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●青もみじの魅力

○青もみじのトンネル

目前に飛び込んでくる緑色の世界。

木の葉の成長度合いによって、またその種類によって緑の濃淡が違う紅葉。ライトに照らされてよりその色彩のコントラストが強調される。

貴船神社や鞍馬寺などといった自然の名所から出町柳駅まで、京都市内を走る叡山電車。5月3日から5月28日の土日休日の日没ごろから午後9時ごろまでの間、鞍馬線で沿線の青もみじのライトアップが行われる。

ライトアップの場所に合わせて、電車内の電気が消え、数分間訪れる静寂。外から入ってくる瑞い新緑の香りと緑の色彩の鮮やかさに集中できる時間だ。

沿線にある貴船神社では叡山電車と同期間、日没ごろから午後8時まで、境内をライトアップし、新緑に包まれた神社の荘厳な空間を演出。さらに、青もみじの絵馬や、御朱印帳もこの時期限定のものを販売。「青もみじ」を推している。

今後、貴船神社では七夕笹飾りライトアップ(7月1日から8月15日まで。平日は日没から午後8時半まで。土日祝は日没から午後9時まで)、叡山電車は青もみじのライトアップ(7月1日から8月15日の土日祝。7月7日、28日、8月14日、15日、いずれも日没〜午後9時ごろ)を予定しているという。

この「青もみじ」という言葉を知っているだろうか?

●初夏の旅行需要を喚起

インスタグラムで「#青もみじ」で検索すると、約1万3000件がヒットする(2017年5月26日現在)。秋の赤いもみじではなく、初夏の緑のもみじのことだ。

初夏の新緑は、春の桜、秋の赤く色づいた紅葉とも違った魅力があるが、この時期を青もみじの見ごろとうたわれ始めたのは、ここ数年のことだという。

「青もみじに関しては、10年くらい前に京都市から『キレイでいいんだよ』と提案があり、『そうだ 京都、行こう。』キャンペーンポスターで取り上げてきました。」そう語るのはJR東海営業本部観光開発グループの堀江隆行係長。新緑の良さをまだまだ伝え切れていないのでは、と「青もみじ」と「御朱印」をテーマにした旅行商品を提案した。

○初夏の旅行需要を喚起

JR東海「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンは今年、京阪ホールディングスとのコラボレーション企画として、5社寺(貴船神社、下鴨神社、河合神社、建仁寺、東福寺)の協力を得て「京都 青もみじ・御朱印めぐり」を企画した。

具体的には、往復新幹線と宿泊する方には宿泊代、そして「バス&えいでん 鞍馬・貴船日帰りきっぷ」や、「そうだ 京都、行こう。」オリジナル御朱印帳袋などの特典がついた旅行商品を、JR東海ツアーズなど大手旅行会社6社で販売するという(7月25日帰着まで)。日帰りきっぷを使って、沿線にある青もみじの名所をまわってもらおうというものだ。

貴船神社、下鴨神社、河合神社、東福寺の4社寺では、この旅行商品限定の特別な御朱印を先着1000人で拝受できる(期間は4社寺ごとに違い、初穂料・御朱印料が別途必要)。建仁寺では、6月16日〜25日(18日、23日除く)に時間外の特別拝観も可能だという。

新緑、御朱印と一見、目新しさに欠けるツアーだが、このツアーには、今の京都観光に必要な需要を喚起する狙いがある。なぜJR東海は新緑の時期の御朱印ツアーを作ったのだろうか。

●シーズンの混雑を緩和したい

○春の桜・秋の紅葉シーズンの課題

特別な御朱印がもらえる社寺の1つ東福寺は、京都を代表する秋の紅葉の名所だ。通天橋を中心とするエリアには、野生の紅葉が生い茂り、時期になれば真っ赤な紅葉と建物が美しい情景を作る絶好の鑑賞ポイントになる。秋の紅葉シーズンになると、境内の外まで長い行列ができ、人で埋め尽くされるほどの人気だ。

だが近年では、外国人観光客など人があまりに増え、写真撮影の規制をおこなうほどになっているという。観光地としては、うれしい反面、増えすぎる観光客をどう制御するかは安全面でも課題になりつつある。

ただ、SNSが普及した今、フォトジェニックな場所だからこそ訪れる。写真で映える場所というのが、行き先を決める際に大きな判断基準のひとつだ。マナーを呼びかけても、なかなか浸透しにくい現状もあるだろう。

「おととしあたりから春・秋の観光シーズンの混雑については、地元でも問題視されるようになりました。京都には春や秋だけでなく、どの季節においても尽きない魅力がある。それを伝えたい。」(堀江さん)

桜のシーズン後で、まだ人が多くない青もみじのシーズンの魅力を伝えて、需要を喚起して客数の平準化を図るという狙いがあるのだ。

また旅行会社のツアーというと、日程が固定されていたり、専用のバスで回るというイメージ、シニア層に支えられている現状があるという。若者への需要喚起のために、自由度の高さとフォトジェニックさを意識。日帰りきっぷで自由にまわり、青もみじや特別な御朱印でSNSへの投稿をしてもらおうと。メインターゲットは20代後半から30代の女性「時間が出来たときに気軽に京都にきてもらうしかけにした」のだという。

「これからは旅行者のニーズに沿うように、より丁寧な提案をしたい」(堀江さん)というのが印象的だった今回のJR東海への取材。取材中の記者に対して、どんな旅行の提案が需要喚起につながるか意見を求める場面も。具体的な話になり、“丁寧な提案”という言葉の本気さがうかがえた。青もみじに関しては「まず知ってもらうこと」。そのために説明していくのだという。青もみじは定着するだろうか。普及のための施策に注目していきたい。