左から、ソラカラちゃん、根津嘉澄社長(東武鉄道)、吉澤和弘社長(NTTドコモ)


次世代移動通信方式として注目を集める「5G(第5世代移動通信システム)」。NTTドコモは2020年の商用利用に向けて5Gを使ったサービスが体験できる場を提供する「5Gトライアルサイト」を開始した。そのひとつとして、同社が東武鉄道とともに行う実証実験が注目を集めている。

5月22日、東京スカイツリー展望フロアで行われた、5Gトライアルサイトのオープニングセレモニーでは、NTTドコモ・吉澤和弘社長と東武鉄道・根津嘉澄社長が登壇。実証実験への意気込みを語った。

「このプロジェクトは、低遅延や高速大容量など、5Gの実証実験を行うだけでなく、パートナーのみなさんと5G時代にどのような新しいサービスと融合できるか、場合によっては新たなビジネスが生まれるということに、非常に意味があります」(NTTドコモ・吉澤社長)

「東京スカイツリーは、世界初の自立式電波塔としての機能を果たすとともに、日本を代表する観光地となっています。浅草、東京スカイツリーエリアが、今回の実証実験を通して、最先端技術の次世代コミュニティをリードする街に生まれ変わることを期待しています」(東武鉄道・根津社長)

そして、来る5G時代を見据えた新たな取り組みとして発表された実証実験の内容は以下の通りだ。

・“8Kライブ映像”の5G無線伝送
・東京スカイツリー4Kマルチストリームライブ配信
・5Gによる多数端末接続イメージデモ

それぞれ映像に特化した、5Gの特長を生かす内容となっているが、果たしてその詳細とは。

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肉眼で見えないものまで映る! 8Kの映像を楽しめる

まずは、展望フロアにて5Gの「高速・大容量」通信を体験できるデモンストレーションが行われた。

東京スカイツリー展望デッキからの8Kカメラで撮影した映像を、ケーブルでつながった5G伝送装置の基地局(以下、基地局)に送る、基地局から5Gによる無線伝送を使って受信用の移動局(以下、受信機)に送信。すると、移動局につながれた8Kディスプレイに映像データを表示することができるという仕組みを紹介。

8Kディスプレイには、3300万画素のスーパーハイビジョンと呼ばれる超高精細映像が無事に映しだされ、実験は見事に成功した。

展望デッキ フロア350に設置された受信機。速度は13.0〜14.0Gbps前後の数値で安定している。


8Kの映像は途切れることなく、隅田川の白波まで鮮明に映し出されていた。


そして、もうひとつの実験は、東京ソラマチイーストヤード1階に大型液晶ディスプレイを設置し、5Gを使った4Kパノラマ映像のライブ配信だ。

前出の8K映像のシステムとは異なり、東京スカイツリーの展望デッキフロア340に取り付けた6台の4Kカメラの映像を、地上にある5G基地局に光ケーブルで送り、すぐ横に置かれた受信機に5Gで送信。送られてきた映像をディスプレイに映し出すというもの。

実際に表示されているのは、3台のカメラから送られた180度の映像。大型ディスプレイを6面設置するのは難しいとのこと


光ケーブルで送られた4Kカメラの映像は、奥にある基地局から5Gを利用して手前にある受信機に映像データが送られ、ディスプレイに表示されているとのこと


8K、4Kのどちらも大パノラマに映し出された映像は迫力大。1階の大型ディスプレイは、5月28日まで入場料なしで楽しめるとのこと。一見の価値アリだ。

映像が止まる心配がなくなる? 多数端末接続デモ

つづいて、5Gを使うことで「多数端末続時のストレス軽減」につながるデモンストレーションが東武鉄道の新型特急車両・リバティ内にて行われた。

事前に撮影された4Kの映像を、5G基地局から28GHz帯の無線伝送を使い受信機に送信。受信機が受けとった映像は、車内に設置されたWi-Fiを介して8台のタブレットに同時配信する体感デモを実施。見事、8台のタブレットには4K映像が流れた。

5Gの基地局を搭載した車両。ここから映像データを送信する


基地局から無線で送られてきた映像データを受信する移動局


座席ではモデル8名が持つタブレットに4K映像が同時に再生された


デモンストレーション時は受信機が外に設置されていたが、これから開発が進めば、スマホやタブレットに5Gの受信機能が搭載される可能性もあるという。また、広報関係者によれば「受信機を車両に搭載して、基地局からの5Gを車両丸ごと受信するなど、さまざまな方法を視野に入れている」とのこと。

実現すれば、多くの人がより快適に電車内で動画を見ることができ、5Gの恩恵に預かれる、うれしいサービスだ。

NTTドコモは、5月24日に行われた新機種・新サービス発表会においても東武鉄道のほかに、パナソニックや綜合警備保障株式会社とともに、5Gの実証実験を行なうことを公表。商用化が見込まれる2020年まであと3年、今後の展開から目が離せない。
 

筆者:Kayo Majima (Seidansha)