第70回カンヌ国際映画祭フォトコールにて(左から)エル・ファニング、ニコール・キッドマン、コリン・ファレル、ソフィア・コッポラ監督、キルステン・ダンスト
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 現地時間24日、第70回カンヌ国際映画祭でドン・シーゲル監督&クリント・イーストウッド主演の映画『白い肌の異常な夜』(1971)をリメイクした『ザ・ビガイルド(原題) / The Beguiled』の会見が行われ、ソフィア・コッポラ監督がなぜイーストウッドが演じた役柄をコリン・ファレルにオファーしたのかを明かした。

 コンペティション部門に出品されている『ザ・ビガイルド(原題)』は、南北戦争時代を舞台にしたトーマス・カリナンによる小説をコッポラ監督/脚本で再び映画化したスリラーだ。物語は、女学院の少女が森で重症を負った敵兵マクバニー(コリン)を見つけ、彼女たちが暮らす男子禁制の寄宿舎に連れてくるところからスタート。誰彼構わず魅力をまき散らすマクバニーに校長(ニコール・キッドマン)から教師(キルステン・ダンスト)、生徒(エル・ファニング)まで女たちは狂い争うようになり、予想もつかない恐ろしい事態になってしまう……。

 コッポラ監督は本作の制作においては小説に立ち返り、シーゲル監督の映画をリメイクしたつもりはないという。「『白い肌の異常な夜』のことは頭から締め出しそうとした。すでに映画があることは忘れて、わたしならこのストーリーをどう映画にするかだけを考えたの」。今後ロサンジェルスにあるクエンティン・タランティーノ監督のシアターで『白い肌の異常な夜』と本作の二本立て上映を予定しており、「とても楽しみにしている。同じストーリーの二つの解釈だと思ってもらえたら」と呼び掛けた。

 また、キャストは執筆の段階から想定していたというだけに皆ハマっているが、中でも真面目な顔で突飛なことをする校長役のニコール、そして幼い少女から校長まで誰彼構わず口説きまくるコリンの演技が絶品で、スリリングな美しい作品なのにかなり笑える。コッポラ監督は「ニコールが役にひねりのあるユーモアを持ち込んでくれるのはわかっていた。簡単にメロドラマになってしまいがちなのに、素晴らしくリアルなものにしてくれた。それがわたしには重要だった」と感謝する。

 『白い肌の異常な夜』でイーストウッドが演じたマクバニーは、コリンが演じるということでアイルランド人に変更されている。「この女性たちを扱うことができる人物で、彼女たちとコントラストがあってほしかった。とても男性的でエキゾチックな敵の兵士だから。コリンは素晴らしい俳優で、チャーミングでカリスマ性があるから、女性たちと一人一人違ったようにつながってくれると思った」とコッポラ監督。「繊細な女性の世界に、ダークで、汚く、毛むくじゃら(笑)な人が入ってくる」と「毛むくじゃら」もキャスティングにおける重要な要素だったと明かして、コリンを笑わせていた。(編集部・市川遥)

第70回カンヌ国際映画祭は現地時間28日まで開催