ゲン担ぎをする力士は多い

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 角界はとにかくゲン担ぎが盛んだ。部屋と国技館の往復の道順を決めていて、負けるとそのルートを変える力士もいる。初日の前夜は鶏肉を入れたちゃんこ鍋にする部屋が多く、「ニワトリのように二本足で立っていられる(手をつかない)ように」との意味が込められている。

「横綱・鶴竜は平幕時代にモンゴルから両親を呼んだところ4連敗した。それ以来、両親も遠慮して本場所にほとんど顔を出さなくなった」(協会関係者)

 小結・御嶽海は土俵下控えに向かう花道の奥に来ると、蹲踞して目をつぶり、塵手水を切る所作(手を2回すり合わせてから柏手を打ち、左右に大きく広げて手のひらを上向きから下向きに返す動作)に余念がない。

「学生時代(東洋大出身、4年生時に学生横綱、アマチュア横綱)からずっと続けているそうです。やはり、所作を怠った時の取組に負けたから続けていると聞く」(スポーツ紙デスク)

 支度部屋へ目を転じると、石浦(前頭11枚目)や豊響(同13枚目)は、「お守りを握りしめてブツブツと呟いている」(同前)姿が目撃されているし、記者による囲み取材の「場所」にもそれぞれこだわりがある。

 小兵の新鋭・宇良(前頭10枚目)は、「初日から3連勝したが、記者が取り囲む取材場所は必ず支度部屋の外の通路。最初は他の力士への遠慮から始まったことのようですが、それで好調が続くので途中からゲン担ぎの意味合いが出てきた」(NHK関係者)という。

 テレビ中継では、宇良が最後の塩を取りに行く前の右手をズームアップすることがある。これは取り口をイメージして宇良が右手を細かく動かすルーティンを捉えるもののためだという。

 横綱・日馬富士は最後の仕切りで土俵に顔が着きそうなほど低く構え、「本気の時ほど構えは低くなる」(若手親方)と、ルーティンが体調や闘志のバロメーターになる場合もある。

“勝ちっ放しの間はヒゲを剃らない”は、角界の有名なゲン担ぎで、昨年九州場所中に石浦が2日目から連勝街道を突っ走った時のヒゲ面は話題になったが、

「9連勝したところで一度剃ったところ、翌日も普通に勝って連勝は10まで伸びた。ちなみにゲン担ぎを全くしないのは遠藤」(同前)だという。細かく見れば見るほど、相撲は面白い。

※週刊ポスト2017年6月2日号