「ウーマンラッシュアワー 村本大輔のオールナイトニッポン」公式サイトより

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 周知の通り、共謀罪法案が今月23日に衆院を通過した。捜査対象の範囲が明確ではなかったり、恣意的な解釈により権限の濫用が起こる危険性が極めて高い、とんでもない悪法であるのは明白なのだが、政権与党はまともな議論に応じようともせず、いつものように強行採決に踏みきった。

 思想信条の自由や表現の自由を著しく侵害する恐れのある共謀罪には、かねてより多くの芸能人や文化人が反対を表明してきた。

 本サイトでもこれまで、漫画家の山本直樹をはじめ、浅田次郎、森達也、香山リカ、平野啓一郎、柳広司、映画監督の周防正行といった作家たちが共謀罪に反対する発言を取り上げている。

 また、共謀罪に反対の声をあげているのは作家だけではない。佐野元春を筆頭に、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、ロマン優光、ECDなど、ミュージシャンにも声をあげる者は多く、こちらも以前当サイトで紹介している。

 しかし、そんななか、共謀罪は衆院で強行採決。そして、この状況に声をあげる文化人や芸能人の数はさらに増えていく。

 カンニング竹山(竹山隆範)は強行採決のニュースに対し、〈何故そんなに急いでやる必要性があるのか! なんかやっぱ怖いっす。〉とツイート。国民はもとより、肝心の金田勝年法務大臣ですら法律の中身を理解できていない(もしくは、する気もない)ような状況で強行に採決を押し進める拙速な国会運営に危機感を表明していた。

 また、ウーマンラッシュアワーの村本大輔はツイッターにこんなコメントを投稿している。

〈マリーアントワネットの頃に共謀罪があったらフランス革命は起こってなくて、いまも独裁の国で貴族は金持ちのまま、庶民は貧しいままだったと思う。国民から声を奪う法律、共謀罪大反対。〉

 まさしく、村本が指摘している通り、いったん共謀罪が施行されてしまったら、我々国民は政府が行うことに対して団結して異議申し立てをすることができなくなってしまう。共謀罪は「平成の治安維持法」であり、この法律によって、いよいよ安倍晋三"独裁"政権は完成を見ることになる。

 では、その一方で、当の安倍首相はといえば、森友学園に加計学園と、自身の「お友だち」に便宜を図り、国民の財産を意のままに私物化している。本当に監視されるべきは、我々国民ではなく、安倍首相ご本人なのではないだろうか? このような一連のスキャンダルを念頭に置いているのだろう。村本はこのような皮肉もツイートしている。

〈共謀罪、国民が悪いことしないかプライバシーを侵害して監視するなら、国会や政治家のプライバシーこそ侵害させてもらって覗かせてもらいたい。〉
〈国会議員のメール等を国民が監視する法案。共謀罪改め、むちゃくちゃな法案等準備罪を作って欲しい。〉

 既報の通り、共謀罪に対しては、国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が、共謀罪法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍首相宛てに送付した。

 しかし、菅義偉官房長官は、書簡について「不適切なものであり、強く抗議を行っている」と回答。もともと共謀罪は国際組織犯罪防止条約ために必要だという名目だったはずで、国連のためにつくっていた法律だったのでは?と国民の誰もが突っ込まざるを得ない展開になっているが、映画評論家の町山智浩もまさしくツイッターでその点を指摘した。

〈共謀罪は「国際組織犯罪防止条約のため」と言ってたのに国連から「人権侵害」と叱られたらちゃんと回答せずに逆ギレって、マジどうかしてる。〉

 町山智浩が共謀罪に反対の声をあげる理由、それはやはり共謀罪が思想信条や表現の自由を破壊する法律であるからである。そして、この法律ができた後は、権力に抗うような創作物をつくることは不可能になる。映画でも音楽でも小説でもマンガでも演劇でも。内心の自由を奪われたその世界は、もはやディストピア以外の何ものでもない。彼はこのようにツイートしている。

〈私が共謀罪に反対するのは共謀罪を適用される行為を過去に何回かしてきたし、フラッシュモブや突然路上ライブや無許可ゲリラ撮影や独裁政権打倒の市民蜂起がやりにくくなるし、破壊や騒乱の夢を友と語り合うのが好きだから。でもそんなはぐれものでいる自由はある。〉

 権力に楯突く者の言論が奪い去られた国はどのような末路を歩むのか。それは、日本史の教科書をめくり、治安維持法が施行された後の日本で何が起きたのかを読めば一発でわかる。AAAのメンバーで、SKY-HI名義でラッパーとしてのソロ活動も行う日高光啓は、共謀罪の後に確実にやってくる「戦争の気配」を指摘する。彼はツイッターでこのように綴っていた。

〈トランプ政権以降の国家間、人種間の軋轢や日本でも共謀罪の衆院通過とかなってくると戦争の気配は感じずにいられない〉

 30歳になったばかりのSKY-HIとまったく同じ危惧を、現在79歳のちばてつやも指摘する。ちばは自身の戦争体験を語りつつ、作家から表現の自由が奪われることにより引き起こされる悲劇について語り続けてきた漫画家だが、彼は「AERA」(朝日新聞出版)2017年5月29日号のインタビューで、共謀罪施行後の日本と太平洋戦争中の日本を照らし合わせながら、このように危惧を語っている。

「日本は今、ゆっくりとした大きな渦の縁にいる。戦争とか、どす黒いものがたくさん入っていて、その渦に巻き込まれるかどうかの境目だと思う」
「共謀罪もそうだけど、政治家は自分たちはいいことをしていると考えているんですよ。テロが起きないように、よい日本をつくるためだって。ただ、戦前にも同じような時代があったことを知らない。当時を知っている人は、もっと伝えないと」

 共謀罪は今後、参議院で審議されていくが、過去3回廃案にしているように、今回も必ず廃案にさせなくてはならない。そのためにも、もっと多くの人に声をあげてほしいと願うばかりである。
(編集部)