写真は、安川電機が現在販売しているロボット介護機器の一つ、「屋内移動アシスト装置」(安川電機の発表資料より)

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 産業用ロボット大手の安川電機は中国で介護用ロボットの生産・販売を開始する。中国の生活家電メーカー、美的集団(広東省)と提携、安川電機が培ったロボットの制御技術と美的の現地営業網や部材調達力を生かして2019年までに10〜15機種を発売する。事業は両社の合併会社、広東美的安川服務機器人(広東省)が手掛ける。

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 中国では高齢化が急拡大している。一人っ子政策など計画出産政策により新生児出生率が低下したことから、高齢者の割合が急上昇。短期間による高齢化は、他国の緩やかな高齢化とは一線を画す深刻な社会問題になっている。また経済成長期と時期が重なることから中国としてはその対策を検討する余裕がないのも実情である。

 安川電機は産業自動化市場で培ったロボット技術を医療や介護分野にも応用、様々な製品の開発に取り組んできた。ベッドやトイレを往復する際に用いられる「屋内移動アシスト装置」や「下肢用リハビリ装置」、「脊髄損傷用歩行者アシスト装置」など日本にて生産・販売の実績も重ねている。  現在、産業用ロボットの市場は中国を始めとする海外に移りつつある。日本国内を見るとその需要は車や電機など限定的なことから、産業用ロボット業界は新たな開拓先として医療や福祉という分野に移行しつつある。安川電機は国内で注力してきた介護ロボットを他社に先駆けて中国で拡販させることで、その成長速度を加速させたい狙いが見える。  一方で、美的はエアコンや冷蔵庫を手掛ける総合家電メーカー。16年に産業用ロボット大手の独クカを買収するなどロボット事業に熱を注いでいる。美的の家電は中国では大手として十分な信頼を獲得、とりわけそのデザインは中国国内では評判が良く、現地の人々に馴染んできた。さらにはエアコン製造からノウハウを蓄積した工場の自動化技術も優れている。工場自動化技術の外販も計画し、国家主導での拡販も目指している。

 両社では、提携の第一弾として手足のリハビリ用回転装置を5月末から販売予定。患者が腕を回したりペダルを漕ぐことで、身体機能の回復を図る。安川電機が手掛けてきた多軸ロボットの制御技術を用いてペダルの負荷を調節、患者にとって適切な運動がこなせるよう開発された。価格は1台8万元(130万円)程度、中国本土の医療機関などへ販売するという。

 今回の安川電機の取り組みは介護ロボット海外拡販の試金石となる第一歩である。中国の高齢化は技術力ある日本のメーカーにとっては十分に存在感を発揮するチャンス。医療・介護ロボットの技術革新とアジアを中心とした高齢化の行方は今後も注視していきたい。