「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『美しい星』「EUフィルムデーズ2017」

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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。

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■『美しい星』

 ある占い師の六星占術の本によると私は“金星人マイナスかつ霊合星人”らしいです。そして今年2017年は大殺界だとかなんとか……。そんな金星人でもあり霊合星人でもある、リアルサウンド映画部のゆとり女子・戸塚がオススメする作品は、『美しい星』。(ちなみに、『美しい星』公式サイトの「あなたは何星人?に覚醒する?」では、「あなたは“水星人”に覚醒!」でした。)

 本作は、作家・三島由紀夫の同名小説を、『紙の月』の吉田大八監督が設定を現代に置き換えて実写映画化した異色SF映画。“当たらない”お天気キャスターの父・重一郎(リリー・フランキー)、野心溢れるフリーターの息子・一雄(亀梨和也)、美人すぎて周りから浮いている女子大生の娘・暁子(橋本愛)、心の空虚をもて余す主婦の母・伊余子(中嶋朋子)。そんな大杉一家が、ある日突然、火星人、水星人、金星人、地球人(?)として覚醒し、“美しい星・地球”を救う使命を託される模様を描く。ひとたび目覚めた彼らは生き生きと奮闘を重ねるが、やがて世間を巻き込む騒動を引き起こし、それぞれに傷ついていくのだった……。

 この作品をひと言で言えば「とても奇妙」です。原作は、「人間の悲しさとか愛おしさを、人間自身が人間以外の目線から見つめ直す、という倒錯した魅力がある」(引用:『美しい星』パンフレット)と吉田監督が語っているように、実写化した本作もまた、まさに“人間自身が人間以外の目線から”人間や地球を見つめ直しているところに新鮮さがあり、面白さがあり、そして不思議なほど心惹かれます。宇宙の話でもあり、地球の話でもあり、日本という国の話でもあり、大杉家という家族の話でもあり、そして重一郎ら個々人の話でもある。SFというビックな話であるからには非現実的なのですが、どこか身近に感じます。それは、吉田監督が話しているように、「地球は究極の“ホーム”」だからなのかもしれません。

 恥ずかしながら私は、三島由紀夫さんが執筆された原作『美しい星』は読んでいません。だから、“原作との違い”はパンフレットや公式サイト、Wikipediaで得た情報でしかわからない。ただ、時代設定やキャラクター、人類が直面する危機など、原作との違いはあるものの“世界観”は受け継いでいるのではないかと思います。だって、SF映画というにはあまりにも“異色”だったから。フワフワと浮いているような世界観なんだけど、心を抉ってくる鋭さがあります。冷めているけどとてつもなく熱くて、やるせないけど不思議な優しさと温かさがあります。生活や感情はとてもリアルなのに、狂ってると思わざるを得ない突飛な言動のオンパレード。そのギャップに初めは面食らってしまい、キョトンとしていたのですが、気づいたら声を出して笑っていました。癖になる“変さ”なのです。

 鑑賞後は頭が追いつかず、脳内がパニックになっていました。そして未だに整理がつきません(笑)。一体誰が“本当の地球人”なのか、本当は地球人なんでいないんじゃないかと、考えれば考えるほどわからなくなってきます。全てが妄想のようであり、全てが本物のようでもある。夢の中の話として描かれているのか、現実として描かれているのかも曖昧です。

 でもハッキリわかることもあります。リリーさんによる火星人の決めポーズが破壊的に凄まじい、ということ。何回見ても吹き出してしまいます。そして、橋本愛さんがとてつもなく美しい、ということ。本当に周りの人が引いてしまうほどの美しさだな、と見惚れてしまいました。

 あと何と言っても、佐々木蔵之介さんの瞬きのしなさがすごいです。人は瞬きをしないだけでこんなにも恐ろしく見えるんだなと実感しました。同時に、佐々木さんの俳優としての素晴らしさを改めて感じました。ミステリアスで何を考えているか全くわからない、誰なのかもわからない。そんな不気味な様子が全身から醸し出されていました。

 週末映画館で『美しい星』を鑑賞してみてはいかがでしょう? もしかしたらあなたも何かが“覚醒”するかもしれません。

■「EUフィルムデーズ2017」

 リアルサウンド映画部のロン毛担当・宮川がオススメするのは、欧州連合(EU)加盟国の選りすぐりの作品を紹介する映画祭「EUフィルムデーズ2017」。

 本日5月26日から東京国立近代美術館フィルムセンターにてスタートし、来週6月3日からは京都府京都文化博物館でも開催される「EUフィルムデーズ」は、今年で15回目を迎える、映画ファンにとってはすでにお馴染みの映画祭。ヨーロッパ各国の日本未公開作や往年の名作など、ジャンルや年代を超えた幅広い作品がラインナップされ、しかも1本520円(高校・大学生・シニアは310円、小・中学生は100円)で鑑賞できることから、毎年絶大なる人気を博している。

 気になる今年の上映作品には、アリシア・ヴィキャンデルでアカデミー賞助演女優賞に輝いた、トム・フーパー監督作『リリーのすべて』(イギリス)、日本でもスマッシュヒットを記録した、ジョン・カーニー監督作『シング・ストリート 未来へのうた』(アイルランド)、『ゴモラ』のマッテオ・ガローネ監督が手がけたダーク・ファンタジー『五日物語−3つの王国と3人の女−』(イタリア)など、近年日本でも公開された話題作がラインナップされているほか、チェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で監督賞を受賞した『ナイトライフ』(スロヴェニア)、マグリット映画賞(ベルギー・アカデミー賞)で長編第1回作品賞に輝いた『猫はみんな灰色』(ベルギー)など、各国の映画祭で話題を呼んだ日本初公開の作品も上映される。

 中でも個人的にオススメしたい作品は、第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門作品賞を受賞し、昨年の東京国際映画祭やトーキョーノーザンライツフェスティバル2017でも上映された『オリ・マキの人生で最も幸せな日』(フィンランド)。主人公のオリ・マキは実在したプロボクサー。そんなオリ・マキが世界タイトル戦に挑むというスポ根ものかと思いきや、彼の淡い恋模様が全編モノクロ16mmで綴られるというオフビートな内容で、共感性の高い青春ドラマとしても非常に見応えがある作品になっている。

 そのほか、昨年の東京国際映画祭で上映された最新監督作『鳥類学者』が大傑作だった、ジョアン・ペドロ・ロドリゲス監督が2009年に発表した『男として死ぬ』(ポルトガル)、ドゥニ・ラヴァンが強烈な印象を残す、アルノー&ジャン=マリー・ラリユー監督の『パティーとの二十一夜』(フランス)などなど、名作も多数ラインナップされている。大きなスクリーンで、しかもお得な料金で、ヨーロッパの多彩な作品を楽しめる「EUフィルムデーズ」。新たな名作と出会える貴重な機会になるだろう。(リアルサウンド編集部)