By Josh More

フラミンゴは1本足で交互に立つ習性を持っており、1本足のまま眠ることまで可能です。人間でいえばヨガの立木のポーズをとりながら眠るという荒技をこなしているわけですが、なぜフラミンゴが両足を使わず1本足で立つのかについては、諸説あるものの科学的には解明されていません。そんなフラミンゴの習性について2人の研究者が調査を行い、どうやってフラミンゴが1本足で立っているのかが説明されています。

One-legged stance in flamingos | Biology Letters

http://rsbl.royalsocietypublishing.org/content/13/5/20160948

Neuromechanics of flamingos' amazing feats of balance

https://theconversation.com/neuromechanics-of-flamingos-amazing-feats-of-balance-78160

Why Flamingos Are More Stable on One Leg Than Two - The Atlantic

https://www.theatlantic.com/science/archive/2017/05/flamingos-one-leg/527781/?single_page=true

フラミンゴが1本足で立つ理由についてはいくつか仮説があり、「片足だけ水につけることで体温が奪われるのを避けるため」というものや、「交互に1本足で立つことで筋肉の疲労を減少させるため」などが挙げられます。後者に関しては「フラミンゴは片足で立つより両足で立つ方が疲れてしまう」というさらなる仮説に基づくことになるのですが、これらの仮説を実証した研究はこれまでに存在していないとのこと。

そこでジョージア工科大学のヤン・ウェイ・チャン氏、エモリー大学のレナ・ティン氏の両名は、フラミンゴの習性を解明するべく研究を行いました。研究著者によると、多くの動物は消費する代謝エネルギーの大部分を、重力に反して立ち上がるなどの動作をとるため、筋肉を活性化するために使っているとのこと。もしフラミンゴが1本足で立つためにエネルギーを消費しているとすれば、1つ目の仮説は「熱エネルギーの損失を避けるためにエネルギーを消費して1本足で立つ」となり矛盾してしまいます。

人間は足を曲げて立つとスクワットの状態になり、足の筋肉に膨大な負荷がかかります。フラミンゴの足は人間だと膝に見える部分はくるぶしであり、羽の部分に常に屈折した構造の膝があり、フラミンゴは体重を支えるために膝に負荷がかかっていることになります。しかし、多くの生き物は消費エネルギーを最小限に抑えるよう進化しており、そのおかげで馬は立ったまま安定して眠ることができ、コウモリは眠りながら手を離すことなく木にぶら下がることができます。同様にフラミンゴにも、片足で安定して立てるメカニズムがあると考えられるとのこと。



研究チームはフラミンゴが受動的な生体力学に依存しているのか、能動的な神経系を使っているのかを調べるべく、「フォースプレート」と呼ばれるWiiのバランスボードのような装置を使って実験を行いました。フォースプレートは載せた動物の「姿勢の揺れ」を数値化できるもので、実際にアトランタ動物園から借りたフラミンゴの子どもをフォースプレートに載せて計測しているムービーは以下から見ることができます。

Measuring postural sway - YouTube

測定の結果、フラミンゴは1本足で立ったまま眠っている時が最も姿勢の揺れが少なく、起きて1本足の時に仲間とグルーミングやケンカをすると、姿勢の揺れの数値は7倍に上昇したとのこと。人間は片足で立ったまま目をつむると安定して立ち続けることは困難ですが、フラミンゴには人間とは全く逆の片足で立つための生体力学的な安定機構が備わっていると推測されます。



研究チームがフラミンゴの死骸の骨格や構造を調べたところ、フラミンゴは2本足から1本足になると、2つの現象が起きることがわかりました。1つは1本足になると自然に足の位置が体の真ん中に来るというもので、もう1つは重心が隠された膝に移動するため、体重が自然に腰と膝に引っ張られるようになるとのこと。この2つの現象が起きると、フラミンゴの足の構造状、重力に引っ張られてすべての関節が1本足でうまく立てる位置を維持するようになるそうです。

また、1本足の状態だと体を45度まで曲げても安定した足の状態を維持したのですが、2本足で体を曲げると、足の関節はむしろ不安定な状態になるとのこと。少なくともフラミンゴは「1本足で立つ方が楽な姿勢」であることが判明しており、「片足だけ水につけることで体温が奪われるのを避けている」という仮説も成り立つことになります。



今回の研究でフラミンゴが1本足で立つメカニズムが完全に解明されたわけではありませんが、人と異なる構造を持つフラミンゴを調査することは、人工装具やロボットが少ないエネルギーで安定した姿勢を保つ新しいシステムを開発できる可能性もあるとのことです。