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●リモコンなしで操縦

DJIは5月26日、手の動きだけで操作可能な小型カメラドローン「DJI Spark (以下、Spark)」の発表会を開催した。

Sparkは、本体サイズがW143×D143×H55mm、重さが300gと小型・軽量。羽を折りたためばカバンに入れてもかさばらず、気軽に持ち運べる。3mまでの近距離で使う場合は、リモコンやスマートフォンなどを使わず、手のジェスチャーのみで離着陸や移動、撮影などの操作ができるのが大きな特徴だ。

カラーバリエーションは、グリーン、イエロー、ホワイト、レッド、ブルーの5種類を用意。すでに先行予約を受け付けており、6月中旬に出荷開始を予定している。推定市場価格は、追加のプロペラ1組とUSBケーブルを含む基本のセットが税込65,800円。送信機、追加のプロペラ2組、プロペラガード、追加のバッテリー1個、充電ハブ、ショルダーバッグ、必要なすべてのケーブルを含む「Spark Fly Moreコンボ」が税込91,800円だ。なお、アクセサリーの個別販売も計画しているが、個別の価格は未定とのこと。

スペック等の細かな仕様は、別記事も参照してほしい。

発表会では、プロダクトマーケティング担当の丸川英也氏が登壇。実際にSparkを隣室から呼び入れ、手の動きで操作する様子を実演した。

Sparkを手のひらに載せて構え、本体前面に配置されたカメラに自分が映る状態で、本体後部の電源ボタンを2回押す。するとジェスチャーモードが起動し、すぐに離陸して目線くらいの位置でホバリングを開始する。カメラは前面で常に操縦者側を向く。

この状態で手のひらをカメラに向けると、手のひらと一定の距離を取り、手を上下左右に動かすとSparkも上下左右に移動する。操縦者が手をかざしたまま前に出ると、Sparkはその分バックして、逆に後ろに下がると前に出てくる。

実演はされなかったが、撮影もカンタンなようだ。手を振ると操縦者から3mほどの距離を取り、両手を振ると元の1mほどの位置に戻る。撮影するときは両手でフレームのポーズを取る。カメラがポーズを認識すると、3秒後にシャッターを切る。空撮のセルフィーショットが気軽に撮れる仕組みだ。撮影時は3mほどの距離を取ると、ある程度の人数でも背景と一緒にフレームに収まる。

着陸は、機体の下に手をかざすだけ。自動で手のひらに着地してプロペラを停止する。

ジェスチャーで操縦できる距離は3mだが、スマートフォンなどのモバイルデバイスを利用すれば100m、別売の専用送信機を使えば2kmまでの距離を操縦可能だ。

●若い世代に使ってほしい

Sparkには、ドローンならではの撮影を手軽に行える「QuickShot」機能を搭載。被写体の真上からカメラを下向きにして撮影する「Rocket (ロケット)」や、被写体を中心に周囲を旋回しながら撮影する「サークル (Circle)」など、撮影パターンを4つプリセットしており、タップ操作ですぐに呼び出せる。

また、専用アプリ「DJI GO 4」で動画を選ぶと、約10秒の音楽付きの映像が自動生成される。さらに、TwitterやFacebookなどのSNSにすぐにアップできるので、撮影、編集、シェアまでを簡単に行えるというわけだ。

発表会ではゲストとして、DJIのアンバサダーに就任した、レーシングドライバーでランボルギーニの若手育成プログラムに選抜された根本悠生選手と、現役女子大生でモデルの河村友歌さんの2人を招き、Sparkの魅力や今後の展望についてトークセッションも実施。河村さんは「カラーバリエーションが豊富でいい。(モデルの私も)撮られる側から撮る側になれるドローン」などとコメントした。

Sparkは気軽に持ち運べること、シンプルな操作性ながら高品質な映像を楽しめることから、ドローンユーザーの裾野をぐっと広げる可能性を秘めた製品に仕上がっている。価格もアクセサリー類まで含めて10万円未満に収まるので、入門用としても手を出しやすい。飛行モードや撮影機能をプログラムできるSparkのSDKも提供しており、実践的なプログラミングを学ぶといった用途にも利用できそうだ。

DJIも「Sparkを学生などの若い世代に使ってもらって、ドローンの新しい活用アイデアが飛び出してくるのを期待したい」と述べており、アンバサダーに20代前半の2人を起用したのも、同世代のユーザー拡大を強く意識している現れだろう。

ただ一方で、ドローンは飛ばせる場所などが法律で規制されていて、誰もがどこでも自由に使えるわけではない。初心者にはそれ相応の勉強が必要だ。ドローンについての啓蒙は業界全体で取り組むべき課題だが、初心者に向いたSparkだからこそ、この製品を通じてドローンの規制やマナーなどが学べる教育用の仕組みも登場すると、業界全体の活性化に繋がるのではないだろうか。