5月15日、中国政府主導のサミット「一帯一路」の会場外で、参加者をまつメディア(Thomas Peter - Pool/Getty Images)

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 海外メディアはこれまで、「一帯一路」の投資資金がどこから出るのかに注目してきた。現在の状況をみると、大部分は中国当局が拠出するものだ。しかし、中国の対外投資総額に占めるその資金の割合は少なく、他の中国国有銀行の投資にも及ばない。米誌「フォーチュン」は、一帯一路の投資規模は、中国の対外投資総額の9%しかないと指摘した。

「政治化」で収益が限定される

 この「一帯一路」経済圏構想の目的は主に、中国国内の過剰生産を転嫁し、新たな成長けん引力を見出すことだとされている。しかし、投資プロジェクトの収益が保障できるかどうかは不明だ。

 フランス国際関係研究所(IFRI)がこのほど発表した『中国新シルクロード』調査報告では、建築業などの過剰生産問題を抱える中国当局と、資金と技術不足の東南アジア諸国と互いに補い合うことができるが、中国の国有企業や民間企業は投資の収益を得られない可能性が高いと分析した。

 原因は三つある。

 一つ目は、短期間に収益を見込めるインターネット関連の電子通信以外のインフラ投資は、収益回収期間が長いからだ。特に貧困地域などでの収益はほぼ回収不可能と推測されている。

 二つ目は、社会的かつ政治的要因と安全性問題で、インフラ建設プロジェクトそのものに運営の難しさが増し、コストも増えることがある。営利目的の民間企業には不向きだ。

 三つ目は、中国当局の政治的介入だ。中国が「一帯一路」を主導する目的の一つは米国の影響力が強い南海海域を避けて、原油輸入ルートの「陸路」を確保することにある。このような国家戦略的プロジェクトの収益回収が難しいとみられる。中国政府高官は欧米の専門家に対して、戦略的プロジェクトによる投資の損失は、パキスタンで80%、ベトナムで50%と中央アジア地域では30%に上るだろうと話したという。

 同時に、国内経済成長が鈍化する中で、中国当局は鋼鉄、セメントや重機製造などの建設関連業の過剰生産を「一帯一路」参加国へ早急な輸出をも狙っている。鋼鉄を例にすると、14年中国では生産が4.5億トンだったが、国内の鉄道建設はその5%しか使用しなかった。このため、当局の「一帯一路」は明らかに「政治化」される可能性が高く、どれほどの収益が期待できるのかは不透明だ。

5月15日、中国政府主導のサミット「一帯一路」の会場外で、参加者をまつメディア(Thomas Peter - Pool/Getty Images)

中国国有企業はリスクを懸念

 

 中国国有建機大手、広西柳工集団の曽光安会長は5月15日、米CNBC放送のインタビューで、中国国有企業が国内でのリスクを均衡する重要戦略として海外進出の加速化の必要性を唱えながら、「政治リスクと市場リスクや、一部の国の経済的不安定という市場不確実性、地域の異文化などを懸念する」と述べた。

 柳工集団は現在海外140カ国で業務展開しており、うち50カ国は「一帯一路」沿いの国だという。曽会長の意見は国内多くの企業、あるいは一部の政府の本音を反映したと言える。

 米誌「フォーチュン」は、サミット参加国の多くは政治や経済情勢が不安定で、投資プロジェクトが順調に進められないとの懸念があると示した。例えば、中国とパキスタンが協力する「中パ経済回廊」には、パキスタンとインドが領有権を争うカシミール地方とアフガンのタリバン勢力が活動する地域が含まれる。インドはそのため、サミットへの参加を拒否した。

 また、この新シルクロード経済圏構想の重要拠点である新疆ウィグル自治区では、中国当局によるウィグル族住民への抑圧政策で、漢族住民との間で近年対立がさらに一段と激化している。「一帯一路」構想で、住民間の紛争や、政府関係者を狙った襲撃事件もさらに増えるとみられる。

 米誌「タイム」は、「一帯一路」は中国当局が国内景気鈍化の下で、他の国とより容易に貿易を行う方法に過ぎないと評し、しかもその理念や融資や債務返済方法は非常にあいまいだと懐疑的な見方を示した。

(おわり)

(翻訳編集・張哲)