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 トランプ大統領は大統領選挙中から「America first」を唱え、保護主義を先鋭化させるように思えた。米国の裏庭にあたる中南米との関係もその伸展に関心を示さないように見えた。

 その具体例としては、中南米の玄関であるメキシコと結んでいる北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しをすると主張していることなどが挙げられる。メキシコからの輸入で米国はこれまで損害を被って来たというのが理由だという。その是正策として、メキシコからの輸入に20%以上の関税を設けるといった発言をしていた。中南米諸国にとって、メキシコはアングロサクソン系の北米を前に、ラテンアメリカの最前線という意識を持っている。そのメキシコを差別しようとするトランプ大統領の姿勢に中南米諸国は不快感を抱くのも無理からぬことであった。

 それを上手く利用して中南米における存在感を益々強めているのが中国である。同様に、ロシアも武器の販売や南米の食料の輸入などで取引関係が成長している。特に、武器に関しては、中南米の国々でロシア兵器への関心は次第に強まっている。

 この様な状況の中で、米国の中南米における存在感が薄れて行くのではないかと想像されるのであるが、実際にはそうではないのである。米国は軍事面から中南米での影響力を維持して行こうとする構えなのである。 

◆チャベス死後、増える親米政権

 中南米には米国の軍事基地がおよそ80あるという。かつて、ブッシュJR.大統領の政権時に、中南米での米国の影響力を増大させようと米州自由貿易地域(ALCA)の創設を提唱した。NAFTAを延長したような関係である。しかし、当時の中南米ではベネズエラの反米主義者チャベス大統領の影響力が強く、しかも彼の音頭で米国抜きの南米防衛評議会も創設されて、ALCAの創設を潰すことに成功した。

 しかし、今はチャベスは他界し、ベネズエラは極度の経済危機で中南米に与えていたかつての影響力はない。

 そこで、米国はオバマ大統領の政権時から軍事力を通しての中南米での影響力の回復であった。その為に第一条件としたのが、米国に忠実な政権を誕生させることである。その為の資金などは背後から提供するというものだ。

 その戦略に上手く乗ったのが南米の大国アルゼンチンとブラジルである。

◆親米マクリ政権で外貨獲得

 アルゼンチンはチャベスの反米主義に共鳴したネストール・キルチネールとクリスチーナ・フェルナンデスの夫婦による12年の政権で、米国のアルゼンチンにおける影響力は完全に後退していた。フェルナンデスは8年の政権就任中に米国には一度も足を踏み入れなかったほどである。その一方で、中国とロシアへの訪問は頻繁に行っていた。

 しかし、この夫婦による政権でアルゼンチンは極度の景気低迷、インフレの高騰そして外貨不足という事態になり、同国の経済発展は完全に後退した。この政治に反対の烽火を上げて貿易開放と欧米との関係回復を唱えた政策を掲げて大統領選挙に立候補したのがマウリシオ・マクリであった。

 米国にとって、アルゼンチンは地政学的にも重要なポジションを占めている。しかも、歴史的にもアルゼンチンは米国と深い繋がりがあった。それを唯一拒んだのがキルチネールとフェルナンデスの政権であった。

 米国はマクリを支持する方向に動き、彼が政権に就いた時に重要な問題となる外国からの資金調達を容易にさせる為に、米国のハゲタカファンドへの債務返済金46億5000万ドル(5200億円)の問題を解決させる必要があった。フェルナンデス大統領はこの返済をする意向は全くなかったことから外貨の獲得に困難していた。

 そこで、米国政府はマクリが大統領に就任して早速返済できるように協力したのであった。これによってアルゼンチンは外貨の獲得の道が開けたのである。