだった。もちろん、タイヤの空気圧を適正にしていることが重要。普段からメンテナンスを心がけよう。また、過度な荷物を積まないように。

【上りはホントにラクなの?】

電動アシストがなければ、確実に今回の箱根越えは実現しなかったはず。そうした意味で、効果てきめんだった。だが、あくまでもアシストなので、ライダーの体力や脚力も必要だ。

【バッテリーの持ちはどうだった?】

平坦な道のりでは、バッテリーの消耗は緩やか。ただし、坂道が多いとアシストされる力が増えるため、走行距離と関係なくどんどんバッテリー残量が減っていくので注意が必要だ。

【アシスト無しでどのくらい走れる?】

今回の3台は、平坦で風がなければいずれも快適に走れるレベル。特にヤマハ『YPJ-R』とデイトナ『DE01S』の2台は、車重も軽く、アシスト無しでも緩やかな上り坂であれば無理することなく上れた。

【電動アシスト付き自転車は買うべき?】

体力や脚力に自信がないけど、長距離を自転車で走りたいとか、坂道が多いエリアを走ることが多い、などであれば間違いなく買いだろう。厳しい環境でも、自転車を純粋に楽しめる。

文/河原塚英信 撮影/下城英悟

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