街中や駅に設置されている自動販売機、日本人にとってはすっかり日常の景色に溶け込んだ、しごく身近な存在だ。その普及率は全国に500万前後ともいわれており、近年ではIoTなどの技術革新によって社会的インフラとしての新たな役割が見出されている。

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自動販売機を活用した地域貢献型のIoTサービス

2017年5月23日、アサヒ飲料は、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「NICT」)と共同で、「見守り」「交通安全」や「観光案内」といった様々な地域貢献型のIoTサービスの提供に向けた実証実験を、6月より墨田区で順次開始すると発表。実験では、NICTが開発したWi-SUN対応のIoT無線ルータとアサヒ飲料が展開する自動販売機を活用していく。

これによって実用化の目途がたてば、子供や高齢者にビーコン端末を携帯させ、家族が大体の位置情報を含む活動状況をスマートフォンやパソコンで確認できるほか、見通しの悪い交差点付近を走っている子供の存在を、いち早く通りかかる車両に通知する交通安全サービスの提供を実現できるという。

さらに、観光スポットや店舗にIoT無線ルータを設置することで、地域を訪問中の観光客に対してリアルタイムな周辺の観光情報やお得な情報等をスマートフォンに届けることも可能だ。

IoT無線ルータと自動販売機を組み合わせた今回の取り組みは、IoTサービスを迅速に地域に普及させるうえで障壁となっている、多数の無線拠点を持つために必要な時間やコストの問題を自動販売機の活用で解決でき、地域コミュニティーに有益な情報共有インフラを構築していく。

ビーコン通信型地域IoT無線サービスプラットフォームを使ったサービスイメージ
(NICTホームページ プレスリリースより引用)


そのほかの企業も、積極的に自動販売機を活用したイノベーションを模索している

キリン×LINEのポイントサービス

キリンとLINEは、自動販売機にビーコンをつなげドリンクを買うとポイントが貯まるサービス「Tappiness(タピネス)」の提供を4月13日より首都圏・近畿圏でスタート。17年夏以降は、首都圏・近畿圏以外の全国主要都市部でも順次展開し、サービス開始から1年で20,000台の対応を見込んでいる。今後は、飲料交換以外にもLINEの特長を生かした新たなサービスの提供を予定しており、自動販売機の“わくわく”をさらに提案していくという。

 

新しい価値体験を提案し続けるイノベーション自販機

JR東日本ウォータービジネス社とアキュアのスマホ対応自販機は、これまでにない“自販機での新しい価値体験を提案し続ける“をコンセプトとしており、その名もズバリ「イノベーション自販機」だ。対応アプリ「acure pass (アキュアパス)」上で購入したものを、通勤や通学で利用する駅の自動販売機で受け取れる。

新たな市場のニーズに先駆けて開発した商品受け取りプラットフォームとして、今後はJR東日本首都圏の駅(東京駅、新宿駅、横浜駅、品川駅、池袋駅、大崎駅、上野駅、千葉駅、立川駅、渋谷駅、大宮駅、秋葉原駅など)約20箇所に順次設置。また「アキュアパス」アプリ対応自動販売機の台数拡充も予定している。

スマホアプリに表示されたQRコードを自動販売機にかざすだけで、ユーザーがアプリ内で保有している商品が浮かび上がる。その中からいま受け取りたい商品をタッチするだけで受け取り完了。

 

利用者がアプリ上で持っている商品はSNSやメールを介して、誰にでも自由にシェアしたり、他の人にプレゼントしたりすることもできる。この他にもアプリによる商品サンプリングの効率化や、自動販売機の商品在庫状況のシステム管理などが可能になる。

従来は利用者と機体のみで完結していた自動販売機は、ネットワークにつながったことで、より便利で快適なものとなった。今後は次世代のインフラとして新しいビジネスモデルがますます登場することはもちろん、コミュニケーションの場としての活用も期待される。

筆者:IoT Today