ダニエル・レイム監督

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 1950年代から2000年代まで、数多くのハリウッド作品で絵コンテと映画リサーチを担当した職人夫婦を描いたドキュメンタリー「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」が5月27日公開する。来日したダニエル・レイム監督が作品について語った。

 セシル・B・デミル監督の「十戒」、アルフレッド・ヒッチコック監督の「鳥」など100本以上の作品で絵コンテを手がけたハロルド・マイケルソン。そして映画リサーチャーとして活躍した妻のリリアンが関わった作品の絵コンテと名シーンの数々、本人とハリウッドの名匠のインタビューなどから、夫婦の心温まるエピソードが綴られていく。

 映画学校でハロルドの授業を受けたことからふたりの偉業を知り、撮り貯めたインタビュー映像を使って映画化を決意した。「ふたりともものすごくシャイだったので、少しずつ心を開いてもらうことに気を配ったんだ。ハロルドが亡くなって、リリアンが一人になって、インタビューするときには彼女の部屋で静かにふたりきりで話をするようにしたりね。大げさにならないように、何度か分けて撮影して、編集のために同じ服を着てもらっってね。これは映画のマジックだよ」

 「若い人は知らないだろうけど、ドリームワークスで働く人たちはふたりにリスペクトの気持ちを込めて、『シュレック』で、ハロルド国王のキャラクターを作ったんだ」

 第2次大戦中に爆撃機に乗っていたハロルド。自分が爆撃した町で描いた破壊された教会の絵が上官の目に止まり、美術の道に進むことを薦められた。ハロルドがハリウッドへ行った経緯を説明する。「戦争の前も大恐慌があったり、失業者がたくさん出た時代だった。もともとハロルドは雑誌のイラストレーターになりたかったけれど、雑誌社もつぶれて仕事が全然なかったんだ。それでハリウッドで、ポスターを描く仕事を見つけようと映画界に入った。仕事を選んでいる状況ではなかったから、今の若い人がハリウッドに入ってくる気持ちとは違って、とにかく自分のできることでお金を稼がなくてはいけない状況だったんだ」

 フランシス・フォード・コッポラ、ダニー・デビート、メル・ブルックスらハリウッドの大物がハロルドの偉業を語っている。「皆喜んでインタビューに応じてくれたよ。彼らがふたりについて語るとき、ものすごく親愛の情を示していたのにとても驚いた。伝説的な監督たちがふたりを評価し、職人としてではなく、愛情を持ってファミリーのように話してくれたんだ。メル・ブルックスはハロルドがいなければ自分はなかったとも言っていたしね」

 ハロルドがリリアンに送った膨大の量のラブレターの一部も公開されており、公私にわたって支えあった夫婦の深い愛情が感じられる。「60年も夫婦を続けたカップルのラブストーリーでもあるので、デートにぴったりな映画だよ。ハロルドは愛に満ち溢れていて、熱烈なラブレターをリリアンに送ったんだ。この映画のハロルドみたいな恋人になることを求められると、男としてはハードルが高くなるかもしれないなと思うけどね(笑)」

 「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」は、5月27日からYEBISU GARDEN CINEMAほかで公開。