久保建英【写真:Getty Images】

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 U-20W杯グループステージも残すところ各国1試合ずつ。徐々に決勝トーナメント進出の基準も定まりつつある。日本は27日に強敵イタリアと対戦する。グループ3位以内に入り、決勝トーナメントへの切符を掴むには最低でも「勝ち点1」、つまり引き分け以上が必要だ。(取材・文:元川悦子【天安】)

イタリア戦、最低でも必要な勝ち点1

 グループステージが終盤を迎えている2017年U-20W杯(韓国)。A組はイングランドと韓国、B組はベネズエラ、メキシコが各グループ2位以上を確保。A組3位のアルゼンチンは勝ち点3の得失点差+4、B組3位のドイツも勝ち点を4の得失点差-1まで数字を上げてきた。

 勝ち点3・得失点差-1の日本がベスト16に進出するなら、27日のグループステージ最終戦・イタリア戦(天安)での黒星は許されない。最低でも引き分けの勝ち点1確保が必要だ。内山篤監督も「決勝トーナメントに出るための戦いを徹底しないといけない」と口を酸っぱくして言っている通り、次戦の日本は「負けない戦い」を貫くことが肝要だ。

 その大一番を翌日に控え、U-20日本代表は26日夕方から天安市内にある天安サッカーセンターで1時間程度の最終調整を行った。左ひざ前十字じん帯断裂・左ひざ半月板損傷という重傷を負った小川航基(磐田)を除く20人の選手たちがグランドに現れ、ウォ―ミングアップ、攻撃のビルドアップの確認、セットプレーの守備の徹底といったメニューを消化した。左ふくらはぎの軽い肉離れで別メニュー調整を強いられていた板倉滉(川崎F)もこの日から完全合流。時間制限はあるかもしれないが、イタリア戦はプレー可能な状態まで回復してきた様子だ。

 同日のトレーニングで主力組と見られたのは、GK小島亨介(早稲田大)、DF(右から)初瀬亮(G大阪)、冨安健洋(福岡)、中山雄太(柏)、杉岡大暉(湘南)、ボランチが市丸瑞希(G大阪)と原輝綺(新潟)、右MF堂安律(G大阪)、左MF遠藤渓太(横浜FM)、2トップに田川亨介(鳥栖)、岩崎悠人(京都)という顔ぶれ。24日のウルグアイ戦で前半20分から出場した15歳の久保建英(FC東京U-18)は今回もベンチスタートが濃厚のようだ。

 小川が抜けて最前線の陣容が手薄になる中、久保を先発で使わないのは、やはり指揮官が繰り返し言うように「勝ち点1確保」を最優先に考えているからに他ならない。イタリアが積極果敢にゴールを狙ってきて、万が一、失点することがあれば、流れをガラリと変えられる彼のようなタレントが必要不可欠だ。その状況を想定しつつも、まずはフレッシュなメンバーでタフに戦うことが先決だろう。

杉岡が初先発へ。ボランチの頭脳的な駆け引きも鍵

 慎重な試合運びを目指すうえで、重要になってくるのがボランチのバランスだ。市丸と原は24日のウルグアイ戦(水原)でも先発しているが、市丸が中央を攻略しようとして強引な縦パスを狙うシーンが目立った。が、今回もそれを実行すると、強固なブロックを構築してくるイタリア守備陣にボールを奪われ、一気に逆襲を食らうことにもなりかねない。そこは細心の注意を払うべきだ。

「相手の間に(ボールを)差し込めれば一番いいですけど、ムリだなって場面でムリに入れるよりは、うまく後ろでつなぎながら戦う方がいい。相手が前に重心を置いてきたら1本裏に入れるというのも明日はいいと思います」と原も語っていたが、そのような頭脳的な駆け引きが両ボランチに要求されてくる。とにかく、今回は攻め急いで相手にカウンターのチャンスを与えることだけは厳禁だ。そこは全員が頭に刷り込みながらプレーしなければならないだろう。

 最終ラインもウルグアイ戦に先発した藤谷壮(神戸)と舩木翔(C大阪)から両サイドバックが変わることになる。初瀬は21日の初戦・南アフリカ戦(水原)に先発しているからまだいいが、杉岡の方は今回が初出場。「今から緊張している」と肩に力が入っている状態だけにやや気がかりだ。

 イタリアが最強布陣を送り出してくるなら、彼と対峙するオルソリーニ(7番)は高度なテクニックを誇るキーマンの1人である。そこを簡単にやられてしまったら、無失点で乗り切るというシナリオはいとも簡単に崩れてしまう。それを阻止すべく、タテ関係に陣取る遠藤、ボランチの原を含めていい連携が求められる。

「相手の7番がうまいんで、杉岡と2人でつぶせればいい。基本的にタテを切って、中に入ってきたところを自分がガッツリいければいい。わざと中を空けさせておいて、行かないふりして、きた瞬間につぶしたい」と原は具体的なイメージを言葉にしていたが、それを杉岡すり合わせられれば、そこまで大きく崩されることはないはずだ。

全員一丸で16強進出へ。離脱のエースに朗報届けられるか

 イタリアは最前線に決定力の高い選手が揃っているだけに、今回こそ日本守備陣はしっかり耐えて早い時間帯の失点を回避しなければならない。3度目のチャレンジで「堅守の日本」を取り戻すべく、中山・冨安中心にしっかりとした組織を構築してほしい。

 そのうえで、攻めに関しては数少ないチャンスを虎視眈々と狙う必要がある。田川と岩崎の組み合わせはともに裏に抜け出すのを得意とするタイプ。イタリアの強固なブロックが簡単に崩れるとは思えないが、スキをどれだけ突けるかが勝負になる。

「相手も背後の動きにんはたぶん弱いと思うんで、そこは狙っていきたい」と田川も語気を強めていた。攻守のバランスを取りながら、相手を脅威に陥れる強気の姿勢は要所要所で出せれば何かが起きるかもしれない。伏兵の活躍が期待されるところだ。そして、途中出場が予想される久保も、ボールキープのうまさ、巧みなリズムの変化でイタリアを攪乱することが重要と言える。

 彼らFW陣は無念の離脱を強いられた小川の分もピッチ上で躍動しなければならない。「小川選手、日本で離脱してしまった森島(司)選手のためにも、チーム一丸となって決勝トーナメントの切符をつかめたらと思います」と久保も強い決意を口にしたが、そういう気持ちを全員がピッチ上で前面に押し出すべきだ。

 宿舎で同室の小川と長時間語り合ってチームへの強い思いを受け取った堂安を筆頭に、全員がエースFWに16強進出という朗報を届けるべく、かつてないほどの団結力と一体感で負けない戦いを制してほしいものだ。

(取材・文:元川悦子【天安】)

text by 元川悦子