5月17日にから始まった映画界で最も華やかなイベントのひとつ、カンヌ国際映画祭。今年は70周年を迎えさらににぎにぎしく開催するということで、今回は映画ライター渥美志保が、そのレポートをお届けします!――と勇んでみたものの、実は私もカンヌ初体験。煌びやかなカンヌの世界を、読者にめっちゃ引き寄せつつ、真っ青な海と真っ青な空の"あなたも楽しめるカンヌ映画祭"にお連れします! たぶん!

●貴族のいる国「おフランス」の映画祭は、厳然たる階級社会なのだった!

さて映画祭に来る前に先輩記者に言われていたこと、それは「黄色のパスだったら…」。パスとはマスコミの記者が申請して手にする「プレスID」のことで、通常どの映画祭にもあるものなのですが、カンヌ映画祭はこのパスが独自の基準で5段階に階級分けされていて、記者は与えられた階級によってアクセスできるイベントが変わってくるんです。国際的な映画祭で、こんな権威主義的なことするのはカンヌしかありません……。ちなみに私にいろいろと教えてくれた先輩記者は、カンヌ通い15年にして真ん中の「ピンク」パス。つまり階級を上るには何年も何年もカンヌに通わないといけません。というわけで今回初取材の私は、案の定の「黄色」パス……。

とはいっても、まあ何とかなるんでは〜と甘く考えていた私ですが、初日からこの洗礼を受けまくり。30分前に開幕作品の列に入った私は、ほんの10分前に来たピンクパスの先輩が並ばずにスルっと会場に入る姿を横目に眺めながら炎天下の中並び続け、時間ぎりぎりでようやく案内された2階席の端っこ。1階席には空席もありますが、階段には係員が「下々の連中はここから先は入れませんから」とばかりに立ちはだかるのでした。そしてハリウッドスターが来るような人気のある会見場(プレス5000人に対しキャパ200人)もなかなか入れず……ささささ差別だあああ! フランス革命の国のくせして、なんて理不尽なのカンヌ!

●あなたもできる!カンヌでの夢のレッドカーペットデビュー!

中でも最もハードルが高いのが「ソワレ」と呼ばれるコンペティション部門作品の夜の公式上映です。いわゆるテレビなんかでよく中継されている、ゴージャスな感じinレッドカーペットがそれで、一番格の高い「リュミーエール」という劇場で、監督とメインの俳優たちが一緒に見るもの。これは基本的に招待客のみで、招待客は「いろんな意味で」強いコネクションがある人たちです。

日本の多くのプレスが、おそらく唯一参加したのは『無限の住人』のソワレ。先輩ライターさんから「結婚式の二次会くらいの服を持ってくるように!」という指令を受け、私も気合いを入れてきた――のですが。その目前に謎の腹痛に見舞われ七転八倒。全身にイヤな汗をかきながら「なぜなの、何を食べたの私!」と自問自答するも、不用意な"生モノ食い"が多すぎ……。惜しくもレッドカーぺットデビューはなりませんでした。

一般の熱烈な映画ファンで、この招待状をどうにか手に入れたい!と思う人も当然ながらいます。彼らはどうするか。劇場のセキュリティゲートの前で「*****(作品名)の招待状求む!」と書いた紙を持って立つんです。人気アイドルのライブ会場前みたいですね〜。彼らが揃って妙にドレスアップしているのは、招待状が手に入ったら即座に劇場に入るためなんだとか。映画祭の期間中は、こんなふうに「急にドレスが必要!」な人たちのために、お値頃なキラキラ服がたくさん売られています。

●日没は午後9時前後、カンヌの夜はそこから始まる!

もうひとつ、こちらにきて驚いたのは、日が異常に長いこと! 午後7時は普通に昼間で、午後9時になってようやく暗くなってくる感じ。1日の映画上映は8時半から始まり、最後の上映は0時過ぎから始まるものもあるのですが、映画を4本くらい見てもまだ外が明るいので、ついうっかりもう1本見ちゃったりして、マスコミは気づくとみんなヘロヘロ。でも夜は夜で、この場をビジネスチャンスと考える様々なブランドや企業がパーティーをやっているんですねー。ということで、こちらは映画業界のパワフルな女性が一堂に会したファッションコングロマリット「Kering」のディナーパーティーの模様。

まあこういうのに行く人はほんとにカンヌ映画祭とファッションブランドに根付いた方々、ほぼ一般人の私には無縁なのですが、「映画祭に何しに来たの〜?」って聞くだけで、意外と外国人の男の子とお友達になれちゃったりするのも、カンヌの解放感とはしゃいだ空気のなせる業。

ちなみに昨夜は短編映画を監督して出品しているというカナダ人の若いフィルムメーカーとお友達になってワインを飲み、連絡先を交換。あああ、この子があれよあれよという間にビッグになっちゃったりして…と妄想する(マジでそういうことあるらしいですが)のも、楽しいですよ〜。