ソフトバンク・バンデンハーク【写真:荒川祐史】

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バンデンハーク2被弾で日ハムに完敗、12球団ワーストの47被本塁打に

 今季も、あの「問題」に悩まされるのか。現在、パ・リーグの2位につけるソフトバンクだが、昨季リーグワーストだった数字が、ここに来て悪化の一途を辿り始めた。

 25日のロッテ戦(ヤフオクD)。先発の中田が3本の本塁打を浴びるなど、4回7失点でKO。後を受けた加治屋、笠原も1本ずつの本塁打を許して、今季ワーストの5被弾で大敗した。

 札幌に舞台を移して戦った26日の日本ハム戦(札幌D)。先発はオランダ代表としてWBCに出場したバンデンハークだったが、頼りの右腕も炎上した。2回にレアードにソロを許すと、3回には同点に追いつかれた後に、大田に勝ち越しの2ランを浴びた。

 25日の5被弾、そして26日の2被弾で、今季の被本塁打は47本に。これで13勝32敗の借金20で最下位に沈むロッテと同数となり、12球団でワーストに。被本塁打40を越えているのですら、この2球団だけである。ここ5試合だけで10本を打たれ、5月だけで25本塁打。あと5試合を残している現段階で、3、4月の22本を大きく上回ってしまっている。

 球場別で見ると、本拠地ヤフオクドームが20試合で28被本塁打。その他の球場では27試合で計19本。昨季から設置されたホームランテラスがあるため、本拠地での本塁打が増えるのは仕方がないのだろう(現にチーム本塁打も27本と、他球場の23本を上回る)が、それでも、昨季の1.15本(65試合で75被本塁打)を上回る1試合平均1.4本は、いささか多すぎる。

「一発病」克服のためキャンプでは内角を突く方針を徹底も…

 今季、ソフトバンクは「一発病」を克服するため、キャンプ中から内角を積極的に突いていくチーム方針をバッテリー陣に徹底してきた。25日のロッテ戦では、ここまで中田とバッテリーを組んでいた高谷ではなく、初めて伸び盛りの甲斐と組ませた。工藤公康監督はこの意図を「拓也はしっかり内角も投げさせている。その前を考えると、外中心だとどうしても打たれる傾向が高くなる」と説明した。外角に寄りがちの高谷のリードを良しとしていないようだったが、結果的には拓也、鶴岡でも5本の本塁打を食らった。

 26日、バンデンハークはこれまで通りに高谷と組んで、4回までに2被弾。レアード、大田に浴びた本塁打、高谷は内角を要求していたが、甘く入ったボールを痛打されたものだった。内角は配球には必要不可欠なものであるが、甘く入ると、長打となる諸刃の剣だ。これだけの被本塁打の数となると、投げきれなかった投手の責任だとも、リードする捕手の責任だとも言えず、首脳陣含めたチーム全体としての課題なのではないだろうか。

 昨季の126被本塁打はリーグワーストながら、今季このままいけば143本ペースと、その昨季よりも悪化することになる。和田、武田、スアレスなど主力投手陣を数多く欠く状況にはあるが、解消されない「一発病」は深刻。V奪還に向け、大きな課題が突きつけられている。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani