帯ドラマ劇場「やすらぎの郷」(テレビ朝日 月〜金 ひる12時30分  再放送BS 朝日 朝7時40分〜)
第6週 40回 5月26日(金)放送より。 
脚本:倉本聰 演出:阿部雄一


話はすっかりリアルな相続問題へーー


亡くなった名優・大村柳次郎が祇園と新橋の芸姑に作らせた子供。祇園と新橋・・・よくわからないけど、なんかリアルに感じる。
さて、にわかに遺産相続について心配になってきた石坂浩二(役名:菊村栄)は、コンシェルジュの松岡(常盤貴子)に相談に行く。
すると、〈やすらぎの郷 La Strada〉にも専門家がいることがわかる。銀行にも相談窓口があり、「遺言信託」という生前に財産権を移す方法があることなどを知る石坂浩二(菊村)。

「少なくとも以前は高額所得者だったはずですから」という松岡の台詞が微妙に嫌味に聞こえるが、そこはスルー。問題は、菊村の「知的財産権」だ。
たくさんの映画やテレビドラマの脚本を書いてきた菊村だが、テレビドラマに関しては、昭和48、9年以前の作品は、ほとんど残ってないのだという。
「郵政省からの通達を誤解して」
「我々の作品は捨てられてしまった」
「大きな犯罪です」
 と常に貯め込んでいるテレビ業界への怒りが先に立ち、財産問題のことを一瞬忘れてしまう。
「え、え、なんの話しでしたっけ?」と我に帰るも、大丈夫か、菊村も認知症の兆候か? と心配になってしまった。
でもたしかに、優れたテレビドラマが残ってないことはかなりの損失だとは思う。

本来の権利である知的財産権の証拠を処分したうえ、多額の相続税をぶんどるニッポン。
1億円だと2300万もとられる!
2億円だと6300万!
「なにいい」という合いの手がおかしい。
3億円だと1億800万!!!

「搾取だ!」
「一生かけて働いて貯めた金が国にもってかれるんだな」
と憤る菊村、マロ(ミッキー・カーチス)、大納言(山本圭)。
「死ぬってこともえらい騒ぎなんですね」
「よく考えなければいけないですね、死ぬには」と悩むおじいちゃんたち。

「日本という国がにわかに身近になり」「死という実感が急に近づいた」
と真面目なモノローグをはいているが、よく考えたら、財産もっている彼らが死んでからの話なんだから、どうでもいいんじゃないかって気もしないではない。
これは、遺されたほうが焦る話である。もちろん、遺したい大切な人がいる場合は、気になるだろうが。

何にせよ、おじいちゃんたち、死んだ後のことまで執着しているってことが欲深い。
30万円(マロの財産)だと相続税なしで済むそうだし、もう何も遺さず死ぬってことを考えたほうがいいんじゃないか。

バー・カサブランカのバーテンダー・ハッピーちゃん(松岡茉優)もあわよくば、おじいちゃんの財産をいただこうと手ぐすね引いている(のか?)。
どうする、財産問題!

・・・と思ったけれど、予告によれば来週はまた違う話になるようで、財産問題は、秀さん編のちょっとし
たエピローグだったようだが、遺産に関する大事な知識と問題定義を残した。

たしかに、優れたテレビドラマが残ってないことはかなりの損失だとは思う。
お金じゃなくて、失われたドラマ遺産に対する嘆きが1番大きいのかもしれない。
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